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コロナ後の世界を大予想

2022.05.09
中島嘉一

前の記事で「ゴールデンウィークはキャンプだ」と鼻息荒く宣誓したのだが訂正する。悪天候予想のせいで家族が難色を示し、結局直前に旅館に鞍替えしたのだ。猛烈に抵抗したのだが、家族の意見は合理的。仕方ない。

そして、これまた主張を覆すが、この旅館で過ごす休日も悪くなかった。いや、正直に言えば素晴らしかった。キャンプも良いが旅館も良い。

今回の宿はKKR。国家公務員共済組合が母体のホテルだ。感服した。ホテルのサービスというのはかくもスマートなものであったか。宿泊施設は高級宿と遜色ない。食事も立派で満足度が超高い。温泉の風情からサービスまで全て心躍るもので、それでいて1泊1万円台という素晴らしいコストパフォーマンス。

もちろん全てが高級宿と同等というわけではない。玄関前の出迎えがないとか部屋にトイレがないとか。しかし、そこに徹底したコスト削減の姿勢を見る私にはむしろ好印象。コロナ禍でしばらく旅館を利用していなかったので私の評価が甘くなっているのか、それともコロナに揉まれて旅館も進化したのかは分からないが、久々の「普通」の旅行は非常に良かった。なんだ、いいじゃん、コロナ前と同じ、普通の旅行。

そしてもうひとつ、コロナ禍終焉を実感したのが新幹線の予約だ。指定席が全然取れない。コロナ禍では当日でも直前でも全く問題なく席が取れたのだが、今回はふたを開けてみてザ・満席。驚いた。得意のデジタルスキルで一瞬出た空席を瞬時に予約し事なきを得たのだが、2年ぶりの緊迫感でアフターコロナを感じた。

この2年間、我々は新しい生活様式を是として暮らしてきた。手洗いの徹底、ソーシャルディスタンス、マスク、不要不急の外出自粛…アフターコロナの世界がやってきて、一体この中の何が定着して何が忘れ去られるのだろう。

私もつい数日前までキャンプ=素晴らしいと本気で思い、コールマン焚き火台などに投資する直前だった。しかし久々の「普通」の旅行を堪能し一気に気が削がれてしまった。同様に、好評を博していた外食産業のお持ち帰りシステムは今後下火になり、また終業後の「飲みニュケーション」も復活するのだろうか。ウェビナーも下火になり、講堂を借りたセミナーが主流になるのだろうか。

私は、コロナ禍の生活様式が残るか否かは「いかに体がラクか」で選別されるのではないかと睨んでいる。キャンプはやっぱり大変なので却下、飲みニュケーションも疲れるので却下(でも親しい友人と話題のレストランには行く)。一方、自宅でのリモート業務は通勤電車に乗らないで済むので残る。ウーバーイーツはサービスの質次第かな。届かないなどのトラブルがなくなり、価格の合理性も改善されれば生き残るかもしれない。

つまりアフターコロナは「我々の体が楽=都合の良いものが生き残る」という、ワガママが許される世界だ。

と考えると、今話題の「パジャマシューズ」なんて超目の付け所が良い。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2205/03/news012.html

靴なんてコロナ関係なしなのだが、コロナ禍ヒット商品「パジャマスーツ」をもじったネーミングで人の心を惹きつけ、しかも徹底した「楽」訴求。(よく言えば)自然体でいられることが、アフターコロナの価値基準なのかもしれないな、とぼんやり思ったゴールデンウイークだった。

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