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インバウンド事業、爆発前夜の風景

2022.06.06
中島嘉一

我がオフィス高田馬場には日本有数の中国文化圏が広がっており、本国と変わらぬクオリティの中華料理、いわゆるガチ中華が楽しめる。私もちょいちょい界隈の店に行くのだが、先週は驚いた。店内が活気で満ち溢れているのだ。テーブルは若者で満席、賑やかに中国語が飛び交っている。中国からの留学生が戻ってきていることを体感した。先日のジャーナルで書いた中国赴任の彼も無事入国したようだ。コロナ禍で息を潜めていた華僑エネルギーが、今一気に息を吹き返している。

こうなると、アッという間にインバウンド産業は盛り上がる。何しろ日本は今や「世界で一番行ってみたい国」。

https://news.yahoo.co.jp/articles/64fd1eeeb3558ebe749be004fa7081834473911a

日本政府の水際施策などあっという間に吹き飛び、この夏は東京も京都も北海道も外国人でいっぱいになるだろう。

とすれば、我々がいますぐすべきことは何か。

まず第一に、コロナで錆びついたグローバル感覚を取り戻すことだ。日英中の3か国語が使えて当たり前の環境、つまり商品陳列棚や看板はもちろんWebサイトの中身も3か国語表示をスタンダードにする。そしてそれらは日本的表現を排除する。日本人は主体的表現、例えば「私は運動会に参加した」などの「私が」という表現より「運動会が開催された」という受け身的な表現を好むが、英語も中国語も主語は「運動会」ではなく「私」で表現する。最初は大変だが、このように1つ1つ、相手が受け止めやすい表現を探っていけば、自ずと道は開ける。

そして、表示だけでなくコミュニケーションもしばらくリハビリが必要なことを認識している。例えば、中国人相手であれば反論されてもむっとしない(中国では自分の意見を伝えることが是とされる)とか、とにかく具体的に伝える(抽象的な話だけだと徐々に眉間に皺ができてくる)とか。自分もそうだが、この2年間の鎖国でコミュニケーション面では随分楽をしてしまった。今一度、世界標準のコミュニケーション能力を研ぎ澄ませなければ。

そして、今一度自分自身を見つめなおし表現できるようにしたい。何せ外国からのお客様は何も察してくれないし空気も読まないので、伝えなきゃ何も始まらない。奥ゆかしさを美徳とする我々日本人は、とかく自分の良いところや得意なところを伝えない。いや、自分の良い所や得意なところをわかってすらいないんだと思う。自分の得意分野は往々にして好きなこと。好きなことは突き詰めることにも苦痛が伴わないので疲労しない。疲労しないので自覚がない。日本人の多くは自分の美徳を知らずに一生を終えているのではないか。

ここから脱するには、言語化がキーになる。他人に「私の良いところって何?」と聞いて言葉にすれば良い。言葉は人間の人間たる所以だ。言語化することにより自分自身の解像度が上がり、シャープに捉えることが出来るだろう。その高い解像度の自分で戦うのだ。ぼんやりしたままではせっかくのインバウンド商機を逃してしまう。

そしてアウトバウンド事業はどうだろうか。こちらも一世一代のモテ期到来だろう。何せ円安で勝手に国際価格競争力がついた。あとはいかにクオリティの高さを伝えるだけである。ただしこちらも、自分自身で考える高クオリティの所以と海外から見た高クオリティの所在は異なることが往々にあるので留意したい。もちろんここで相手を考えず言いたいだけのコミュニケーションはNG。ロジカルに、相手の文脈に添い良さを伝える。これができれば日本の製造業の未来は明るい。

アフターコロナでこの未曽有の円高。まさに日本に商機が訪れようとしている。

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