日本市場進出の切り札となるのか?AmazonのFBAが中国で注目されている
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中国ECにとって日本市場は未開の荒野?
中国ECは2017年に入ってもスピードを緩めることなく成長が続き、中国国内の消費者に海外の商品を売るだけではなく、世界の消費者に中国の商品を売っていくことが中国ECの大きなテーマになっています。その中で日本市場も潜在力のある市場として注目されています。2016年の統計では、日中間の貿易額は、日本から中国への輸出は9627.5億元で増加率は8.5%だったのに対し、中国から日本への輸出が8527.5億元で増加率は1.3%と中国の対日貿易赤字は1100億元に膨らんでいます。中国にとって日本は5大貿易相手国のうちの一つであるのですが、中国のECに携わる人たちにとっては、言語の問題や文化や消費者のサービスに対する考え方の違いから、日本市場はまだまだ非常にハードルの高い、進出の難しい市場なのです。2017年の中国のECのトレンドは海外市場への進出ですが、中国のEC業界では日本はまだ手付かずの「未開の荒野」とも言われているようです。
日本市場進出に横たわるハードル
中国のEC企業が日本市場へ進出する際には、多くの困難が付きまとうと考えられています。どのようなハードルが待ち構えていると考えられているかというと、日本の税関の管理が厳しい、日本に拠点を置くのは難しいのでパートナーを求めても日本企業は中国企業と提携したがらない、日本の消費者はサービスに対する要求が高いと聞いているがクレームに対応する方法がわからない、日本の物流体制が十分に整っていることは理解しているが消費者に効率よく商品を届ける物流問題をどう解決したらいいのかわからない・・・などといったことに頭を痛めているようです。
Amazonは日本進出の理想のプラットホーム
そんな中で注目を集めているのが「AmazonのFBA」です。FBAとは正式名称を「fulfillment-by-amazon」といい、その頭文字をとってFBAと呼ばれているAmazonが提供する販売業務効率化サービスです。FBAの説明をする前に、中国のEC業者が「Amazon」を利用するメリットについて説明します。中国のEC業者がAmazonのプラットホームを利用するメリットとして指摘されているのは、まずなんといってもAmazonの絶大なる集客力を利用できることと。さらには消費者に定評あるAmazonの顧客体験を与えられることです。またAmazonは「楽天」などどは異なり、出店者の知名度よりも商品自体の価格や機能が優先される仕組みなので、知名度では日本の出品者にはかなわない中国のEC業者でも日本市場で十分渡り合えるというメリットがあるのです。
AmazonのFBAとは?
FBAというシステムは、Amazonが在庫商品を預かり、その商品が売れたタイミングで梱包から発送までをAmazonが代行するサービスです。通常のAmazonへの出品では在庫管理や梱包、発送作業は自分で行わなければなりません。しかしFBAでは日本国内のAmazonの倉庫に商品を送りさえすれば、その管理をAmazonがしてくれて、商品が売れた場合にはAmazonの物流網によって高いクオリティーで消費者に配送してくれるのです。中国のEC業者が自分で行う必のは出品した商品をAmazonの倉庫に発送するまでで、商品の保管・受注後の商品発送、さらにはカスタマーサービスや返品の対応などはすべてAmazonが行ってくれます。しかもその対応は365日・24時間体制なのです。
FBAのメリットは業務効率化だけではない
FBAを利用するメリットは、業務の効率化だけではありません。FBAを利用することによって商品が売れやすくなるというメリットもあるのです。なぜ売れやすくなるかというと、FBAを利用して商品をAmazonに出品すると、商品の検索順位が上位になる可能性が高くなります。配送日数やコストも中国からの直送と比較して大きなアドバンテージが得られます。また決済方法に消費者がクレジットカード決済以外にも「代引き」なども選べるようになって選択の幅が増えます。配送先もコンビに受け取りが選べるようにもなって、より多くの消費者に訴求できます。FBAを利用すると出品者名の下に、「Amazon.co.jp が発送します」と表示されるので消費者の信用を得やすくなるということも指摘されています。そのほかにも意外と人気があるといわれている「ギフトラッピング」利用できるといったメリットもあります。このようにFBAは中国のEC業者が日本市場への進出に当たって頭を痛めている問題の主要な部分を見事に解決してくれる魅力のあるシステムなのです。中国のEC業者から日本市場進出にあたってFBCが注目を集めている理由はそのあたりにあるようです。
中国ECのFBA利用はますます増加が予想される
中国のEC業者にとってFBAは非常に魅力のあるシステムなのですが、これを利用するには乗り越えなければならないハードルがあります。中国のEC業者が商品をAmazonの倉庫に送る場合Amazonは通関代行はしてくれないので、中国のEC業者は仮の輸出相手先や通関業者を自分で探さなければなりません。そこで、中国のいくつかの国際物流業者が、「FBA頭程サービス」と称して、FBA利用の前段階となる通関からAmazonの倉庫への輸送を代行するサービスを展開し、中国のEC業者のFBA利用を後押ししています。中国の越境ECの輸出は今後5年間、年平均20%の成長が予想されています。同時に輸出に占めるB2CやC2Cの割合も増えていくと見られています。中国ECのグローバル化が進む中で日本市場への進出の足がかりとしてAmazonのFBAを利用する中国のEC業者も増えていくでしょう。こういった中国のEC業者との提携の中に、もしかしたら新たなビジネスチャンスが生まれてくるかもしれません。