中国向けホームページ制作法⑦ -中国ネット上で存在感高まる網紅とは!?アクセス数大幅アップも –
SNS との融合で、サイト滞在時間アップへ
ホームページの運営を考える時、管理者が誰しも頭を悩ませるのが、サイトのアクセス数、または滞在時間をアップさせるにはどうすればよいのか?という課題ではないでしょうか。中国ではインターネットユーザーの増加に伴い、新たなサイトやウェブサービスが次々と登場し、既存のサイトを脅かすとともに新規参入者もユーザー獲得に知恵を絞っています。中国のIT覇者といわれる、EC(インターネット商取引)サイト最大手のアリババグループも例外ではなく、急成長する直販型インターネット通販サイトの京東(ジンドン)をはじめ多くの競合相手の脅威にさらされています。そんな中、EC事業で市場予想を上回る売上げを確保し続けているのには、サイトへのアクセスやユーザーの購買に影響を及ぼす“網紅(ワンホン)”と呼ばれる人たちの存在が大きいようです。今回は網紅について解説しながら、網紅がユーザーのホームページ閲覧や滞在に与える影響を考えていきたいと思います。
大学生やOLの発言が企業活動に影響
網紅とは、インターネット上で多数のフォロワーに向かって情報発信するKOL(Key Opinion Leader)の中でも、発言の影響力が大きく、企業のプロモーションなどで多額の投資を受けている人たちをいいます。英語では「Internet celebrity(インターネットセレブリティ)」と訳され、しばしばインターネットセレブとも呼ばれます。網紅は、テレビなどのメディアに出ている有名人はほんの一握りで、ほとんどが普通の大学生やOLです。中国版のTwitterといわれる微博(Weibo)やLINE といわれる微信(WeChat)のモーメンツ(LINEのタイムラインのようなもの)や動画共有サイトなどで自分の特技や専門知識を披露することで有名になるなどし、知名度や影響力を高めた人たちです。中国では、マスコミの情報を信用しない人が多く、SNSで親族や知人、友人の情報を頼りにするようになったのが、網紅が生まれるきっかけになったといわれています。
淘宝に網紅(KOL)を引き込む
中国でEC事業を展開するアリババグループは近年、網紅をCtoC(消費者と消費者)のECサイト・淘宝(タオバオ)に引き込むため、Weibo やチャットアプリ・モモ(陌陌)、動画サイト優酷土豆(YoukuTudou)に投資を続けてきました。中には淘宝内でファッションブランドを立ち上げ、数100万ドルを稼ぐ網紅もいるといいます。アリババグループはユーザーを自社サイトに長く滞在させるために、SNSとECの融合を目指しています。例えばライブストリーミング(生放送)イベント中に、ネットセレブが身に着けているグッズを購入するためのリンクを表示するなどです。ライブストリームは有名な網紅ともなると100万人以上が視聴するケースもあるそうです。この戦略はアリババグループの持続的な成長にも貢献しており、12月期の四半期決算で、同社のモバイルのアクティブバイヤー数(頻繁に買い物をする顧客数)は25%増加の4億9300万人に、売上高が前年同期比54%増の77億ドル(約8800億円)に達しました。アリババグループは、新たな網紅の発掘にも力を入れています。ブログの書き方や画像投稿のコツを教える育成機関の如涵(ルーハン)に出資するなど、ソーシャルECの投資回収率の高さを有望視しています。
網紅たちがWeibo や動画共有サイトなどで商品やサービスを紹介すると、多くのフォロワーたちのサイトへのアクセスが予想されます。網紅を活用したウェブマーケティングは、数年で数兆円規模になるともいわれています。中国では、すでに得意とする分野に影響力を持つ網紅と専属契約を結び、企業への仲介を行うプロダクションや仲介サイトも登場しています。中国で網紅と呼ばれる人たちの影響力が強まる中、ホームページのアクセス数や滞在時間のアップを考える際にも網紅の活用や育成は有効な手段であるといえるでしょう。