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変な人が日本を救う!?

2023.01.26
高畑龍一

今年の経済見通しをたくさん読んでいるが、ほとんどはパッとしない。冴えない一年になりそうだ。今年だけではなく中長期的に「日本はオワコン」ムードが漂っている。かのトヨタでさえ先行きが危ぶまれていて、中国のEVトップ企業であるBYDに敵わないのではないかと言う方もいる。

トヨタが中国企業に「敗北」する日がやってくる…日本の基幹産業を襲う「悲劇的な結末」
https://gendai.media/articles/-/104971

個々の企業だけではなく、日本社会全体を覆う沈滞ムードに外国人も失望している様子だ。

日本は未来だった、しかし今では過去にとらわれている BBC東京特派員が振り返る
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-64357046

「昔はすごかったよね」と言われて徐々に黄昏ていく国になるのも悪くはないと思うが、一方、そうはならないという気もしている。なぜなら、日本の懐の深さ、受容力の高さをいまでも感じるからだ。かつて「漢字」や「機械」など海外ものをすんなり吸収したのと同様に、最近でも海外産のスマホやアプリをすんなり吸収し、それに絵文字を加えたりする。日本は「古今東西が混在していて面白い」と言われる所以だ。

これには「変なものを面白がる」という土壌が関係しているのではないかと思っている。そもそも日本の中の「変なもの」に注目する気質があるから、海外のものも臆せずに取り入れられるということ。歌舞伎しかり、浮世絵しかり、もっと言えば古の神様も、まともに考えれば変だろう。でも面白ければファンができ、話題になり、流行になる。そうなってしまえば、もはや変ではなくなり、時が経てば伝統になる。

人間もそうで、みんな大好き織田信長も渋沢栄一も奇人変人。周りの人は大変だったに違いない。でも、こちらも時が経てば偉人になる。ビジネスの世界も同様で、本田宗一郎も盛田昭夫も、普通に考えれば変な人。いまお付き合いしているクライアント企業でも、創業者の資料を読むと、ほぼ例外なく変人だ。こういう人が技術を究めたり、新しい産業を興してきた。日本には偉大な変な人はたくさんいるのだ。

海外にも変な人はいるはずだが、イデオロギーや宗教でガチガチに固められている国だと、なかなか日の目を見ない。火炙りの刑に処せられたり、いまだとポリコレで批判されたりする。日本の場合、この辺が適度に緩いので、「あいつ、変だよね」と称賛される余地がある。

ただし、変な人は変なので、普通のロジック通りには動かない。だから、お国が「スタートアップ支援」などをやっても、あまり意味がない。役人が気がつかない分野で奇才を発揮する人も出てくるだろうし、製造業かITかなどという区分もできなくなるだろう。凡人は成熟国の日常をゆったり味わいつつ、変な人を見つけて面白がるべし。同調圧力をかけるなどもってのほかだ。日本の未来は変な人にかかっている。

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