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中国はなぜ怖い?

2020.11.25
高畑龍一

「アメリカ人と中国人は似ているね。言語の文法も同じだし」とよく言われる。たしかに、「己が世界の中心である」的な感覚はよく似ている。大陸だし、高速道路は真っ直ぐだし、行けども行けども同じような景色が繰り返されるし、高速を下りても町の感じは他と同じだし….すべてが一様で等方な感覚。つまり中華思想は宇宙原理なのだ。

これは周辺国からすれば少々厄介。嫌ですと言っても、白酒や激辛料理、民主や自由を押し付けてくる。本人たちには悪気はなく、それどころか、「せっかく我々の仲間入りできるのに」と本当に思っているところが手に負えない。

日本では、アメリカの価値観はすんなりと吸収したが、中国の価値観には抵抗がある人が多い。民族や文化の点で言えば、中国の方が近いのに、どういうことか。

以前さんざん議論した結果、「日本人にとって中国はお化けなのだ」説に落ち着いた。

そもそもお化けが恐いのは「我々と似て非なる」からだ。青白くて目が三つある人(っぽい存在)だから恐いのであって、セミを見せられて「これはお化けだ」と言われても全く怖くない。「人間型宇宙人」に興味をそそられるのも同じで、要は「不気味の谷」現象なのである。

顔が似ているし、漢字を使うし、白米も好きだし…だから日本人は「中国人とは分かり合える」と思ってしまう。そころが、いざ付き合ってみると全く違う点が次々に出てくる。そうなると、とたんに嫌悪感をもったり、怖くなったりする。できれば関わらないようにしようとなる。

アメリカはいまや身近すぎるから置いておくとして、たとえばサウジアラビア人相手だとどうか。正直言って、全く分からない。仕方ないので、「分からない」を前提としたコミュニケーションを取るしかない。であれば、我々とは違う点が出てきても、「なるほど、あちらの文化ではこうなんですね」と冷静に対処できる。

中国人を相手にしても、「外見は似ているが、中身は全く違うだろう」を前提にした方が安全である。ちなみに、英語と中国語はSVOの語順だけは似ているが、その他は全く異なる。

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