中国向けホームページ制作法㉘~電子決済サービスは万能!?~
目次
強まる支付宝、微信支付の集客力
中国で微博(Weibo)や微信(WeChat)などのSNSが口コミだけでなく、企業の情報発信にも利用され、インターネットユーザーの購買行動に多大な影響を与えていることはこれまでも頻繁に述べられてきましたが、ここ1-2年でにわかに集客力を持つようになったのが、支付宝(Alipay)、微信支付(WeChat Pay)の電子決済サービスです。
電子決済サービスとは、主にスマートフォン(スマホ)を専用端末にかざすだけで決済できるシステムで、財布から現金を取り出す必要がなく、中国国内でのネット通販やネット決済の増加などを背景に普及し、最近は実店舗でも導入が進んでいます。
決済するための仕組みがなぜ集客に使われているのか、疑問に感じる方もいると思いますが、その理由は、電子決済サービスを利用することの得点や情報発信、個人データなどの活用にあるようですよ。今回は、電子決済サービスによる集客法、情報発信の例をみながら、ホームページ制作・運営との関係についても考えていきます。
支付宝・微信支付が日本でも“常識”に
中国の電子決済サービスの集客への影響を検証する前に、支付宝(Alipay)、微信支付(WeChat Pay)の普及状況を確認したいと思います。まず利用者数ですが、支付宝(Alipay)が約5億人、微信支付(WeChat Pay)が約9億人といわれています。中国の人口が約14億人(2016年)といわれているので、単純に中国の人々の約4割が支付宝(Alipay)、約6割が微信支付(WeChat Pay)を利用していることになります。
支付宝(Alipay)は中国EC最大手・アリババグループ(阿里巴巴集団)のECサイト、微信支付(WeChat Pay)は中国版LINEといわれる微信(WeChat)やネットゲームと深く連携しています。いずれもネット決済から実店舗での決済にも範囲を拡げ、支付宝(Alipay)・微信支付(WeChat Pay)間のネットユーザーを巡る争い、企業間の競争が、電子決済サービスの利用による値引きやキャッシュバックなどの優遇や得点の付与に発展してきています。
電子決済サービスは中国で、ネット、実店舗で広く浸透しており、日本での中国向けビジネスでも中国語対応はもちろん、支付宝(Alipay)・微信支付(WeChat Pay)導入も“常識”になりつつあります。
中国向けビジネスの入口は電子決済サービス!?
購買意欲の高い中国の人々が頻繁に利用する電子決済サービスですが、電子決済サービスに馴染みが深くなればなるほど、それが使えるお店だと安心して決済できるというのが、ユーザーの心境ではないでしょうか。ましてや、海外である日本に来た場合などは、そういった気持ちがなおさら強まる傾向があるようです。
そんな訪日中国人の決済の不安を見透かしているかのように、彼らの行く先々の店舗では、支付宝(Alipay)や微信支付(WeChat Pay)に対応しているというのぼりがあちこちに上がっています。日本の主な店舗では、免税店、百貨店、コンビニ、ドラッグストア、家電量販店、飲食店、宿泊施設をはじめ人力車や着物体験といったコト消費でも電子決済サービスの導入が進み、電子決済サービスを通じた情報発信やクーポン配布、事前予約など訪日前に需要を先取りする取り組みも活発です。
支付宝(Alipay)決済で待ち時間も楽しく
支付宝(Alipay)決済導入で買い物や飲食店での待ち時間が楽しくなれば、支付宝(Alipay)を利用しない人はいないのではないでしょうか。最近は、支付宝(Alipay)と連携させた新たな買い物スタイルとしてAR技術の導入が始まっています。まずARとは「Augmented Reality」の略で、「拡張現実」と訳されます。実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、実在する人やモノ、風景への理解を深めるというものです。
AR技術のサービス例として有名なのが、スマホ用ゲーム「ポケモンGO」で、ポケモンが“出現”する場所に「ポケモンGO」をプレイする人が殺到したのは記憶に新しいと思います。店舗でのAR技術の導入では、「ポケモンGO」と同様の方法で、実在する人やモノ、風景に関するさまざまな情報をスマートフォン(スマホ)を通じてその場に映し出します。
商品の使用・配置後をイメージ化、お年玉探しも
例えば、2017年に中国・上海にオープンした「スターバックス リザーブロースタリー」では、淘宝(Taobao)アプリをインストールして店内でかざすと、コーヒー豆、サイフォン、スターバックス製品などが並ぶ店内のさまざまな場所で、豆の栽培からコーヒーができるストーリーや焙煎法などを映像で学ぶことができます。消費者が支付宝(Alipay)で先に支払いを済ませると、コーヒーができあがるまでの待ち時間、店内を楽しむことができ、コーヒーができあがると支付宝(Alipay)アプリがメッセージで知らせてくれるといいます。店内にある限定グッズも支付宝(Alipay)決済で購入でき、自宅への発送も可能だそうです。
アリババグループは、消費者が化粧品を使用したり、家具を自宅に配置したりした時のイメージ化や、実際の空間に仮想のお年玉(紅包)を配置したお年玉探し、個人データの提示などAR技術の活用に取り組んでおり、支付宝(Alipay)を核により多くのユーザーを獲得したい考えです。
AR技術が普及していけば、消費者が気になった商品やサービス、企業について、わざわざホームページを閲覧するという“検索”の習慣がなくなる可能性も否定できません。電子決済サービスを通じてスマホをかざせば、商品の情報から疑似体験、購入までを一括してできる時代がすぐそこまで来ている今、中国向けホームページ制作・運営、マーケティングについても見直しが必要な時期に来ているのではないでしょうか。弊社㈱レクサー(LXR Inc.)では、中国向けに特化したウェブ・テクノロジーで次世代に向けたホームページ制作を企画・提案致しておりますので、お気軽にご相談ください。
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