COSPA technologies

新しい何か

2023.06.22
高畑龍一

トヨタの反撃が大きな話題になっている。

ついに発表「トヨタ史上最大」のモノづくり変革
https://toyokeizai.net/articles/-/678951

車体の骨格を大きなアルミ鋳造品で一気に作る「ギガキャスト」なども興味深いが、注目が集まっているのは「バイポーラ型リン酸鉄リチウムイオン電池」。航続距離、充電時間、充電回数、製造コスト、サイズなど多くの面でメリットがあり、これで日本のEV化が一気に進むのではないかと言われている。

しかし、歴史は直線的に進むとは限らない。

分解して見えた中国NEVの実力…名古屋大学 山本真義教授[インタビュー]
https://s.response.jp/article/2023/06/12/372020.html

山本教授によると、中国のEV(NIOというメーカー)の作り方は日本のEVとは違い、この違いは会社としての思想が異なることに起因するとのこと。だとすれば、NIOのEVはクルマに見えるがクルマではないのかもしれない。iPodがウォークマンの後継ではなくiPhoneの元だったように、NIOは新しい何かの元なのだろう。直近では販売台数が増えずに苦戦しているようだが、トヨタとは違う土俵で戦っているならば「クルマ」の販売台数を比較しても意味がない。

私たちのビジネスも然り。Webサイトを制作してはいるが、すでにサービスの本質はWebサイト制作ではない。成果物としてのWebサイトが完成に至るまで、クライアントのブランディングやコミュニケーションに関する調査分析企画といった仕事がメインとなっている。だから、他のWebサイト制作会社と競合しているという認識がなくなりつつあるのだ。私たちの仕事には人間のクリエイティビティが求められるので、しばらくはAIに代替されないはずだとも思っている。

少しだけ違うものが全く別のカテゴリーに進化するのは生物も会社も同じ。だから適者生存の考え方でいくと、主体的にあれこれ考えても仕方がないだろう。いろいろと試行錯誤してたまたまいい手を思いついたとか、当てずっぽうにやってみたらうまくいったとか、そういうのが現実だという気はする。しかしビジネスとしてやっていく以上、それだけでは周りに許されないし、やっている当人にも消化不良感が残る。

そこで会社の思想だ。たとえば創業者の思いつきとか異常なこだわりに基づく思想。聞いた方は、何だそれはと思いつつも、本気が伝わってくればすごいと感じる。それから先は一転して論理的に開発した製品やサービス。その技術を磨き、ユーザーのニーズに応えているうちに、新しい何かが生まれる可能性が高まるのだ。

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