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「会社概要2024」は対談形式でお届けします。「会社概要2023 (少しややこしい話)」はこちら

中島
昨年も多くの会社からWebサイト制作についてお声がけしていただきました。私たちは、声がかかるとまず企画チームに検討してもらい、提案するか否かを決めていますよね。「面白い。やりたい」と言う人がいない案件には取り組まないという、世に誇るべき仕組みだと思っています。クライアントに「辞退します」と言うのはかなり気まずいのですが、旗を振る人がいないプロジェクトを安易に引き受けると後でトラブルになるので、そういう時は心を鬼にして辞退します。
高畑
でも、実際には辞退する案件はそれほど多くないですよね。最初は「特長がない会社だ」と思う場合も少なくないのですが、いろいろとリサーチすると、Webサイトにはない側面が見えてきます。創業の経緯や社長の考え方、社会との関わり方などです。それらをさらに分析すると、「この辺をこうやって前面に出せば特長が伝わる」とアイデアが出てきます。それが面白ければチームが盛り上がります。
中島
仮設型提案ですね。これは私たちの特長です。ある切り口を設定して、そこから話を広げる。クライアントがおっしゃっていないことでも、そこから話を広げる。そうすると、結果的に他の制作会社とは全く違う提案になる。たまに「理解できない」と言われてしまうこともあるのですが、ほとんどの場合は「よくぞそこまで調べて考えてくれた」と褒めていただけます。飛びすぎた提案だと少しトーンダウンして着地することもありますが、いずれにしろ本質を押さえたWebサイト制作ができています。
高畑
実はこのプロセスにはかつての仕事がベースになっています。新卒で入った銀行は当時「日本で唯一きちんと審査する銀行」と言われていて、その審査部で相当しごかれました。銀行だから当然数字は見る。しかし、最も重視されるのは「なぜその会社が存在しているのか」。世の中に必要な存在であると上を説得できれば、銀行は支援しました。次に従事したメディアの仕事では、どう見せるかということを学びました。どういうシチュエーションで誰に見てもらうかによって、何を核にしてどのように表現するかが異なります。
中島
つまり、Webサイトを制作する場合も、その2つが大事だということですね。会社の本質を見極める、それを効果的に見せる。クライアントにとっては意外性があるけど、本質を突いているから面白いし納得できる。これは特にメーカーの場合はそう。細かい作業に熱中するという原点から、例えば医療器具の製造につながってくる。この場合、単に「みなさまの健康に貢献します」と謳うよりも「細かさにかけては誰にも負けない」と言った方が響きます。
高畑
そうそう。「細かさにかけては誰にも負けない」という気持ちが原点にあれば、自分で勝手に技術を磨くし、しかもそれが永遠に続く。そうすれば世界一になるし、違う分野にも進出できる。それでも細かさへの追求は止まらない。「売上を上げる」とか「お客様に貢献する」よりも前に、こういう思いがあるかどうかが大事だと思います。それがあれば、結果的にお客様も満足するし、銀行も支援します。
中島
ハードウェアのメーカーではない場合でも同じ。システム開発の会社でも、小さい頃にレゴにハマって、より少ないブロックでクルマを作ることに熱中していたという社長がいます。いまは開発工程を削減して短納期でお客様から好評を得ています。また、小売業の会社では「人はなぜ笑顔になるのか」を追求すべく心理学の本などを読み漁っている社長がいます。それが店舗の展示や内装、スタッフの接客などに生かされて繁盛しています。
高畑
いずれも、まずは自らが熱中できることに注力し、それがビジネスに生かされ、結果的にお客様が喜ぶという順番ですね。この逆は難しい。「道端で裸踊りすればお客様が喜ぶなら、やりますか?」と聞くとほぼ全員が「それはやらない」と言う。だったら「お客様に貢献します」はウソじゃないかと。お客様が喜ぶことでも、やることとやらないことがあるわけです。「私はダンサーではなくて焼肉屋です」と言うから「ジビエもお願いできますか?」と聞くと「それはない」と答える。だから、焼肉屋としての原点を確認し、それを生かした店を作り、原点を効果的に表現した方がいい。そうしないと、「ジビエも仕入れます。裸踊りもします」になって、わけがわからなくなります。
中島
だから、私たちは案件にとりかかってから最初のフェイズ、原点を確認する時間が長い。提案書を書く前にかなり調査して喧々諤々議論する。その上で、クライアントの真の価値とその見せ方を考えます。ほとんどコンサルティングの領域です。それがクライアントにも伝わり、「よくぞここまで考えてくれた」と言われます。だから、この期間はとても重要です。
高畑
はい。受注後も、社長やキーパーソンの方にインタビューしたり、社史を読み込んだり、工場見学に行ったりして、さらに議論を深めます。その結果、当初の仮説が変わることもあり、そうなるとコンセプトメイクもイチからやり直します。でも、そうやってコンセプトができると、後の工程がとてもスムーズになります。コンサプトが幹となるので、全体の構成、ビジュアル、テキストなどの枝を迷うことなく配置できる。迷う局面でも、コンセプトに立ち返って、すぐに修正したり判断したりできる。そして、完成したサイトには統一感が出ます。だから、メッセージを強く伝えられる。
中島
企画の過程でクライアントの方も気がつかなかったことが出てくるので、面白がっていっしょに作業していただくことが多いですね。ただし、そういう時はクライアントの社内調整が大変。ご担当の方に社内を走り回っていただくこともありました。
高畑
中でも印象深いのは、少し前の話になりますが、36Kr Japan のプロジェクトです。中国のスタートアップメディアの日本語版を立ち上げるという案件でしたが、事前に膨大な記事を読んでメディアの姿勢を理解し、日本向けにどのように手を加えるかを考えました。
https://36kr.jp/
中島
そうですね。その上で、36Kr 総裁である馮大剛(Feng Da Gang)さんに会いに北京に飛んで、いろいろ打ち合わせました。メディアの考え方をきちんと汲んで、日本向けにローカライズする案が受け入れられ、完成時にはとても感謝されました。この案件は、私たち自身もブランドの重要性を改めて考える機会になりました。こういう仕事はこれからのAI時代にもなくならないと感じています。
高畑
はい、そうですね。たぶんもうすぐ AI がささっと Webサイトを作ってくれるようになります。そのためのプロンプトやデータセットもたくさん売り出されます。本当に低コストでスピーディに Webサイトを作れるようになります。しかし、企業の顔となる Webサイトでは、まだまだ人間の力はあなどれません。「真の価値」とは何か。AI に聞いても凡庸な回答しか出てきません。
中島
例えば、期間限定のキャンペーンやイベントならば、AI で十分でしょう。Webサイトの効果も AI に測定してもらい、次々に改良していける。制作会社を呼んで打ち合わせして...というようなことは面倒に感じるようになるはず。ただし、「『お客様に貢献します』と言われてもピンとこない」という感覚は人間ならではでしょう。なぜピンとこないのか。「本当の価値はどこにあるのか。それはどこから生まれてきたのか。どこにこだわるとそうなるのか。なぜこだわるのか。このような問いを重ねた先に新たな境地が開けます。
高畑
そのように言い切れるのも人間ならではです。
中島
このような面倒な議論を面白がれる人がたくさんいるので、日本はまだまだ捨てたものではありません。日本の産業の高付加価値化に一役買えれば、こんな面白いことはないと思っています。
  • 中島嘉一

