
LinkedIn営業とは?見込み客開拓に活用する方法と成功事例を紹介
この記事で分かること
- LinkedInを使ったBtoB営業が注目される理由
- 見込み顧客へのDM・InMail、LinkedInのプロフィールと投稿のコツ
- Sales Navigator(有料版)と無料版の違いと活用パターン
展示会では決裁者に届かない、DMや電話営業成果が出にくい。そんな時代に注目されているのが「LinkedIn営業」です。つながり申請や投稿による信頼構築、InMailを使った精度の高いアプローチが可能になります。
この記事では、営業手法の基本からプロフィールや投稿戦略、無料版と有料版の違い、成功事例までを解説します。
目次
1.なぜ今LinkedInを活用した営業活動が注目されているのか
2.従来の営業手法とLinkedin営業との違い
BtoBの営業では、従来展示会、代理店を通じたアプローチが主流でした。しかし、電話では担当者にすらつながらず、展示会では同業他社との競争に埋もれてしまうという課題があります。こうした状況に対し、今注目されているのがLinkedIn(リンクトイン)営業です。
LinkedInを活用することで、企業のキーパーソンに対してダイレクトに情報を届けることが可能になります。従来のように営業先企業の受付を突破する必要もなく、SNS上での信頼形成を通じて、商談に進みやすい土壌を作ることができます。
さらに、LinkedInでは相手の職種や関心、過去の経歴も把握できるため、より精度の高い営業活動が可能になります。いま求められるのは「足で稼ぐ営業」ではなく、「つながりで成果を出す営業」なのです。
3.今LinkedInを活用した営業活動が注目されている理由
いま、LinkedInが営業チャネルとして注目されているのは、単なる流行ではありません。 決裁者に直接リーチできる、相手情報を事前に把握できる、発信による関係構築ができる。この3つを同時に実現できる点が、次世代型の営業手法として支持されている理由です。LinkedIn 営業 活用は“攻め”と“待ち”の両面を兼ね備えた新たな営業手法として注目を浴びています。
ターゲット企業のキーパーソンに直接アプローチできる
営業で成果を出すには、誰にアプローチするかが極めて重要です。従来は展示会や電話を通じて、総務部や受付を経由し、なかなか決裁者にたどり着けませんでした。しかし、LinkedIn(リンクトイン)営業では、事業部長や経営層などのキーパーソンを検索し、直接つながり申請やInMailを送ることが可能です。
特にBtoBの海外展開においては、言語や文化の壁を越えて“ダイレクトに意図を伝える”手段が限られます。事前に見込み度の高い人を特定でき、決裁者・意思決定者・現場担当など目的に応じた層にリーチできる柔軟性も魅力です。ターゲットを見つけ出すためには、以下4点をチェックしましょう。
ターゲットを見つけ出すためには、以下4点をチェックしましょう。
- 肩書き
- 部署
- 役職
- 発信内容
LinkedInは、ビジネスSNSとしてグローバルに通用するツールであり、海外営業活動のスタートラインとして非常に有効です。多忙な決裁者にも直接届くルートが確保できることが、LinkedIn 営業の大きなアドバンテージといえるでしょう。
ターゲットの情報を精度高く把握できる
LinkedIn(リンクトイン)営業の強みのひとつは、営業対象者に関する“深い個人情報”が事前に得られる点にあります。相手の肩書き、部署、職務内容はもちろん、学歴や過去の職歴、最近の投稿内容やコメントまで確認できるため、単なる業種・会社レベルではなく“個人に最適化されたアプローチ”が可能になります。
たとえば、投稿からはその人が関心を持っているテーマや価値観がにじみ出ており、どんな表現や切り口が響くのかを読み取るヒントになります。また、役職や部署構成を見れば、決裁権の有無や影響力の大きさも推測しやすく、アプローチの優先順位づけにも活用できます。
こうした情報は、従来の展示会や名刺交換では決して得られないもの。戦略的な営業活動を進める上で、LinkedInほど強力な“人物理解ツール”はありません。国内外問わず、相手を理解し、刺さる提案を届ける営業スタイルを実現できるのが、LinkedIn 営業 活動の大きな特長です。
