中国のB2Bネット通販界は多士済々、しかしアリババが虎視眈々と有力サイトの系列化を狙う?
中国のB2Bネット通販は活況を見せている。B2C企業が、浮き沈みの激しいB2C市場から、より安定取引を見込めるB2B市場へ、シフトチェンジを図っている。こうした動きは活発になる一方だ。B2C企業が、イノベーションを起こし、中国人の生活を一変させていたころ、B2B企業も着実な歩みを続けていた。B2C企業は後を追うことにした。その構図を念頭に、現在のB2B市場に迫ってみよう。
市場規模と融資構成
中国のB2Bネット通販の市場規模(GMV)は、以下の通り。
2014年…10.兆元、21.9%増
2015年…13.兆9000億元 39.0%増
2016年…16.兆7000億元 20.1%増
2017年…20兆5000億元 22.7%増
2018年…25兆元 22.3%増
5年で2.5倍となった。これは巨額というしかない。また、ここ4年間のB2B融資状況は以下の通り。
2015年…98件、50億元
2016年…162件、150億元
2017年…175件、175億元
2018年…114件、376億元
2018年における融資段階のシェアは、シリーズA以前19.7%、シリーズA 33.6%、シリーズB 21.3%、シリーズC 11.5%、シリーズD以降 13.9% とバランスが取れている。ただしシリーズA以前は、2017年比で半減した。A以前以降の大型融資が増えている
また2017年の業種別構成は以下の通り。
自動車部品…30% 物流貨物…24% 鉄鋼…14% 消費品…6% 工業製品…4% 農産品…3% その他…19%
2018年融資金額トップ3とは
2018年の融資額トップ3は、匯通達…45億元 美菜網…40億7400万元 大捜車…38億8900万元、となっている。彼らはどんな事業を行っているのだろうか。
(匯通達)
匯通達は2010年12月設立。飲食店と農業生産者のマッチングサイト。公式サイトには、郷鎮(日本の町村に相当、全国に約3万4000)の会員店10万5000と消費者に“移動営業手段”を提供する、とある。そして新型O2Oシェアサービスプラットフォームを建設する農村に不足していた出荷手段を、オンラインでシェアする。これを“農村微物流”と呼ぶ。農村に新しいブルーカラー雇用を生み、彼らに労働者としての安定収入をもたらす。農村物流にフォーカスしつつ、農場経営や、農村金融も行う。
2018年4月、アリババ、五星集団と戦略提携を結んだ。2018年の売上は325億元、農村7000万戸、3億人をカバーした。
(美菜網〉
美菜網は2014年6月設立、飲食店に食材を提供するプラットフォームである。公式サイトには、前衛的理念と先進的科学技術を用いて、中国の農業市場を改革、そして全国1000万の飲食店に、有益な食材購入サービスを提供する。
2018年には、2回の戦略融資を受け、企業価値は70億ドルと推定されている。また同年9月には、1日の売上げ1億3000万元を突破した。現在の従業員は3万人以上。
(大捜車)
大捜車は2012年12月設立。公式サイトには、自動車産業のデジタル文明を推進するとある。そして9つのプラットフォームを運営している。主なものは、
車行168…国内自動車産業向け。中古車販売商への情報提供、供給網、金融など。
車易拍…中古車B2B取引きを、SssSを用いて簡略化。
弾個車…新零售プラットフォーム。頭金10%、“先に借り、後で買う”金融方式を提供。
2016年以降、アリババグループが出資、その他有名投資機構も競うように出資している。2019年5月には、中国銀行と提携、“オンライン自動車銀行”を目指すという。
まとめ
トップ3のうち2社がアリババ系だった。これからのB2Bネット通販は、単純な製品取引だけでは難しく、物流、倉庫、金融などの付帯サービスが必要になる。優良サプライヤー探しなど、会員へのソリューションも提供しなければならない。しかし、何もかも自力で構築するのは大変だ。その場合、他社との提携は有力な選択肢である。そんなときアリババが、音もなく忍び寄ってくるのかもしれない。
中国のB2Bネット通販界では、多士済々のメンバーが競い合っていた。どこも事業が拡大するのは2014年以降、4Gの普及からだった。5G時代開幕に当たり、さらに飛躍が見込まれそうだ。目を離せない状況である。
参考
https://tech.sina.com.cn/it/2019-08-13/doc-ihytcern0610268.shtml?cre=tianyi&mod=pcpager_focus&loc=40&r=9&rfunc=76&tj=none&tr=9