2019年を振り返る⑦BtoB型ユニコーントップ10、AI編、商湯科技、曠視科技、雲従科技、奇安信集団
今回はトップ10の下位に集中する人口智能(AI)関連企業について、分析する。AI関連は、BtoBユニコーンの中では最大勢力だ。泡沫のような企業も多い一方、有力AI企業の活動は非常に活発だ。虹彩認証等が生活に入り込んできた、実感もある。彼らは実際に、どのような活動を行っているのだろうか。
6位、商湯科技 57億ドル(企業価値以下同じ)
商湯科技(センスタイム)は2014年、香港中文大学情報工学系を中心に設立された。メインは、計算機視覚(Computer Vision)とディープラーニングの研究開発である。
2017年10月、クアルコムと提携。11月、上海市政府と提携。12月、本田と提携。
2018年4月、アリババ出資。5月、アリババ等と、香港人工智能実験室を設立。9月、マサチューセッツ工科大学、香港中文大学、清華大学等と人工知能学術連盟を設立。ソフトバンク10億ドル出資。
2019年4月、マレーシア人工智能産業園の建設に参画。12月、本年度売上見通し7.5億ドル、前年比200%と発表。
超一流の企業や高等教育機関と提携している。トップレベルの学術論文300本以上、研究開発人員2000人以上、人工智能関連の受賞歴60回以上を誇っている。
8位、曠視科技 43億ドル
曠視科技は2011年、北京中関村で設立された。現在、北京、上海、南京、成都、シアトルに独立した研究所を持つ。研究開発の人員は、全体の60%を占める。19項目の人口智能関連技術において、国家または業界標準に制定されている。
メインは、視覚及び体感の人工智能へ置換計算技術である。虹彩識別、人体識別、手のひら識別、文字識別、文書識別、図像識別、物体識別、車ナンバー識別、動画分析などである。AIot操作システムでの商業化を目指す。
主要顧客はアリババ、アント・フィナンシャル、菜鳥網絡、フォックスコン、中信銀行、レノボ、ファーウエイ、OPPO、VIVO、シャオミなど。アリババとフォックスコンは2017年、共同出資を行った。
9位、雲从科技 28億ドル
雲从科技は2015年、広州市で設立された。2017年には、バイドゥ、テンセント、科大訊飛と並んで、国家発展改革委員会から“人口智能基礎資源公共服務プラットフォーム”建設の任務を与えられている。
メインは、虹彩識別通関機、智能撮影機、大規模動態人群監控システム、金融一体化行程商品などである。場面に応じて53種のソリューションを用意している。すでに農業銀行、建設銀行、など400行の銀行、14万7000の支店やアクセスポイントで利用されている。また54の空港もカバーした。
中国聯通大数居有限公司、中国民航管理幹部学院、中国郵政ソフトウェア開発センター等と戦略提携を結んでいる。
10位、奇安信集団 28億ドル
奇安信集団は2014年、北京で設立された。元は「奇虎360」ブランドとして知られる北京科技有限公司のセキュリティ部門だ。現在は中国最大級のインターネットセキュリティ会社の1つである。政府、企業、教育機関、金融機関などの組織に、ネット安全技術、安全産品、サービスを提供している。すでに中央政府各部門、中央国有企業、大銀行の90%以上をカバーした。インドネシア、シンガポール、カナダ、香港等にも展開中だ。
2019年5月、国有中央企業の「中国電子科技」が22.9%の株を取得、奇安信は“国家隊”の隊列に加入した。
まとめ
いずれも、大きな存在感を発揮している企業ばかりである。センスタイムは、日本のテレビ番組に何回も取り上げられた。さまざまな人体認証技術が、すでに社会実装の段階へと進んでいる。
また、準国有企業となった奇安信は、7000人の従業員が、重要インフラのサイバーセキュリティに当たっている。日本とは別のシーンが展開されている。BtoBユニコーン企業はその最重要な担い手だった。