中国ではスマホなしで生きられない??
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スマホがすべてのモノの役割果たす!?
2016年は中国のスマホ(スマートフォン)決済額が前年比倍増の600兆円以上に達するなど、中国の人々にスマホが浸透した年だったといっていいでしょう。中国のスマホ決済ユーザーは、微信支付(WeChat pay)が8億人以上、支付宝(Alipay)が4億人以上といわれています。ネット通販や実店舗の決済、公共料金のほか、映画や航空機のチケットなどさまざまな商品やサービスの決済にも対応し、現金を持ち歩かない人々も登場するなど利用は拡大しています。また、中国版Twitterといわれる微博(Weibo)や中国版LINEといわれる微信(WeChat)をはじめとするSNS上で人との繋がりが強まり、必要な情報やサービスもネット経由で得られるようになった2016年は中国の人々にスマホ依存をもたらした年といっても過言ではないでしょう。これまでの“スマホを使ったほうが便利”から、2017年は“スマホを使ったほうがお得”もしくは“スマホでなければ利用できない”、さらに将来はスマホが財布や鍵、身分証、保険証、チケットなど限りなくすべてのモノの役割を果たす時代になるのではないでしょうか。さっそく実例をみていきたいと思います。
2014年頃からスマホ1台で全生活が完結!?
まず中国で“スマホ依存”ともいえるほど、スマホが定着した背景を軽く振り返っていきたいと思います。中国でインターネット通販をはじめとするネットユーザーが増え始めたのは、中国ネット通販最大手のアリババ集団や検索最大手の百度(baidu)がサービスを開始した2003年頃といわれていますが、スマホがパソコンに代わって台頭してきたのは、スマホ向けインスタントメッセージアプリである微博(Weibo)や微信(WeChat)がサービスを開始した2010年頃とみられています。中国で“スマホ依存”の兆候が見え始めたのは、微信(WeChat)アプリの決済機能である微信支付(WeChat pay)が普及し始めた2014年頃ではないでしょうか。この頃からスマホでの送金、決済、名刺交換(ID交換)、飲食店などのサービスの予約が浸透していったほか、ゲームや動画配信といったコンテンツも充実し、生活、コミュニケーション、情報収集、娯楽のすべてがスマホ1台で完結するようになり、スマホユーザーが爆発的に増えたとみられています。特に中国では、スマホの決済機能やSNSなどのコミュニケーションツールが支持されていますが、この背景には中国の最高紙幣が100元(約1700円)で高額な買い物の際には大量の紙幣を持ち歩かないといけないことや偽札の横行、企業の広告宣伝に対する信用度が低く知人、有名ブロガーなどの評価を参考にする傾向が強くあることなどがあるようです。
ぐるなびやローソンも中国スマホ決済に対応
中国で“スマホ依存”を後押しするのがスマホ決済であり、タクシーやレストランはもちろん、生鮮市場、理髪店、日用雑貨店、田舎のタバコ店に至るまでありとあらゆる実店舗で微信支付(WeChat pay)や支付宝(Alipay)が導入されています。微信支付(WeChat pay)の実店舗での利用方法は、商品を選んだ後、スマホ決済専用のバーコードにスマホをかざして読み取り、金額をスマホに入力するだけと簡単で中国国内のみならず、海外でも急速に拡大しています。日本の空港や百貨店、家電量販店、ドラッグストア、雑貨店などでも微信支付(WeChat pay)や支付宝(Alipay)の導入が進んでおり、日本ではぐるなびが微信支付(WeChat pay)に対応できるようにしたり、支付宝(Alipay)の運用会社がローソンと販売促進で協定を結んだりしています。
スマホが“人”や“モノ”の移動手段で注目
中国でのスマホ決済の浸透は、スマホ関連サービスの普及、発展も後押ししているといってもいいでしょう。人々の消費がスマホで行われるのであれば、企業活動の中心もスマホに移るのは自然な流れかも知れません。特に支付宝(Alipay)を展開するアリババ集団と、微信支付(WeChat pay)を提供するインターネットサービス大手のテンセントの新興サービスを巡るネット主導権争いは、中国のスマホユーザーの動向を把握しておくためには目が離せないものではないでしょうか。アリババ集団とテンセントの争いは、スマホユーザーの既存の決済を支付宝(Alipay)や微信支付(WeChat pay)に誘導していく展開から、スマホ関連の新興サービスを取り込み、スマホ決済を含めたサービス全体でスマホユーザーを取り込む段階に入っています。新興サービスの中でも両社が特に注目しているのが、“人”や“モノ”の移動手段です。“人”の移動手段としては、シェア自転車で、アリババ集団が「ofo」ブランド、テンセントが「モバイク」に出資しており、ライドシェア(相乗り)やタクシー配車では、両社が出資する2社が合併した「滴滴出行」が急速に浸透しています。出前アプリや生鮮食品のネット通販、動画配信の分野でもサービス競争が加熱しており、スマホユーザーからすれば、スマホ関連サービスの発展により、“スマホがなくては困る”レベルから、“スマホはあって当たり前。なければ日常生活がままならない”レベルにまで来ているといえるでしょう。
身分証や保険証、切符、鍵も消える?
中国といえば、生活の足として自転車が定着していることで有名ですが、スマホがなければ、生活必需品であるその自転車にも乗れない時代が来るかも知れません。自転車サービスシェア大手の「モバイク」では、スマホで近くの自転車を探し、決済もスマホといいます。驚くべきは、スマホでQRコードを読み取ると解錠されるそうで、スマホが地図にもなり、財布にもなり、鍵にもなるわけです。中国では、効率的な都市運営を目指した道路混雑緩和や自動運転車普及でタクシー配車、ライドシェアサービスの仕組みが注目されているほか、地方都市などでは医療、教育、社会保険、公共交通でもスマホの活用による利便性向上が期待されているといいます。スマホの普及で現金や名刺の持ち運びが不要になりつつある中国社会では、将来身分証や保険証、切符なども消え、すべての役割をスマホが果たす未来がそう遠くないのかも知れません。
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