ナーチャリングとリード獲得を同時に狙える
LinkedIn(リンクトイン)営業の魅力は、単発のDMで終わらず、「つながったあと」にも関係性を育てられる点にあります。たとえば、自身のプロフィールや投稿を通じて役立つ情報を定期的に発信することで、見込み客のフィードに繰り返し登場し、自然に信頼を積み重ねていくことができます。
こうして「この人は信頼できる」「ちゃんと業界を理解している」という認識が形成されると、あとから送ったDMも読まれやすくなり、商談につながる確率が格段に高まります。これは広告や一斉配信のDMにはない、“つながってから育てる”という営業の可能性です。
いわば、マーケティングの「ナーチャリング」を営業個人が行えるという、これまでにないアプローチ。LinkedIn 営業 活用は、「1通のメッセージ+継続的な発信」でリード創出と育成の両方を実現できる、多機能な営業手法なのです。
4.LinkedInでの2つの営業手法
アウトバウンド営業(DM・InMail)の特徴
LinkedInでは、こちらから仕掛ける“アウトバウンド営業”が効果的です。 つながり後に送る「DM」、未接点でも届く「InMail」を使い分けることで、精度の高いアプローチが可能になります。 一方的な売り込みではなく、相手視点で関係を築く工夫が成果を左右します。
DM
DMは、LinkedIn上でつながりが承認されたユーザーに送る無料メッセージ機能です。営業活動においては、まず接続申請時に自然な一文を添え、相手の警戒心を解きながら接点を作ることが重要です。その後、DMでのやりとりを通じて、相手の興味関心や課題を引き出していきます。
特にBtoB領域では、営業色を出しすぎないやりとりから信頼を醸成し、徐々に提案へと進める流れが有効です。LinkedIn 営業 活動としてのDMは、即アポだけでなく“関係のスタートライン”として機能します。初回メッセージは共通点・相手視点・短文が基本。自社の話をしたい気持ちを抑え、「あなたに関心があります」という姿勢が返信率を左右します。
InMail(インメール)
InMailは、LinkedInの有料機能であるSales Navigator(リンクトインセールスナビゲーター)などを使って、つながっていない相手にも直接メッセージを送れる機能です。特に接点のない企業のキーパーソンにアプローチしたい場合、InMailは極めて強力な武器になります。
LinkedIn 営業 メッセージとしては、まず200~300字程度の簡潔な構成を心がけ、相手のプロフィールや最近の投稿内容を踏まえた「パーソナルな内容」に仕上げるのがコツです。たとえば「〇〇の取り組み、非常に興味深く拝見しました。△△について少しお話しできれば…」といった文面が好反応を得やすいです。InMailは送信可能数に制限があるため、量よりも精度重視。少数精鋭の刺さる営業活動を実現するために活用すべき機能です。
インバウンド営業(投稿・プロフィール)の特徴
LinkedInでは、投稿やプロフィールを通じて“営業しなくても相談が来る状態”をつくることが可能です。 価値ある発信と信頼感のあるプロフィールが、「この人に聞いてみたい」という自然なアクションを生み出します。 押し売りではなく、共感と信頼で引き寄せることがインバウンド型のLinkedIn営業です。
投稿
営業投稿=商品紹介、という時代は終わりました。LinkedInでは、読者にとって役に立つ、共感できる、意見を言いたくなる投稿が反応されやすい傾向があります。たとえば「海外展示会で感じた商談の変化」や「LinkedIn 営業を始めて失敗したこと」など、自分の実体験や気づきをベースにした内容が効果的です。
こうした投稿を通じて、「この人は現場を知っている」「考え方に共感できる」と感じた相手が、コメントやDMで接点を持ってくれるのです。大事なのは“自分語り”ではなく“読者目線”。投稿に「自分もそう思っていた」と思わせる力があれば、営業せずとも商談が生まれる。それが、LinkedIn 営業 活動における投稿戦略の本質です。
プロフィール
