アリババの越境EC輸出編、「AliExpress」ユーザー数6億、、アマゾン最大のライバルに?
日本では、越境Eコマース(以下越境EC)といえば、日本の優れた商品を海外へ販売するイメージが強い。中国は、輸出入共に盛んだ。それを自前のプラットフォームで行っている。輸出の代表は、「全球即売通(AliExpress)」、輸入の代表は「天猫国際」で、共にネット通販首位、アリババのプラットフォームである。アリババの戦略を中心に、中国の越境ECを分析してみよう。まず中国商品を世界に販売する輸出編である。
2020年3月、アリババ集団の越境Eコマースプラットフォーム、全球即売通(AliExpress)のダウンロード数が650万を記録、アマゾンを上回った。これはどういう意味を持つのだろうか。
全球即売通(AliExpress)とは
AliExpressは、2010年に設立された、国際市場向けプラットフォームである。現在の顧客とバイヤーは1億5,000万人、220ヵ国に存在している。商品カテゴリーは、衣料品、靴・服飾、美容・健康、家電、パソコン、自動車をはじめ30に拡大し、国際版“淘宝”と呼ばれるようになった。さらにアマゾン、Ebay、Wishとならび、世界4大英語プラットフォームの1つともされている。
実際に有望な商品としては、上記の衣料品、靴・服飾、美容・健康、家電、パソコンの他に、家具、自動車やバイク部品、工芸品、スポーツ、アウトドア用品を挙げている。ロシアでは自動車を販売したこともある。
物流は、郵便小包、AliExpressの提携物流会社 第三者物流 の3タイプを使う。90%は郵便小包である。小口荷物とは最も相性が良く、郵政事業者も積極的に取り組んでいる。
2019年11月末、福建省・厦門市で、中国と万国郵便連合の共催による、越境ECとの提携をテーマとした初の世界大会が開催された。世界102の国と地域の郵政関係者、世界税関組織など8つの国際組織が参加した。信書の伸び悩む各国の郵政は、勢いを保つ国際小口貨物配送、つまり越境ECこそ、未来の中心事業と気勢を上げたという。
アマゾン最大のライバルへ成長?
AliExpressの取引の安全は、支付宝(AliPay)の国際アカウントが担保する。事業者登録の際にもこのアカウント開設は必須で、営業許可証、法人身分証もチェックする。その一方2020年から年会費を廃止、保証金だけにして新規参入を促している。
米国の金融メディア「Business Insider」は、アリババはアマゾン最強のライバル、と指摘した。その理由の1つとして、AliExpressの世界的人気の高まりを上げている。
世界のネット通販浸透率は、先進国10%、発展途上国は5%にすぎないという。海外市場には、広大なブルーオーシャンが開けている。
今年3月、新しくAliExpressに参加したネットショップは、前月比132%に増加した。多くの企業が積極的に越境ECへ乗り出している。AliExpressは出店のハードルを下げるとともに、中小企業が小ロット商品を販売できるよう支援をしている。
まとめ
新型肺炎は、世界的にネット通販への追い風をもたらした。AliExpressもその例にもれず、ダウンロード数で一時的にせよアマゾンを上回った。直近のデータでは、月間閲覧数2億、ダウンロード数6億となっている。英語だけでなく、18言語に対応、ロシアとスペインでは、国内最大のネット通販になっているという。
日本版も存在する。カテゴリ―のトップは、ジュエリー・時計と、ちょっと変わった構成だ。商品価格はUSドル表示である。2~3ドルのクーポンが、あちこちに付く中国スタイルだ。
中国商品ばかりのため、現段階ではアマゾンジャパンとは比較にならない。しかし、5年後にはどうなっているかわからない。アリババの大株主、ソフトバンク系ヤフーショッピングとの提携も、決して突飛な空想ではない。