順調なアリババのB2Bビジネス、AIを用いて高効率な“アリババ経済体”構築を目指す。
アリババといえば、引退したジャック・マー会長のカリスマ、独身の日セールや新零售のB2Cビジネス、余額宝や花唄に代表される金融事業、のイメージだろう。しかし、祖業はB2Bネット通販で、現在に至るまで連綿と続いている。最近は越境Eコマースのブームなどもあり、アリババB2Bサイトは、改めて取り上げられることが多い。アリババは何を目指しているのだろうか。詳しく見ていこう。
アリババB2Bビジネスの歴史
1999年 国内卸売サイト、スタート。
2001年 海外サプライヤーを掲載した「International Trust Pass 」会員サービス開始。
2002年 B2Bマッチングサイト、「誠信通」サービス開始。
2006年 B2B子会社「阿里巴巴網絡科技有限公司」設立。
2007年 同社 香港市場へ上場。
2008年 輸出サービス開始
2012年 同社 上場廃止に。
2013年 B2B中国事業、登録会員1億突破。
2014年 アリババ本体、ニューヨーク市場へ上場。
2015年 全球(世界)貨源プラットフォーム「1688」スタート。
2016年 1688のビジネスユーザー1億2000万突破、1日ページビュー1億5000万突破。
2017年 1688超級店(スーパー)開始。工業製品と原材料を同時出品。
2018年 「数字化(デジタル化)出海計画」発表。
2019年 米国中小企業へB2B国際プラットフォームを開放。
最近のB2Bビジネスの営業収益は
2014年 74億8000万元
2015年 92億8100万元
2016年 111億8000万元
2017年 131億8500万元
2018年 170億5700万元
5年間で2.3倍に成長している。
4つのB2Bサイト
(阿里巴巴国際站)
阿里巴巴国際站は、1999年以来の初版以来の20年の歴史を重ねている。現在では国際B2Bプラットフォームのリーダー的存在である。全世界のバイヤー(貿易商、卸売商、小売商、製造商)に優秀な中国サプライヤーをマッチングする。サプライヤーには、通関、税還付、貿易融資、物流など貿易の基本業務サービスを提供する。また16種の言語に対応し、同時通訳も可能。現在会員バイヤーは1億5000万人、40業種、5900小分類の商品が、1日30万件取引されている。
(1688)
オリジナルの名称は「阿里巴巴中国交易市場」、国内中小企業間の取引サイトである。
原材料、工業製品、服飾服装、家具・家庭用品、雑貨など、16業種において、原材料購入、生産加工、製品卸売までの一貫したサービスを提供する。20年の累計で100万の中小企業が利用している。
(阿里巴巴零售通)
2015年、1688網はこの「零售通」で小売業へ進出した。主にオフライン店舗を組織化しての効率化を目指す。販売のオンライン化、新チャネル作り及びデジタル化、末端オフライン商店のデジタル化などを目標とする。2019年上半期には全国130万のパパママストアをオンラインでカバーした。
(淘工廠)
2013年12月にスタートした。淘工廠は、サプライヤーと良質な工場をつなぐマッチングサイトである。生産工場のオンライン化を援助するとともに、多くの工場をつなぐサプライチェーン構築を目指している。
ビジネス環境をアリババ流へ改変
阿里巴巴国際站の将来計画は、税関データと互換性を築くことにより、国家機関である税関の内部システムをより高度化することだ。国家と企業の断層を無くし、双方のネット空間を同一化しようとしている。
その他のB2B事業では、デジタル経済を推進し、新しい国内取引の枠組みを作っていく。ビジネス環境そのものを、高効率の“アリババ経済体”に導いていくのである。新貿易、デジタル化、ビッグデータ、AIを武器に、ビジネス環境そのものを変えていこうとしている。
アリババは着実にB2Bビジネスを拡大している。すでにアリペイでB2Cビジネスの革命を起こしている。B2Bでは、国家機関の改革をも伴うより大規模な改変を目指していた。。その成り行きは日中貿易にも影響を及ぼすだろう。しっかり注視しておきたい。