LinkedIn 営業で見落とされがちなのが、プロフィールの重要性です。つながり申請やDMを送った際、相手がまず見るのはあなたのプロフィール。そこで「何をしている人か分からない」「肩書きが曖昧」「実績が見えない」といった印象を与えると、せっかくのアプローチも無視されて終わります。
逆に、「〇〇領域に強みを持ち、△△な実績がある」「××な企業に支援実績あり」などの具体的な情報があると、相手は信頼してやりとりを始めやすくなります。特に見られるのは、肩書き(ヘッドライン)、自己紹介(サマリー)、職務経歴の3箇所。たった1回の接触でも、「この人なら相談してみたい」と思わせるプロフィールが、営業活動の成果に直結します。
5.LinkedIn営業で返信が来るDMの送り方
狙う相手を間違えない|ターゲティングとリスト作成
LinkedIn(リンクトイン)営業で成果を出すには、どんなメッセージを送るかよりも、誰に送るかの精度が決定的に重要です。同じ内容でも、相手が決裁者か現場担当者かによって反応は大きく変わります。だからこそ、最初に行うべきは「ターゲットの明確化」です。
まずは、自社の商品・サービスにマッチしそうな業種、企業規模、担当部署、役職レベル(例:マーケティング部長、新規事業責任者など)をリストアップし、理想の顧客像(ICP)を定めましょう。LinkedIn内では、検索フィルターを使ってターゲットを抽出できます。
たとえば、以下のような属性で絞り込みができます。
- 地域(Japan, Singaporeなど)
- 業種
- 職種
- 企業名
- 会社規模
これらの条件を組み合わせて検索することで、精度の高い候補者リストを作成できます。有料版のLinkedin Sales Navigator(リンクトインセールスナビゲーター)を使えば、より詳細なセグメントも可能になります。
さらに重要なのが、「リストをつくる」という視点です。ターゲットは思いつきではなく、50~100人単位で名前・会社・役職を一覧化して管理するのが基本。スプレッドシートやCRMツールにまとめておくことで、接触履歴や返信状況の可視化ができ、重複や抜け漏れも防げます。
最初は面倒に思えるかもしれませんが、この“仕込み”が、後の返信率・商談率を左右する最大の変数です。LinkedIn 営業 活用では、「誰に・なぜ・どの順で」アプローチするかを戦略的に設計することが成功の第一歩です。
読まれる・返されるDMの構成パターン
LinkedIn営業メッセージは、単なる売り込みではなく、相手の関心に寄り添った構成が重要です。
基本は「共通点・関心 → 提案の背景 → 商談提案」という3ステップ。たとえば「〇〇様の投稿を拝見し、共感したためご連絡しました」といった形で、なぜ連絡したかを冒頭で明示します。続けて「弊社では同様の課題を支援しており…」と、相手に関連する提案背景を伝え、最後に「10分ほどお話しできませんか?」と行動を促すと効果的です。
IRや投稿内容、会社情報などの事前調査をもとにパーソナライズすることで信頼感が生まれ、返信率が大きく向上します。長文は避け、全体で300〜400文字程度に収めるのがベストです。まずは“読んでもらう”、そして“返してもらう”構成を意識しましょう。
実際に成果が出たメッセージテンプレート
ここでは、実際に成果につながったLinkedIn(リンクトイン)営業メッセージを3タイプご紹介します。いずれも短くても「関心・価値・行動依頼」の要素を含んだ構成です。
業界共通点型
「〇〇様のご経歴を拝見し、同じ製造業として共通の課題を感じご連絡しました。
弊社では海外顧客との接点づくりを支援しています。10分ほどご相談できれば幸いです。」
投稿反応型
「先日のLinkedIn投稿、共感いたしました。弊社も展示会に代わる施策を提案しており、
近いテーマでご相談できればと思いご連絡しました。」
提案前提型
「〇〇様の事業内容を拝見し、海外展開の支援が可能かと感じました。
実績をご紹介できればと思い、ご連絡させていただきました。」
これらのテンプレートはあくまで参考であり、最低1か所は相手の情報を入れてパーソナライズすることが必須です。丁寧な文脈で送れば、営業感を嫌がられることはほとんどありません。相手に対する関心を持ち、情報収集を徹底した上でアプローチすることで、営業の打率を高めましょう。
6.信頼されるLinkedInプロフィールと投稿戦略
