3月のインバウンド訪日客数93%減、百貨店免税品売上85%減、客単価は2倍、一部の金持ちだけが買った?
3月の訪日外国人数と、百貨店免税売上データがそろった。訪日客数は93%減という壊滅的な落ち込みとなり、ほとんど鎖国状態に陥ってしまった。ここまで来るとインバウンド対策も何もないが、気を取り直してデータを精査していこう。
2020年3月の訪日客数
2020年3月の訪日外国人数(JNTO=日本政府観光局推計値)速報によると、全体で19万3700人、前年同月比93.0.%減だった。中国人は98.5%減と前月の87.9%減からさらに落込んだ。韓国人は97.1%減、前月は79.4.%減だった。この結果、米国が1位という異例のランキングとなった。
米 国 2万3000人 87.0%減
ベトナム 2万0800人 56.6%減
韓 国 1万6700人 97.1%減
フィリピン 1万0900人 77.4%減
中 国 1万0400人 98.5%減
香 港 9900人 94.2%減
豪 州 8800人 80.1%減
台 湾 7700人 98.1%減
フランス 7700人 73.8%減
ほとんど、いつ定期航空部便が途絶えたか、の違いでしかなさそうだ。4月は月初めから、ほぼ全休である。さらにゼロへ近付くのは確実で、もはやデータとは呼べなくなりそうだ。
百貨店免税売上
インバウンド推進百貨店(90店舗)の免税売上は、85.3%減だった。2月の65.4%減からさらに20%下落した。
一般物品 18億9000万円 88.3%減(2月は64.2%減)
化粧品、食品等 28億6000万円 66.5%減(2月は66.5%減)
合 計 47億5000万円 85.3%減
客数3万人 93.4%減、客単価15.9万円 216.2%(前年比)
(人気商品)
1 化粧品、2 ハイエンドブランド、3 食品、4 婦人服飾雑貨、5 婦人服、この順は1月、2月と変わらない。
注目は2月に客単価が9%アップに、3月は2倍にアップしたことだ。減少すればするほど客単価が上がっている。訪日客数は93%減だが、免税売上は85.3%減。買ったのは一部の大金持ちだけだった、という推測が成り立つ。
ドン・キホーテを見てみよう。3月の月次売上のコメントには、
・前年3月の免税売上は、10%以上を占めていた。
・訪日客数が大幅に減少したことから、急ブレーキがかかった。
と記している。そして3月の全体売上高は前年の88.6%となった。今期(2019年7月~2020年6月)最大の落ち込みだ。インバウンドがゼロになったような数字である。2月も実質マイナスだったが、さらに滑り落ちた。商品別では、時計・ファッション用品75.6%、日用雑貨品82.2%とインバウンド主力の落ち込みが激しい。
まとめ
新型肺炎は、中国小売業のオンライン優位を決定的にした。海外ブランドもオフラインからオンラインへのシフトを強め、中国ネット通販への新規出店が相次いだ。さらにオンラインでは、文字から映像へのシフトが急速に進み、直播(ライブ配信)Eコマースが話題を独占している。
アフター・コロナ、日本のオフライン店舗のインバウンドは、極めて苦しくなりそうだ。元の世界には戻りそうにない。OMO(Online Merges Offline)j時代、5G時代にふさわしい、“消費体験”の提案が必要となるだろう。知恵を絞りだすしかない。