越境Eコマースの進化はやはりアリババの次第?双11(独身の日セール)に向けた体制作り進む。
中国では、越境Eコマース(以下越境EC)の話題が絶えることはない。先日は業界2トップの易易孝垃と天猫国際が、一緒になるという大きなニュースが伝えられた。それも含めて2019年下半期の越境EC業界は、どう動くのだろうか。最近のニュースから探ってみよう。
アリババの「全球速売通」
9月中旬、アリババ系の全球速売通(Ali Express)は、2019年双11(独身の日セール)発布会において、今年導入する新しい手法と規則を発表した。
全球速売通は、世界のバイヤー(220以上の国家と地区)に対し、支付宝(Ali Pay)国際口座残高の担保を通して、迅速な取引と決済を行う。国際版の淘宝(C2Cサイト)という位置付けだ。主に中国中小企業のために、海外バイヤーをマッチングする。3大英語ショッピングサイトの1つと紹介されている。
その全球速売通が今年から、双11への対応を変更する。これまでの単品拡販活動から、販促メディアを重視していく。ショートビデオ、オンライン生放送、イラストや文章を多用して、商品群のテーマを主張する。目標は最新の手法を利用して、リピーターを獲得することにあるという。
東南アジアECの「Lazada」
Lazadaは2012年、シンガポールで設立され、東南アジア各国でネット通販事業を展開している。当初は欧州系資本だったが2016年、アリババは10億ドル相当を出資し、経営権を取得する。2018年3月には、20億ドルを追加投資し、さらなる業務拡張に乗り出した。
そのLazadaは9月中旬、深圳市で越境ECの会議を開催した。中国中小企業の出店を促す内容で、運営サポートの強化、システムの刷新により、出店戦略をレベルアップしていくという。
具体的には、深圳と杭州に出店サポートオフィスを設置し、新規出店者の審査期間を15日から3日に短縮した。新規出店者のため、専属コンサルタントを準備し、教育訓練や経営指導に当たる。
「阿里巴巴国際站」48時間物流を構築
阿里巴巴国際站は、国際版B2Bプラットフォームである。全世界のバイヤー(貿易商、卸売商、小売商、製造卸)と、優秀なサプライヤー(工場)をマッチングする。今後の経営課題は以下の4点。
1 倉庫と物流のレベルアップ…現在運航している国際快速便24路線に対し、倉庫を31カ所に増強する。そして主要路線において、48時間以内の荷物受渡しを可能にする。
2 産業ベルト作り…世界で69の特色ある産業ベルト地帯を作り、そのうち21ヶ所を一流に仕上げていく。その中には中国・義鳥(小商品市場で世界的に有名)も含まれる。
3 営業を一新…これまで顧客の国際站を利用したディ―ルは、概ね週1回のパターンにとどまっていた。これをより多くの細かい需要に対応できるよう体制を刷新する。
4 決済システム…ここ3年、国際站はB2B越境ECのネット決済網作りを行ってきた。現在22の主要通貨での決済を可能とし、56の国家と地区での現地決済を可能とした。取引当たりの外為コストを15ドル以内に収め、従来は2~3%かかっていたこのコストを1%以内にする。
まとめ
アリババは、越境ECでも時代の先頭を切っていた。国内販売では、現在大爆発している投稿型ショートビデオで販促し、東南アジアの系列ECサイトでは、中国企業の出店を促し、国際サイトでは、独自の決済システム構築に励んでいた。やはりこれだけのパワーで、ビジネス環境を刷新しようとまで考えている企業は他にない。ライバルは付いていけないだろう。
第2位の易網孝垃がアリババ系列となれば、もはや比較すべきカウンターパートやそれに続くものは皆無に等しい。B2Cビジネスだけでなく、越境ECの進化もしっかりウオッチしておきたい。