先日久しぶりに映画を観に行った。
鬼が笑う
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お世辞抜きに良かった。正義の怖さを真正面からグイグイ描いている。あらすじを書くのも野暮だが、気になった人はどうせレビューサイトを見てしまうのだから少し書くと、父親のDVに追い詰められたある家族の、優しく正義漢の強いお兄ちゃんが主人公。母と妹を救うために父を殺めてしまい、そこから始まる負の連鎖という超絶暗いストーリーである。
愛する家族を暴力から守るのは正義に違いない。でもその正義こそが愛する家族を、そして自分を破滅させるのだ。救いようのない話と言うこと勿れ、「正義は勝たない」「正義は独りよがりに過ぎない」という現実に向き合うことこそ、人が救われる一歩なのである。
そもそも正義とは究極の迷惑だ。今のウクライナvsロシア戦争でも一目瞭然、両国とも正義を主張して人々の生活を破壊し命を奪っている。自国民の誇りだとか信条だとか、そんなのは生活や命あってのことだ。それを差し置いて主張すべきことなど存在しないのに、正義という名の下で価値観が狂わされている。正義とは詭弁であり、無条件で是とされるものでない。