信頼感が伝わる自己紹介文・肩書きの書き方
LinkedIn 営業で最初に見られるのがプロフィールです。相手がメッセージを受け取ったあと、必ずと言っていいほどプロフィールを確認します。そこで「何をしているのか」「信頼できるか」が伝わらなければ、返信は期待できません。
- ヘッドライン(肩書き)
LinkedInで、相手はメッセージを受け取ったあと必ずプロフィールを確認します。特に重要なのが肩書き(ヘッドライン)です。「営業部所属」などの一般的な表現ではなく、「誰に、どんな課題を、どう支援しているか」が一目で伝わる具体的な言い回しが効果的です。 - サマリー(自己紹介文)
自己紹介文では、単に自分が何者かを伝えるのではなく、「この人に相談したらどう役立つか」を相手に想像させる自己紹介文が理想です。「前年比120%改善」といった成果ベースの実績を盛り込むことで、信頼性が格段に高まります。 - 投稿との一貫性
信頼感を高めるためには、肩書きと投稿内容の一貫性が欠かせません。たとえば「海外販路支援」と書かれていても、投稿が趣味や無関係な内容ばかりでは営業としての軸が伝わらず、信頼されにくくなります。LinkedInにおけるプロフィールは“名刺”でもあり、DMや投稿の反応率も大きく向上します。
「営業っぽくない投稿」で自然に認知を広げる方法
LinkedInでは、いきなり商品紹介やサービス説明をする投稿は敬遠されがちです。その代わりに有効なのが、「営業っぽくない投稿」。特に、「共感」や「学び」を軸にした投稿は反応されやすく、多くの読者の目に留まります。おすすめの投稿ジャンルとしては、営業現場でよくある課題に対する気づきや、実際に取り組んだ改善策、あるいは現場で失敗したことから得られた学びなどが効果的です。
たとえば、「海外営業で感じた現地文化とのギャップ」「展示会からオンライン営業に切り替えたきっかけ」「LinkedIn営業を始めた当初の失敗談」など、自分の経験から得たリアルな気づきは読者に刺さります。
以下の切り口を参考に投稿を行ってみましょう。
- よくある課題への気づき
- 実体験から得た学びや教訓
- 業界トレンドやニュースへの自分の見解
何よりも大切なのは、自分の言葉で綴ることです。また、投稿の末尾に「◯◯について、皆さんはどう思いますか?」といった読者参加型の一言を添えるだけで、コメントやリアクションが得られやすくなります。派手な画像や図解がなくても、“共感される一文”があれば、投稿は広がります。営業を感じさせない発信こそ、LinkedIn 営業 活用において最も信頼を生みやすいアプローチのひとつです。
いいね・コメント・再投稿を促す投稿設計
エンゲージメントの高い投稿を作るには、投稿内容の質だけでなく、見やすさや構成にも配慮が必要です。ちょっとした工夫が、いいね・コメント・再投稿といった反応につながりやすくなります。
以下4つのポイントを押さえると、自然に読まれ、反応される投稿に近づきます。
- 読みやすさを意識した文章設計
一文を短めにまとめ、適度に改行を入れることで視線の流れが止まりにくくなります。また、重要な情報や複数の要素は、箇条書きにして整理することで読みやすさがぐっとUP! - 構成は「結論 → 理由・背景 → 行動を促す問いかけ」
たとえば「展示会だけでは限界があると感じています。理由は…」と始めて、最後に「皆さんはどう感じていますか?」と問いかければ、共感やコメントを誘いやすくなります。 - ハッシュタグと投稿タイミングの工夫
ハッシュタグは3〜5個程度に絞り、業界名や投稿テーマ、読者層に関連したものを選定します。投稿の時間帯は、平日の朝8〜9時、昼12時、夕方17〜18時は、ビジネスパーソンの閲覧が集中しやすい時間です。 - 投稿前に他者にリアクションする
先に他人の投稿にいいねやコメントをすると、自分の投稿がアルゴリズムに乗りやすくなります。その結果、プロフィールの閲覧やつながり申請といった次のアクションにつながる可能性が高まります。
こうした投稿は、営業メッセージと組み合わせることで、より強力な見込み客獲得のチャネルとして活用できます。地道な積み重ねが、やがて信頼や商談に結びつくきっかけとなるはずです。
7.無料版と有料営業ツールSales Navigatorの違いとは?