    愛媛大学情報工学部卒業後に船井電機株式会社に入社し、同社の中国東莞工場に製造部⻑兼システムエンジニアとして勤務。同社を退職後、2012年に上海で起業。通算10年の中国生活で中国語堪能になったほか、生来の「コスパ好き」が大開花。上海時代にはビリヤード世界選手権に出場してサウジアラビアの選手に勝利する偉業を成すなど、何事にも一途を極める性格。Twitter、note、YouTube、中国SNSで合計50,000名のフォロワーを擁し、日中ビジネスに関する情報を発信中。

  • 高畑龍一

    早稲田大学政経学部を卒業後、日本興業銀行(当時)などを経て当社に参加。米国コーネル大学MBA留学中に学業の傍ら世界を放浪し、これが契機となって異文化コミュニケーション研究がライフワークとなる。その後上海に渡って現代中国語研究にもハマり、『ビジネス中国語 500』(アスコム)などの書籍を企画制作。趣味のオートバイでも、英国旧車をレストアしたり、モンゴルを走破したりとマニアック。

会社概要

会社名 株式会社コスパ・テクノロジーズ
代表取締役 中島 嘉一
資本金 10,000,800円
本社 東京都渋谷区広尾1-7-20 DOTビル
事業所 東京都新宿区高田馬場2-14-9 明芳ビル203
電話番号 03-4405-4545
主要取引金融機関 三菱UFJ銀行 / みずほ銀行 / 三井住友銀行 /日本政策金融公庫
パートナー企業 Baidu

沿革

2012年 上海にて起業
2016年 日本で株式会社レクサーを設立
2017年 本社を東京都渋谷区に移転
2018年 株式会社36Kr Japanを設立(中国36Kr社とのJV)
2019年 Skyland Ventures 3号投資事業有限責任組合が増資引受
2019年 プラスチャイナ株式会社に社名変更
2019年 高田馬場オフィスを開設
2020年 株式会社コスパ・テクノロジーズに社名変更

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