COSPA technologies

余人を以ては代えがたい

2024.06.17
梅津遼太

「ブリティッシュ・ベイクオフ(The Great British Bake Off)」という番組を見ている。英BBCが制作するこの番組は、アマチュアの料理愛好家(ベイカー)が焼き菓子の腕前を競い合うものだ。ジョークなのか、辛辣な寸評なのかわからないコメントを真顔で言う姿がイギリスっぽくて面白い。

リンク:https://www.nhk.jp/p/ts/769R8KZZG3/

注目すべきはベイカーのアティチュードだ。お題の焼き菓子を作る際に、いかにオリジナリティを出すか知恵を絞る。自分の好きな味・デザイン、親から習った知恵、自分の出身地にゆかりある伝統を取り入れる。参加者の一人は「やっぱり、自分の地元に関係のあるもの(signature bake)を作らないと」と言い、もう一人は「私はフレーバーマニアなの。世の中にはいろんな味やスパイスがある」と言う。自分好みにアレンジするためにわざわざ悪戦苦闘する様は、シンプルなのに奥が深い。

当社がWebサイトを編集する方針も同じ。仮に制作の青写真があったとしても、そのままそっくり作ることはない。食べる人の心をここぞというタイミングで打つためには、レシピ通りの一品を作っても意味がないからだ。

判断基準は、独自の「面白さ」が来訪者の心に響くかどうかにある。クライアントに「たくさんの業種がある中で、何が面白くてなぜその業種を選んだのか?」を問いかける。

この問いには、実は問う側もドキッとすることがある。人は知らず知らずのうちに「世のため人のため」というなんとなくの理由で片付けてしまうからだ。しかし、どんな仕事もよかれと思ってやっているのだから、自分ならではのこだわりに気づかなければ意味を見失ってしまう。

内なる声に耳を傾ける。私たちのチームでは、時折、片手にランチパックを持ちながら「ん〜違うんじゃないの」と笑う編集長の声が聞こえる。「これだ!と思った時こそ、他人事のように見つめ、冷静に考えよう」、「面白いと感じられなければ、やめたほうがいいよ」。編集長が亡くなった今も、その声は私たちの心に響き続けている。

会社によって、人によって、こだわるポイントは違う。「このクライアントの仕事は、前工程と後工程との影響を考えながら、適切な製造ラインをパズルのように作り出すところに面白みがあると思うんだよね」。クライアントでも自ら言葉にできていなかった思いに光を当てる仕事は、会社をその会社たらしめる何かを肯定する取り組みだと思う。

私たちが目指すのは、クライアント「らしい」魅力が光るWebサイト。固定されたレシピや工程では作れるはずがない。今後も変わらずピリリと効くスパイスで、貴社の本質を表現するきっかけを作ります。

RELATED

MORE

latest

MORE