インバウンド政策の訪日観光客“地方誘致”は成功するか
政府は観光先進国への国づくりに向けて2016年に新たな観光ビジョン「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定し、2020年に訪日客を4000万人とする目標を掲げています。現在の外国人観光客の人気は東京・富士山・関西を巡るゴールデンルートに集中していますが、その観光客が再び日本を訪れる時には地方を訪れるように促したい考えです。
やはりターゲットは中国人観光客か
2016年の訪日客2404万人のうちアジアが84%で中国、韓国、台湾、香港の4国で73%を占めています、中でも中国が27%と一番多く、そして中国語を公用語として使用している中国・台湾・シンガポールの3国で訪日観光客の45%を占めているのです。地方が外国人観光客の誘致に向けてはやはり中国語に特化した誘致作戦が主体となるのではないでしょうか、先ずは中国語を語らずには前へ進めそうにありません。
訪日プロモーション“ビジット・ジャパン事業”とは
ビジット・ジャパン事業(VJ)とはインバウンドの推進を図る目的の訪日プロモーション事業で中国・韓国・台湾・香港をはじめ世界20ヶ国を重要市場として「現地消費者向け事業」「現地旅行会社向け事業」「在外公館等連携事業」「官民連携事業」「地方連携事業」を行っています。中でも「地方連携事業」は観光庁が全国の運輸局を通じて自治体、観光関係団体、民間企業と連携して取り組む事業で、外国人観光客のニーズに対応した広域的な誘致活動を実施しています、そしてこのビジット・ジャパン事業においては日本政府観光局(JNTO)の海外事務所が各市場の最前線で中核的な役割を担っているのです。
中国人観光客が訪れた都道府県ランキング
観光庁のデータを基に2016年に中国人観光客が訪れた都道府県別人数を集計してみると1位:大阪府、2位:東京都、3位:京都府、4位:千葉県、以下愛知、神奈川、山梨、静岡と続きます、以外にも北海道・沖縄は10位・11位です、やはり「ゴールデンルート」が根強いのでしょうか。爆買いという中国人の購買意欲に捉われず、純粋に観光という視点で地方誘致を考えていかなければなりません、地方各県においては各県の特色を生かした独自のプランに固執するのではなく隣県とも連携した周遊ルートの策定も必要でしょう。
中国人観光客の金遣いは?
2016年の訪日中国人観光客が旅行パッケージ代金と往復航空料金を除いた日本国内での支出を観光庁のデータを基にまとめてみましたが費目別の割合をみると買い物代:35%、飲食費:24.8%、交通費19.5%、宿泊費:11.3%、娯楽費(入館料・入園料):9.4%でした、やはり爆買いのせいか買い物代が圧倒的に1番で次に飲食費となりますが、貪欲とも言えるほど食欲旺盛な中国人には日本食の魅力は大きいといえそうです。したがって地方誘致も食に重点を置いた作戦が功を成するやも知れません。
モンドセレクション受賞をアピールせよ!
1961年に設立以来モンドッセレクションは数々の食品、飲料、化粧品、ダイエット、健康を中心とした製品を科学的に試験して技術的水準を評価しています。2017年のモンドセレクション授賞式が5月29日に地中海のマルタ共和国で開催されましたが、その結果はなんと受賞した8割が日本製品だと言われます。インバウンドの推進としてもこれを黙っておく手はありません、モンドセレクション受賞を大いに世界へアピールしなければなりません。地方の中小メーカーにとっても受賞できればモンドセレクションは救世主になるかもしないのです、そして外国人観光客の地方誘致にも拍車が掛かるものと思うのですが果たして日本政府観光局はそこに目を付けているでしょうか。
今の訪日観光ルートは東京・富士山・関西を巡る「ゴールデンルート」が定番のようですがそれに加えて「シルバールート」「ブロンズルート」といった地方巡りのルート、そして北は北海道から南は沖縄まで日本を縦断する富裕層向けの「プラチナルート」なるプランが出来上がることを期待してやみません。
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