2019年を振り返る⑧越境Eコマースの10大事件、拼多多、アリババ、京東、“新三国志”幕開けか?
ネット通販メディアの電商報(深圳)は、2019年の越境Eコマース(以下越境EC)の現状について、氷と火が同時に存在している、と表現した。デジタル課税などの下押し圧力の一方、振興政策も得られ、新規参入も相次いでいるからだ。そして、2019年越境EC10大事件を選定した。近未来を探るヒントはどこにあるだろうか。
1位~5位 拼多多、アリババ、アマゾンの動向
1位 拼多多、越境EC進出
共同購入型ネット通販の拼多多は2月、越境EC「多多国際」をスタート。4月には「全球購」を正式にアップロードした。11月、今後3年以内に1万の国際トップブランドを導入、そのうち100を1000万元(1億5600万円)ブランドに育てる、と発表した。
2位 阿里国際站「全球批発(卸売)」チャンネルスタート
阿里国際站は3月、電子製品、家電、娯楽スポーツ、玩具、工芸品、文房具等21業種でスタート。7月、米国企業による購入が可能となる。8月、国内10カ所の輸出産業ベルトを建設と発表した。
3位 Shopeeの「Young帆計画」
Shopee(東南アジアのネット通販、シンガポール本社)は6月、杭州市政府と戦略提携を結んだ。杭州市が越境EC関連の人材を育成、提供する“Young帆計画”とよぶプロジェクトを推進する。さらに11月、阿里国際站と3つの高等教育機関は共同で「阿里巴巴数字(デジタル)貿易学院」の建設を発表した。越境ECの人材育成基地を目指す。
4位 アリババ、網易考垃を買収
アリババは9月、網易傘下の越境ECプラットフォーム、網易考拉を20億ドルで買収した。越境EC2トップの合併は、業界に1強多弱時代をもたらした。仕入れチャンネル、サプライチェーン、物流は統合がすすみ、業界発展の大きな変数である。
5位 アマゾン国内通販撤退、越境ECに専念
アマゾン中国は7月、kindleと越境EC以外の国内通販業務を停止した。越境EC業務に賭ける。12月、拼多多に出店した期間限定ショップは、その決意の表れとみられる。中国3線級以下の地方都市市場を狙う。中国越境ECにおいて、決して小さな存在ではない。
6位~10位 各国の対応と越境EC試験区
6位 フランス、アマゾンに課税
フランス元老院は、フランス国内売上2500万ユーロ以上、全世界売上7.億5000万ユーロ以上の企業が得るフランスでのサービス収入に対し、3%課税する法案を批准した。トルコ、マレーシア、シンガポール、米国、メキシコ等でも同様の現象が拡大している。
7位 米国、万国郵便連合を脱退せず
9月、万国郵便連合は、第三次特別大会で経費改革案を採択、米国は連合にとどまることを表明した。
8位 東南アジア、越境EC爆発
10月に発表された「東南アジアデジタル経済報告」によれば、2019年、東南アジアのデジタル経済規模は、1000億ドルを突破した。2025年には3000億ドルに急成長する見込み。Lazada(アリババ系)、Shopeeとアマゾンが争う。
9位 京東国際
京東は11月、越境ECプラットフォーム「京東海囤」を改革し「京東国際」へ昇級させる、と発表した。アリババ、網易の動きに対抗した戦略で、差別化競争が激化しそう。
10位 越境EC試験区24区増加、全国59区に
国務院は12月、石家庄市など24都市の越境EC試験区設立批准書に同意した。これで中国全土の試験区は59カ所となる。
試験区は、貿易決済、物流、管理体制の先行試験を行う一方、国内本土企業の技術革新と、商品のレベルアップに貢献している。
まとめ
電商報は、アリババの網易考拉買収、アマゾン撤退よりも、拼多多の進出を上位においていた。アマゾンとの提携も大きな注目を集めている。京東も必死にならざるを得ない。2020年の越境EC界は、アリババ、京東、拼多多による、新たな三国志の始まり、ターニングポイントの年となるかも知れない。