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「自分で選ぶ」のがコスパ流

2024.05.27
中島嘉一

当社には語学マニアが多い。この前も「複数形になると意味が変わる単語」を発見した話を肴に楽しく談笑していた。情報工学が専門の私にはどうしてこのような話が続くのか皆目検討がつかない。ところが、最近娘がその「語学道」を歩き始めた。

現在小学校二年生の娘はオンライン英会話に夢中。きっかけはお友達で、学童クラブにいるハーフで英語を話す子と話したくなったのだ。オンライン英会話を始め、毎日楽しそうにパソコン席に座る。まず先生たちを物色。「話してみたい!」と思う先生と笑顔でレッスンを開始する。子ども用テキストも使っているが、大半は先生と好きなことをする。ピアノをひく、好きな本を見せる、学校での出来事を話すなど、英語を学ぶというよりも「自分を伝える」ことを学んでいるという印象だ。見ていて微笑ましい。

同い年でやはりオンライン英会話を楽しんでいる子を持つ当社メンバーにこの話を話した。すると、彼女曰く「英語上達の秘訣は『自分で選択する』ということにありそう」。本、雑誌、テレビyoutube…何でもよい。「自分で選んだ」ものが最高の教材になる。その子は幼稚園の頃に英国のYouTube番組「Come and play」に夢中になり、毎日食い入るように見て、いつの間にか英語で人形ごっこをするようになったという。

https://www.youtube.com/@ComePlayWithMe

そして6歳の頃には情緒たっぷりに完コピしていたという。今や英語話者。英語で映画を見た後は間違えて英語で話してしまうらしい。日本語環境で育ったのにネイティブ。押しつけではこうはならない。まさに「好きこそものの上手なれ」だ。

同じことは大人にも、そして仕事にも言える。いい仕事は、「仕事」とは意識しないで仕事しているときに生まれる。損得度外視でつい夢中でやってしまうという状態が最も強い。頼まれてもいないことを、求められてもいないクオリティでやる。そのパワーがユニークな価値を生む。AIが跋扈するこの時代に人がAIに勝てるのはユニークさであり、そのユニークさの根源は「好き」という不合理な感情なのだ。

「好き」に出会うためには、いろいろ試してみた方がいい。たいていはすぐに飽きてしまうだろうが、その中で飽きないものを「自分で選ぶ」。飽きないのだからいつまでも続く。困難を乗り越えるのもまた楽しからずや。気がつけば、その道の達人になる。最強なのである。

商売の心構えとして「選ぶより選ばれる人になりなさい」ということも言われてきたが、AI時代には忘れていい。例えばWebサイト制作。AIが作る凡庸なサイトと同じレベルだと、「選ばれる」ことを目指してきたのに結果的に「誰にも選ばれない」ということになる。デザインにしろ翻訳にしろ、AIが出してくる案とはまったく違う視点が必要なのであり、それは「自分」から始まるのだ。

このような考え方は日本の社会では疎まれるかなとも思いつつ、ここ数年やってきたところ、意外なほど共感していただき、業績が好調に推移している。日本社会は確実に変わりつつある。

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