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まだ見ぬブランディング

2023.10.30
環境開発工業株式会社 取締役 /佐々木 リサ

1996年3月。私が入社した時の会社の住所は札幌郡広島町。前面の道路はまだ砂利道だったことを思い出す。その後、北広島の名称で町から市になり、あれから27年の時を経た今年、「世界がまだ見ぬボールパーク」というキャッチフレーズのもとに巨大施設が誕生した。当時は誰もが想像すらしていなかったはずであり、そもそも今から20年前に北海道にプロ野球チームが上陸するとも思っていなかっただろう。

このボールパークが出来ると耳にしたのは今から4年ほど前・・一体街はどのように変貌するのか、地元の住民や企業の導線はどうなるのか。6万人弱の人口しかいない街に試合の度に3万人ほどの人々が押し寄せるのだ。インフラをカバーするために当然住民税を始めとするあらゆる税金負担がのしかかるはず。

穏やかだった街が計画発表後から瞬く間に変貌していった。「札幌に近くて住みやすい」と言っていた北広島住民である社員の中からも、「住みにくくなるのではないか」と、まだ見ぬボールパーク誕生に対する不安や不満がちらほら聞こえてきた。試合日の交通渋滞に悩まされて当社の業務が停滞するのではないのか・・ただただネガティブ思考が並べ立てられた。関連各所からも当時悲鳴めいたものは聞こえてきた。開業が近づくにつれて相当な激務を余儀なくされたようだ。とにかく、ポジティブに捉えていた人は周りにいなかった。

人間は新しい試みへの挑戦や扉を開けることに戸惑いを感じる。そして、それぞれが想像する内容や範囲、感性やセンスに違いがあるので、各自が自分の都合のいいように解釈してしまう。「世界がまだ見ぬ」というキャッチフレーズを掲げていたボールパークは人々の想像の域を超えてしまったのだ。

しかし、このボールパークを理解してもらうために、市民、企業や各種団体向けに関係者が必死に魅力を伝える努力をされていた。メディアへのアピールも相当だった。

「ボールパークに終わりはない」
「道民開拓精神に刻まれたDNAが何かを求め、何かを創る」
「いつも貪欲に何かを求める」
「妄想を構想にして理想を創り上げる」

これがメッセージだ。何か素敵なものができあがって、それで人々の生活が豊かになるとか、そういうことではない。「世界がまだ見ぬ」とは、是非皆さんと一緒に見て、感じて、この地域で世界を目指そうということだったのだ。ボールパークのコアメッセージは道産子スピリットそのものと言える。

完成したボールパークは、日ハムファンのみならず、特に野球に興味がない人でも一度は行ってみたくなる、エンターテインメント性が高い魅力ある施設だった。そう思わせるのは、やはりブランドメッセージが浸透した成果なのだろう。野球を楽しむためだけではなく、試合がなくても終日楽しめる、ありとあらゆる施設が充実している。ホテル、キャンプ場、農園、アスレチックの他、分譲マンションやシニアレジデンス、直近では、札幌市内近郊の当別町から北海道医療大学を移転させるなど、「遊・食・住・学」が揃う一大タウン。ボールパークは完成形ではなく、北広島、いや北海道のサクラダファミリアのように完成までまだ道半ばなのだ。

このボールパークの魅力を伝えた「ブランディング」とは何なのか・・・PR TIMES社の記事の中に「企業などが自社製品や自社のブランドを形成するために行うさまざまなコミュニケーション活動」と記されている。まさにこのボールパークが、近隣地域の住民の方々はもちろんのこと、あらゆる方々に対し魅力を発信し続けきた活動そのものだ。少しでも興味を持ってくれる人が増えればブランディングとしては成功なのではないだろうか・・成功か失敗かは当事者しか判断できないと思うが、消費者目線で客観的にみるとボールパークのブランディングは成功しているように思える。

では、当社のブランディングはどうなのだろか・・・当社の事業である産業廃棄物業界はいまだにネガティブイメージを持たれがちだ。3Kはおろか5Kとも言われ、加えて反社会勢力が加担していると思われている節もある。当然当社に処理を委託する企業は、リスクを回避するために取引する前に徹底的に「企業となり」を調べ上げてくるだろう。委託を検討する企業が受けるファーストインプレッションは、いまやWEBサイトで決まる。ここで企業のブランディングに対する姿勢が問われるのだ。では、当社の強みをどう表現すれば、お客様が安心して委託することが出来るのか・・・当事者目線では変な謙虚さが勝り、中々良い部分をアピールしきれない。そうであれば、客観的かつ私たちの良いところをどんどん引き出してくれるブレーンを見つけることが必要となる。

このように考えていた時に「WEB幹事」を通じて出会えたのがコスパテクノロジーズ社である。「3Kのイメージを払拭したい」「かっこよくスタイリッシュにみせたい」「よくある産廃業のサイトではなく環境開発工業の独自性を見せたい」「社員が自慢できるサイトにしたい」「細部にこだわり妥協はしない」等々・・・あれやこれやの要望。多分相当頭を悩ませたはずだ。しかし、このクリエーター集団はあっという間に当社がまだ見ぬ潜在的魅力を引き出してくれた。これがブランディングの出発点なのであろう。

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WEBサイトをリニューアルした後に周囲から特に好評を得たのは「読み物」としても楽しめるコラムである。社員のコラムを見て「元気と勇気をもらった」とメールをしてくださる方や「おもしろかったよ」と声をかけてくださるお客様が多くなった。コラム筆者である社員達のモチベーション向上にもつながっている上に、物を書くことで「伝える力」が養われ、社員教育の一助にもなっている。

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「未知なるものを知りたい」側と「未知なることを知ってほしい」側とが100%マッチすることは少ないかもしれない。マッチしない場合は、知ってほしい側が何をどう伝えたいのかをはっきり自覚していないからであることが多い。それはまだ形になっていない熱量である。だから、その熱を同じ温度で受け止めた時に冷静にしてくれる、伝えることに徹するプロが必要だと感じる。そんな集団がコスパ社なのだ。この出会いは、更に新たな発見をもたらせてくれ、当社の発展に大きく寄与してくれると信じ、これからもたくさんのワガママをぶつけ、たくさん悩んでもらおうと思う日々である。環境開発工業に終わりはない。

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