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中国と日本、どちらが偉大か

2022.05.16
中島嘉一

先日中国向け代理店勤務の中国籍友人と食事した。コロナ禍も収まりつつあるので、ビザさえ発給されれば上海に赴任するのだという。ただし、赴任後必須の健康診断が受けられるのか微妙とのこと。中国は赴任後に当局が指定する病院で健康診断を受けなければならず、これが受けられないとビザがあっても2週間で退去せざるを得なくなるのだ。

いま中国は「動態(ダイナミック)ゼロコロナ」政策が真っ盛り。病院には余裕がない可能性が高い。それに、そもそも中国内では日本人を含めた外国人はバイキン扱い。日本から赴任してきたとあってはマンションから一歩も出ることができないだろう。つまりせっかく中国に行っても、しばらく軟禁されて何もできずに帰ってこなければならないかもしれないのだ。日本では考えられないことが起こるのが中国である。

中国のコロナ感染状況は深刻なものではないにも関わらず、上海を始めとする20以上の都市で厳しい外出制限が課せられている。当然、工場は操業停止し、物流は混乱し、個人消費は落ち込む。経済的な打撃は計り知れない。実際にニッサン、ホンダの3月新車販売台数は30%超減と酷い数字であり、この傾向が5月現在でもまだ続いている。このままだと世界経済への打撃も相当なものになるはずだ。

それでも中国当局はなぜゼロコロナ施策を翻すことができないのか。それはひとえに、秋に共産党大会があるからである。習近平はもちろんこの場で最高権力者の地位を手放すつもりはない。北京冬季五輪を無事に開催できたという実績もある。ここに「中国は世界で唯一コロナ感染者をゼロにした国」という功績を加えて無傷&満場一致で再選されなければならないのだ。だから一度掲げた施策を反故にすることはできない。実は中国の民は為政者に厳しいのだ。最高権力者にとっても、中国はまことに不自由な国である。

翻って、我が国はどうだろうか。先日当社の20代社員が「少し前に先進国だったころ」という枕詞で日本を語った。そう、日本はもはや先進国ではない。給与は下がり続け、購買力は落ち、経済格差が広がり続ける断絶の時代を迎えている。この地位低下は、小泉政権下の構造改革と、安倍政権のアベノミクス政策のせいだろう。しかし、彼らはまだ生きている。それどころか元気だ。安倍氏などは院政を強いているような状態で、イキイキしているように見える。日本はなんと政治家に優しい国なのだろう。失敗多数、国賊に近い立場であっても、非常に大切にされている。政治家になるなら日本だ。世界に類を見ない、為政者に優しい偉大な国だ。

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