2月のインバウンド歴史的な落ち込み、百貨店免税品売上は3分の1に。新型肺炎の終息はいつか?
2月の訪日外国人数と、百貨店免税売上データがそろった。予想をはるかに上回る歴史的な落ち込みである。新型肺炎という不可抗力による、単なる踊り場にすぎないのか、それとも根本的に消費行動が変わるのか。結論を出すのは早計だが、まずデータを精査してみよう。
2020年2月の訪日客数
2020年2月の訪日外国人数(JNTO=日本政府観光局推計値)速報によると、全体では108万5100人、前年同月比58.3.%減だった。東日本大震災の2011月4月(62.5%)以来、9年ぶりの大幅な落ち込みだ。中国人は87.9%減と前月の22.6%増から急転直下した。韓国人は79.49%減で、前月59.4%減からさらに20%落込んだ。この結果ランキングは大きく変動、約半減の台湾が1位に躍り出た。
台 湾 22万0400人 44.9%減
韓 国 14万3900人 79.9%減
香 港 11万5600人 35.5%減
タ イ 9万8000人 9.1%減
中 国 8万7200人 87.9%減
米 国 7万3400人 20.8%減
豪 州 4万8500人 1.8%増
2月中旬の段階では、中国人訪日客を20万人台と予想していたが、遠く及ばなかった。中国の団体旅行キャンセルの影響は、甚大だった。2月末の中国航空便は1割以下になっていたが、3月は13日以降全面運休となり、2月以上の落ち込みが決定的だ。
百貨店免税売上
一方、インバウンド推進百貨店(91店舗)の免税売上は、65.4%減だった。1月の20.9%増から転落した。前年12月は0.8%減、11月は5.3%減、10月の13.8%減と漸減傾向だった。1月は春節期間のズレを取り込んだ上の数字だった。
一般物品 55億0000万円 64.2%減(1月は31.8%増)
化粧品、食品等 55億2000万円 66.5%減(1月は6.0%増)
合 計 110億2000万円 65.4%減 客単価8.2万円 9.0%増
(人気商品)
1 化粧品、2 ハイエンドブランド、3 食品、4 婦人服飾雑貨、5 婦人服、この順は1月、及び昨年12月と変わらない。客単価は9%上昇したが、何の慰めにもならない。
百貨店以外では、インバウンドイメージの最も強い、ドン・キホーテを見てみよう。同社のインバウンド売上は、全社では10%程度のようだ。ただし、大阪道頓堀店の約70%を筆頭に、京都、東京、札幌、福岡、名古屋などインバウンド比率50%を超える店が10店舗ほどある。すべて地域の看板店で、いずれも大打撃を受けたとみられる。看板店の不況風は、マイナスイメージを拡げる。2月の売上げ速報に、「2月のインバウンド消費は、ASEAN以外の訪日外国人客の急減速が、マイナス影響を及ぼしました。」と記している。
2月全体売上高は前年101.8%である。しかしこれは、閏年プラス土日が前年同月より2日多いため、実質はマイナスだ。家電製品98.5%、時計・ファッション用品92.2%、の2部門が前年割れだっただ。しかし、食品や日用品等、巣ごもり消費の伸びでカバーした。インバウンドのマイナスは、2月の全体データには影響していない。3月の数字がどうなるかに注目したい。
まとめ
新型肺炎は、中国ビジネスのオンライン優位を決定的にした。オフライン不振により、海外ブランドの、中国ネット通販への新規出店が相次いだ。そのため、中国越境ECトップの「天猫国際」は、2月の小売総額が大きく落込む中でも、繁栄を極めている。
日本のオフライン店舗は、肺炎終息後もこれまで通り、というわけには行きそうもない。5G時代にふさわしい、映像を使った販促活動、中国流の表現なら“消費体験”の提案が必要となるだろう。とにかく新機軸を打ち出したい。