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インドの憂鬱

2020.12.23
高畑龍一

アメリカ留学にしていた頃、留学生の中の最大勢力はインド人だった。各人と仲良くやっていたのだが、そのうちに妙なことに気がついた。インド人の中でも2グループに分かれているのだ。一つは、いかにもお坊っちゃま/お嬢さまのグループ。高そうな服を着ているし、身のこなしも優雅。明らかにお金持ちだ。もう一つは、普通の人のグループ。「IT企業で働いて留学費用を貯めた」というようなホワイトカラーだ。この2グループが全く会話をしない。我々と話すときも別々。カーストが違うのかもとも思ったが、そう聞くのも気がひけるし、結局分からず仕舞。

後日、もっと明確にカーストを目の当たりにすることがあった。念願のインド旅行に出かけたときだ。トゥクトゥクみたいなタクシーに乗る以外、どうやって移動すればいいかも分からなかったので、少々贅沢してガイドを雇うことにした。ホテルで手配してもらい、現れたのは、イケメンのイスラム教徒。クイーンズイングリッシュを操るインテリだ。郊外に行く普通の(とは言っても年代物のインド車)や飛行機を手配してくれ、結局すべての旅程に同行してくれ、大いに助かった。

彼が言うには「イスラム教は平等、平和」とのことで、ヒンズー教との違いをアピールされた。そして、観光地じゃないところに行きたいというリクエストに応えて連れて行ってくれたのが無名の仏教寺院。「スリランカの金持ちは、死ぬ前にブッダのゆかりの地に寺院を建立するのが夢」とのことで、たしかに綺麗な花が咲く、真新しい寺院だった。

そこに登場したのが幼稚園児の集団。先生に手を引かれて散歩しているらしい。みんな小洒落た制服を着てるねと言うと、ガイド氏は「この子たちはアウトカーストなんですが、やはりスリランカの金持ちが寄付してくれるんですよ」と笑顔で説明する。そのとき、子供の一人が急に動いてガイド氏の足元に触れた。ガイド氏の血相が変わり、大げさに飛び退く。こちらはピンときてニヤニヤしてガイド氏の顔を見ると、「私もインド人なんで…」とガイド氏。「インド」と一括りにすることはできない。

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