中国のゴールデンウィーク“国慶節”
もう少しで“国慶節”です、国慶節は中国の長期連休で、中国からは観光客が大勢訪れる時期とイメージされている方も多いと思いますが、長い中国の歴史の中ではごく最近制定された祝日で中国人には嬉しい長期連休です。そこで国慶節と中国の特別な日を探ってみました。
国慶節とは
国慶節(Guóqìng jié、こっけいせつ)とは中国の“建国記念日”です。国慶節の制定は1949年9月に中国人民政治協商会議において10月1日を国慶節と定めたことに由来しており、これは1949年10月1日に天安門広場にて中国の建国式典が行われて毛沢東により「中国の建国」が宣言されたことにちなむものです。中国では「十一(shí yī、シィーイー)」と呼ばれ、この日をはさむ約1週間が大型連休となり、「中国のゴールデンウィーク」とも言われます。中国では建国1周年(1950年)から10周年(1959年)まで毎年閲兵式(軍事パレード)が行われていましたが、その後中断されて以降は35周年(1984年)、50周年(1999年)、60周年(2009年)にそれぞれ行われました。国慶節の連休は例年10月1日から7日迄の7連休ですが、2017年は中秋節がこの連休中なので1日増やして8連休になります。
国慶節の歴史は浅い
1930年代から毛沢東(もうたくとう)率いる中国共産党と蒋介石(しょうかいせき)率いる中華民国・南京国民政府が内戦を繰り返してきました。1930年から1934年の間に実に5回もの大規模な内戦を行ったのです。第二次世界大戦の間は一時停戦していましたが、世界大戦の終結により再発しました。毛沢東が率いる中国共産党はこの内戦により蒋介石が率いる国民政府軍に勝利し、1949年4月には中国共産党軍が南京国民政府の都であった南京を制圧しました。この内戦によって南京国民政府は崩壊して台湾へ撤退します。これによって、南京国民政府は崩壊・消滅したと判断し、1949年の10月に毛沢東を主席とした中華人共和国が建国を宣言したのです。中国国民にとっては4000年と言われる長い中国の歴史から見れば国慶節という中国の建国記念日はごく最近の出来事で、1週間の長期連休となるため、家族で過ごしたり、旅行したりできる貴重な長期のお休みなのです。
国慶節の様子
10月1日には、公共の建物には中国国旗が掲げられ「祝国慶」と書かれた横断幕が張られます。中国では春節など特別な祝日には爆竹を鳴らして悪をはらい、花火も打ち上げます。国慶節も同様に爆竹と花火は欠かせません。中国の人は、この大型連休を利用して故郷へ帰省する人や旅行をする人も多く、そのため国慶節の時にも“春節”に発生する「民族大移動」と同様に各地で大移動が起こります。中国の大型連休は春節とこの国慶節だけなので、そのため故郷が遠方にある人にとっては年に2回の帰省チャンスになるのです。また、この連休中はどの観光地も大変混雑します。万里の長城のような有名な観光地は、普段にも増して観光客で溢れかえります。観光しているのか人混みに揉まれに行っているのかわからない状況になり、ホテルは普段よりも値段が高くなるうえに、間近になると予約が取りにくくなります。
「中国の節日」と「日本の五節句」
中国では「国慶節」以外にも○○節と呼ばれる休日があります。その主なものは、
「春節」:正月初日。
「元宵節」:旧暦の1月15日のことで、日本でいうところの小正月。
「清明節」:祖先の墓を参り、墓を掃除する日のことで、日本におけるお盆に当たる行事です。
「労働節」:国に貢献した人の表彰、お祝いイベントなどが行われる祝日で「五一節」とも呼ばれます。
「端午節」:中国の三大伝統節句の一つで、ちまきを食べたり、ヨモギやショウブの葉を飾る習慣があります。
「中秋節」:春節・元宵節・端午節とならぶ中国の四大伝統祭りで、中秋節には月餅を食べる習慣があります。
「国慶節」:中国の建国記念日で、長期連休になります。
そして、日本には中国から伝わった考え方に日本の宮中行事などが合わさったもので「五節句」と言われる風習があり、人日(正月7日)、上巳(3月3日)、端午(5月5日)、七夕(7月7日)、重陽(9月9日)のこれらは、江戸時代の初期には江戸幕府によって「式日」と定められ公武行事として行われていましたが、こうした風習が武家から民間にも広まって行き次第に一般にも定着したものとされており、日本の節句は中国に由来するものなのです。
中国で反日感情が高まる日
そして忘れてはならない日があります、日本人にとっては何気ない日付であっても中国の人にとっては「日本への恨み」が強くなる日があるのです。中国駐在員、中国出張のビジネスマン、中国に語学留学で行く人には理解しておいて欲しいのです。それは「過去の日本とのトラブルに関わる日付」で、つまり「反日記念日」です。
・5月4日【五四運動】中国の学生運動から始まり、全国に広がった抗日、反帝国主義を掲げる運動。
・5月9日【国辱の日】日本の21か条の要求に合意した日。
・5月30日【530記念日】上海で帝国主義反対のデモを行った日。
・7月7日【七七記念日】北京市郊外盧溝橋で日中両軍が交戦し日中戦争が勃発した日。
・8月15日【抗日戦争勝利の日】日本の降伏により抗日戦争が終了した日(日本の終戦記念日)。
・9月3日【抗日戦争勝利記念日】中日戦争の降伏文書に調印した日。
・9月18日【九一八記念日】満州事変の発端となった事件。日本が中国侵略を開始した日。
・12月9日【抗日デモ記念日】中国共産党の指導で侵略戦争と国民党政権に対するデモを行った日。
・12月13日【南京大虐殺の日】南京市を占領した際に一般市民までを殺害したとされる事件。
以上は日本で報道していないだけで、これらの日付は中国人にとっては特別な日であることを忘れてはなりません。日本(日本人)はこのことを踏まえて中国(中国人)と接することが望まれます。
過去、実際に日本の大手家電メーカーが上記【九一八記念日】である9月18日を新型デジカメの発売日にしたところ大きな不買運動に発展した例もあり、上記のような「歴史的意味」を押さえておくことは本当に重要なことなのです。
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