COSPA technologies

21世紀宇宙の旅(リアル版)への誘い

2023.02.20
梅津遼太

社内イチの新しいもの好きといえば私、梅津のこと。子どものころから無駄に高機能な文房具にときめき、今でもデスク周りは最新のヘッドフォンやらマウスやらで揃えている。アイフォン、アップルウォッチを手に入れたのは製品創世記。当時の私には確実にオーバースペックだったのだが、その高すぎる性能にいちいち痺れていた。

そんな私が今楽しんでいるのが巷で話題のChatGPT。言わずと知れた超高性能チャットボットAIである(因みにこのネタは去年の暮から掴んでいた)。今年に入りその盛り上がりは加速、Microsoftは Bing と Egde を、Google は Bard をそれぞれ発表するなど話題を振りまいている。

Google announces new AI search features, as race with Microsoft heats up
https://finance.yahoo.com/news/google-announces-new-ai-search-features-as-race-with-microsoft-heats-up-141056757.html

Google の Bard は 広告内で回答を間違えたとして株価が暴落した。

Google’s Bard AI chatbot gives wrong answer at launch event
https://uk.finance.yahoo.com/news/google-bard-ai-chatbot-gives-133514361.html

なんとも「らしくない」。Googleですら開発を急いだのだろう。

このChatGPTが普及すると世界の何が変わるのだろう。
まず事務系の生産性が一気に上がる。ビジネスの世界でもプライベートでも、人と人とのコミュニケーションの一定部分は今やメールなどのテキスト。これはChatGPTの得意中の得意なので、あっという間に普及し、テキストの作成にかかる時間は激減する。素晴らしい。
仮説設計も楽になる。「アイデアを出すにはどうしたらいい」と尋ねると「こんな方法はどうですか」と答えてくれる。何でも聞いたらそれっぽい仮説を立ててくれるので、「どのように」という技術や知識の価値が急速に下がるはずだ。必然ヒトは「それを実行する」ことに注力できる。間違いなくイチ戦力だ。将来的には組織ごとにChat型 AI を抱える世界になるかもしれない。Microsoftもそれを明言している。

Microsoft will offer ChatGPT tech for companies to customize: source
https://www.cnbc.com/2023/02/07/microsoft-will-offer-chatgpt-tech-for-companies-to-customize-source.html

突き詰めるとこんなことになるかもしれない。
AIに文化的なインプットを施し、例えば「日本らしいAIチャットボット」は回答がどこかホスピタリティがあるとか(逆に気疲れするAIになるかもしれない?笑)。各人がAIを携帯するようになれば、個人のコミュニケーションスタイルに合わせたインプットも可能だ。「阿吽の呼吸」でやりとりするようになる。YouTubeのサジェストで新たな自己を発見してしまった時のように自らの性格が炙り出されてしまいそうだが、それもまたわくっとしないでもない。
イーロン・マスクのニューラルリンク社の技術と組み合わせたらどうなるか。脳に埋め込んだチップにプロンプトを入力(思念)するだけで AIによる出力(表象)が行われる。発言内容がどこまで本人によるものなのか、線引き自体がわからなくなってしまう。Microsoftの提唱する “copilot”(副操縦士) としてのAI は、少しホラー風味すらある。
いや、人間は環境に左右される生物なのだから、今だってどの程度自分の意志で行動しているのか分からない部分もある。しかし環境からの影響については経験則からくる信頼があり、酷いことにはならない、何かあっても克服も可能な気がするし、いざとなれば諦めもつく気がする。だが、AIが招く禍―例えば核ミサイルボタンの誤発射など暴走の可能性についてはコントロールできる気がしない。まさに「21世紀宇宙の旅」の世界だ。果たしてAIに倫理観を持たせることは可能なのだろうか。スケールが大きい話だが、近い将来現実的に直面する課題だろう。

ChatGPTが誘う世界について、私は基本的に是の立場で夢想するのだが、社内のメンバーは「カオス」の可能性を指摘する。この先待ち受けるのは「ユートピアっぽく彩られたディストピア」ではないか、と。確かに問題解決や生産性の向上などが実現する。例えば、医療分野では診断や治療のスピードアップ、製造業ではより効率的な生産などだ。その「楽」になる一方で、人は何をするのだろう。すでにAIを導入した法律事務所は、契約書関連や判例から導き出す裁判戦略などはAIで代用可能…というか人間より優秀だという結論に達しているようである。弁護士と言えばホワイトカラーの代表格、その職がAIに奪われるという事態になっているのだ。
かつてロボットといえば労働集約的な業務の担い手として期待されてきた。清掃ロボットや配膳ロボット、介護ロボットなど。しかしもはや仕事の上流域にまでロボットが進出してきた。今後は「仕事を仕切り命令するのがロボットで、それを末端で請け負うのが人間」という構図すら考えられる。人間に残された道はフィジカルな領域のみ。すでにアメリカではAIには対応できない仕事として「配管工事」職が人気を博しているらしい。これまた話題のリスキリング(学びなおし)でプログラミングなどを専攻するのは間違いなのではないかと思えてきた。

新しいもの好きとしては、何が次に来るのかを考えているだけで飯が3杯食える。

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