中国向けホームページ制作法㉗~小売業に急接近するIT企業~
ホームページがECサイトやSNSが代わる!?
中国大手IT企業の小売へのアプローチが強まっています。実際の店舗で電子決済や顔認証を導入するほか、インターネットショッピングで用いられる買い物カートを使った買い物方式の採用、自分の居場所から行きたい小売店への道案内など、IT技術を駆使した新しい買い物スタイルが浸透しょうとしています。中国のECサイト最大手アリババグループ(阿里巴巴集団)や、アリババグループに次ぐ京東集団、SNS「微信(WeChat)」を提供するインターネットサービス大手、テンセント(騰訊控股)が競って小売分野に投資する背景には、ECサイトやSNSと実店舗の連携、人工知能(AI)、小売市場のデータ蓄積による提案力強化やネットユーザーの取り込み・囲い込みの狙いがあります。小売店のネット集客はこれまで主にホームページや動画CM、口コミなどに頼っている側面がありましたが、IT企業の相次ぐ小売業への急接近で今後はECサイトやSNSが主流になる可能性が出てきました。
小売りの消費者、微信へ誘導 テンセント
スマートフォン(スマホ)ユーザーが、行きたい小売店や飲食店の情報をインターネットで調べるのは、中国の街では見慣れた光景だと思いますが、今後はスマホユーザーに行きたい店が思い浮かばない時、スマホがそれぞれのユーザーに合った店の候補を提案する光景が街でみられるようになるかも知れません。2018年2月2日付の日本経済新聞によりますと、テンセントが2017年から微信(WeChat)でサービスを開始している「小程序(ミニプログラム)」では、ユーザーの位置情報や人工知能(AI)と連動して、ユーザーの好きそうな店を次々と表示してくれるといいます。それぞれの店の小程序には、行き方やメニューなどの情報が示されており、ユーザーがわざわざホームページや地図アプリを開いて店の基本情報を調べる手間を省略しています。
微信の小程序のサービス開始からまだ1年ですが、すでに1日に利用者数は1億7000万人に上るそうで、ページを設けた企業・店舗は58万社に達しているといいます。店の情報や買い物の他にも出前やシェア自転車の利用など消費関連サービス全般に対応しており、テンセントととしては小程序を全ての消費の入り口として定着させ、微信への一層のネットユーザーの誘導や活性化に繋げたいようです。テンセントは微信で企業アカウントによる情報発信や企業と消費者の相互コミュニケーションに努めてきましたが、小程序による消費者への提案力が加わることで、微信の電子決済サービス・微信支付(WeChat Pay)も含め、微信を販促に利用する企業にとって微信内のさまざまな機能の相乗効果が期待されます。
ネット通販の技術で無人店舗 京東集団
ECサイトを運営するIT企業が実際の小売店に手を伸ばすのは、リアル(実店舗)でも勝てなければネット通販のシェアを奪われかねないという危機感があるからです。例えば、ECサイト最大手のアリババグループは、豊富な資金による百貨店・大型スーパーのM&A(合併・吸収)や、影響力のある天猫(Tmall)の11月11日「独身の日」セール、電子決済サービス・支付宝(Alipay)などで、実店舗でも多くのネットユーザーを取り込んでいます。ですが、提供するサービスで実店舗との関係性が薄い他のECサイトを手掛けるIT企業はアリババグループに比べて遅れをとっていると言わざるを得ないでしょう。
中国EC第2位の京東集団は、ネット通販で築いた自社物流網を駆使したスムーズな商品調達・配送で、無人スーパーを大量出店し、ネット、店舗の顧客獲得を図ります。すでに営業を開始している無人スーパーには、菓子や果物、日用品といったコンビニ並みの商品が並んでいるといいます。無人スーパー店舗の作りはIT技術を導入し、電子決済や顔認証を採用。利用者は、万引き対策などのため、京東のネット通販サイトに登録する必要があり、入り口前方のカメラで顔認証してから入店します。レジはなく、センサーで商品のICタグを識別して決済する仕組みです。今後、代金を自動計算する買い物カート方式の高級スーパーも拡大していく方針だそうで、ネットに比べて品ぞろえが劣る点についてもビッグデータを活用し売れ筋商品を迅速に陳列できるようにする計画です。
ホームページの役割は薄れつつあるのか?
自社の商品やサービス、アクセス方法などの情報をネット上に発信し、集客やビジネスに繋げるホームページの担う役割が今、中国社会で薄れつつあるのかも知れません。ECサイトやSNSを提供するIT企業がネット空間、リアル空間で存在感を増し、ホームページなどの情報を検索しようとするネットユーザーのニーズに先手を打ちます。しかし、SNSやECサイトによる画一的な企業ページでは、本来の企業や商品、サービスの魅力は埋没してしまう可能性があります。中国の消費者に伝えたいメッセージがあるならば、一層の発信力のあるホームページ制作とホームページへアクセスされるためのマーケティングが重要になってくるでしょう。弊社㈱レクサー(LXR.Inc)では、中国のネット環境の変化に即応したホームページ制作とマーケティングに取り組んでおりますので、お気軽にご相談ください。
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