Sales Navigatorの主な機能・できること
Sales Navigator(リンクトインセールスナビゲーター)は、LinkedInの有料プランのひとつで、営業活動に特化した高度な機能が多数搭載されています。通常のLinkedInと異なり、見込み顧客を“見つける・追いかける・接触する”までの一連の営業プロセスを効率化できるのが大きな特徴です。
特に注目すべき機能は以下の通りです。
- 高度な検索フィルター:業種、企業規模、役職、在籍年数など、細かい条件でターゲットを絞り込める
- 保存リストの作成と管理:気になるリードやアカウントを保存し、定期的にアプローチ管理ができる
- InMailの送信:つながっていない相手にも直接メッセージを送ることができる
- アカウントアラート:相手の投稿、転職、昇進などの情報が通知され、アプローチのタイミングを逃さない
こうした機能を活用することで、「今、話しかけるべき人は誰か」をタイムリーに把握できるようになり、営業機会を逃しにくくなります。まさに、LinkedInは限られたリソースでも成果を拡大したい営業チームにとって、最適なツールだと言えるでしょう。
なお、Sales Navigatorは通常のLinkedInと画面構成(UI)が異なるため、最初は操作に少し慣れが必要です。ですが、慣れてしまえば、従来の感覚では想像できないほど精度とスピードを両立した営業活動が可能になります。
導入の判断軸|無料版でも成果が出るケース
Sales Navigator(リンクトインセールスナビゲーター)は非常に強力な営業ツールですが、導入しなくても成果を出している人は多数います。ポイントは「どれだけ工夫できるか」。無料版でも、戦略次第で十分に営業活動は可能です。
以下のようなケースでは無料版で十分対応できます。
- 業界やターゲット企業がある程度明確で、検索フィルターの制限に困らない
- 相手とまず「つながる」ことを優先し、承認後にDMを丁寧に送っていく営業スタイル
- 投稿やプロフィールを活用し、自然なインバウンド流入(問い合わせや申請)も狙っている
次のようなタイミングでは有料化を検討すべきです。
- 月に10件以上、新規の見込み客と接点を持ちたい
- 業種・職種・従業員規模などで詳細に絞り込み、リスト化したい
- 大量のリード管理や通知機能を効率よく使いたい
Sales Navigator Coreプランであれば、月額約1.5万円(年契約の場合)から利用可能です。費用とリターンを天秤にかけながら、営業目標や業務フローに合った運用方法を選ぶのが賢明です。LinkedIn 営業 活用は、“無料か有料か”ではなく、“目的に応じた活用スタイルを選ぶ”ことが大切なのです。
8.LinkedInを活用した営業での成功事例
SaaS系企業での新規開拓成功事例(事例:simpleshow GmbH)
説明動画SaaSを展開するドイツのsimpleshow GmbHでは、従来のメール営業に限界を感じ、LinkedIn営業へのシフトを決断。Sales Navigatorを導入し、欧州のマーケティング・広報責任者を中心にアプローチを開始しました。担当営業は約150件のInMailを送付し、返信率は従来のEメールと比べて大幅に改善。
特に効果的だったのは、「相手の役職や業務内容に即したパーソナライズメッセージ」と「その後の関係づくりとしての投稿活動」。インバウンド(投稿)とアウトバウンド(DM)の両輪を活用することで、従来アクセス困難だった意思決定者との接点創出に成功しました。LinkedIn営業は、SaaS商材で海外展開を狙う企業にとって有効な打ち手として機能しています。
営業代行会社が実施したテンプレート検証の結果(事例:TexAu社レポート)
営業自動化ツールを提供するTexAu社は、LinkedIn営業における効果的なメッセージパターンの検証を実施。対象はSalesforce導入企業のオペレーション責任者100名。パターンごとにメッセージを分け、返信率の差を比較しました。
その結果、「相手の業務内容や投稿に触れた冒頭文」が含まれるメッセージの方が、返信率は2倍以上に。逆に「製品紹介から始まる」メッセージは返信されづらい傾向が確認されました。この検証結果は、メッセージ設計が成果に直結することを証明しています。営業代行においても、テンプレートは「相手情報の引用」を組み込む構造で設計するのがベストプラクティスとされています。
BtoB×高単価商材でのアポ獲得率の変化(事例:StrategyStackによるSaaS企業)
StrategyStackが支援した北米のSaaS企業では、数千万円規模の高単価ソリューションを販売しており、従来は展示会やマスメールに大きな費用をかけていました。ところがLinkedIn営業に移行したことで、展示会を使わず月平均7件の商談を獲得。
行ったのは、ICPに合致する意思決定者との接点をLinkedInで構築し、「つながり申請 → プロフィール設計 → メッセージ送信 → 投稿」のサイクルを徹底したこと。プロフィール上には「〇〇業界向け海外拡販支援」など訴求軸を明記し、信頼醸成を図りました。結果として商談単価は維持しつつ、獲得コストは従来の5分の1以下に。LinkedIn営業は、特に高単価・BtoB商材において高い費用対効果を発揮しています。
9.営業成果につなげるための第一歩とは?
