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知能と野心と武器のトリセツ

2022.03.07
中島嘉一

ロシアによるウクライナ侵攻に言い訳の余地はない。人が人を攻撃すること自体が無条件に総スカンを食らう行為だ。そう憤っていたところ、粋なニュースに少しホッとした。

ロシアの電気自動車の充電スタンドがハッキングされ、反プーチンのメッセージが表示される

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/03/post-98206.php

モスクワとサンクトペテルブルグ間の幹線道路、つまり超動脈瘤上にあるEV充電器が使えなくなり、代わりにプーチン非難のメッセージが流れたというのだ。

ハッカーといえば、TOYOTAの生産ラインを止めた事件も記憶に新しい。

トヨタも被害、サイバー戦争激化! 国内工場の稼働停止 岸田首相は露の関与について明言避ける 国際ハッカー集団から露へのハッキングも

https://www.zakzak.co.jp/article/20220301-XWBRAOEKYJJYZMV6LWQS5RWH3Y/

このハッキングのせいでTOYOTAに酷い被害がでたことは想像に難くない。中小企業であれば致命的になるはずだ。制作会社として我々も運用保守契約を付加するようにクライアントに必ずお願いしているが、ハッキングの危険性が広く認知されているとは思えない。

同じ犯罪でも、プーチンとEV充電器ハッカーはまるでベクトルが違う。かたや侵略、もうひとつは侵略を糾弾する技術(ハッカーの「愛」かもしれないが)。ハッカーも使いようなのだ。

結局、兵器も技術もそれを使う人次第。兵器も技術も進化することは止められない。いまや地球を何回も壊せるレベルの破壊力を人間は有している。このような現実の中、兵器や技術で人を攻撃するという試みこそが、人類共通の敵である。

国際宇宙ステーションの乗組員が感じる「戦争の虚しさ」

https://forbesjapan.com/articles/detail/46073?fbclid=IwAR21kluJD0HpGX8Uvfx7n4x5ISxu0BTQp2Ns6mhLXrxADPYBq4g92znmJ_Y

ISSから地球を眺めた時、「あそこを今度は侵略しよう」とか思うのだろうか。外に出たら一発即死の宇宙空間で仲間割れをしようと思うだろうか。

人間が生きる環境としての地球はもう相当危うい段階に来ている。長い目で見れば星としての地球だって終わりの日があるのだし、どのみち人類は滅亡する。

だったら滅亡までの時間を延ばす方向に、我々の知能と野心と武器、全てを投入すべきではないだろうか。プーチンに限らず、極悪非道の為政者は世界の歴史にはたくさん登場してきたが、それは地球が1つの船として認識される前の話だ。時代遅れの人間には、もう即刻退場してもらいたい。

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