まずはプロフィールの改善から着手すべき理由
LinkedIn(リンクトイン)営業で成果を出すには、まず「見られるプロフィール」を整えることが最優先です。つながり申請やDMを送ったあと、相手が必ず確認するのがプロフィール。ここで信頼感が伝わらなければ、メッセージの内容すら読んでもらえない可能性もあります。
つまり、プロフィールはLinkedIn営業の名刺代わり。信頼感を持ってもらえるかどうかの初動で、すでに成果は分かれています。成功のために以下のポイントを見直して、LinkedInでの営業活動をスタートしましょう。
①肩書き(ヘッドライン)
②自己紹介(サマリー)
③職務経歴
誰に、何を、どう提供しているかが一目でわかるように整理しましょう。とくに海外の見込み客を狙う場合は、日本語表記だけでなく英語併記やグローバルに伝わる表現が効果的です。
プロフィールが整っていない状態でいくら営業をしても、伝わる前に疑われて終わることが少なくありません。つながり申請やDMを送る前に、まずはこの土台を整えること。それが、LinkedIn 営業 活用の第一歩です。
次にやるべきはターゲット選定とDM設計
プロフィールを整えたあとは、「誰に・何を・どう伝えるか」を考える実践フェーズです。LinkedIn営業では、相手によって反応率が大きく変わるため、業種や地域、役職などを明確に絞ってターゲットを選ぶことが重要です。
LinkedIn Sales Navigator(リンクトイン・セールスナビゲーター)を活用すれば、条件に合った相手を効率的に見つけることができますが、数よりも精度が大切です。つながったあとは、相手の投稿やプロフィールを参考に関心や課題を読み取り、DMを個別に設計しましょう。冒頭で共感を示し、中盤で支援内容や実績を伝え、最後に「10分ほどお話できませんか?」と軽く提案する構成が効果的です。
DMは営業文ではなく、信頼を築くための第一歩と考えることが成果につながります。
10.まとめ
LinkedIn(リンクトイン)営業は、展示会や代理店に頼らず、自社で直接顧客とつながる“次世代型の営業手法”です。とくにBtoB商材や海外展開を狙う企業にとって、時間もコストも削減できるこの手法は今や“第二の標準”と言っても過言ではありません。
とはいえ、すべてを完璧に整えてから始める必要はありません。まずは、プロフィールを整えて、1通だけでもメッセージを送ってみる。たとえ返事がなくても、それは改善の種。成功している企業も最初は全員が未経験です。LinkedIn 営業 活用は、完璧な準備よりも、小さな一歩から始まる。そう信じて、今日から1通、送ってみてはいかがでしょうか。

監修者紹介
中島 嘉一 代表取締役
SNSリンク:https://linktr.ee/nakajima
株式会社コスパ・テクノロジーズ 代表取締役。
愛媛大学情報工学部卒業後、船井電機にて中国駐在し5,000人規模の組織管理とウォルマート向け海外営業を担当。
上海で起業し通算10年の中国ビジネス経験を持つ。Web制作・デジタルマーケティング歴13年以上で現在は英語圏・中華圏を中心とした海外展開支援のスペシャリストとして活動。
多言語Webサイト構築、越境EC、SNS・広告運用を駆使して企業の海外顧客開拓から、国内向けWebサイト制作・ブランディングまで、戦略立案から実行まで一貫サポート。
海外ビジネスに関するセミナーやイベントに登壇するほか、SNS総フォロワー5万人以上、中小機構海外販路開拓アドバイザーとして中小企業から上場企業まで幅広く支援実績を持つ。