
Linkedin広告の成功事例12選を採用・BtoBリード獲得等の目的別に紹介!
この記事でわかること
- LinkedIn広告の特徴と主な活用方法について
- 国内外10社の広告成功事例の概要について
- 成果を生む広告運用の共通要素について
BtoB企業にとって新規顧客の獲得や海外展開、人材採用は常に大きな課題です。
その中で注目を集めているのが、世界最大級のビジネスSNS「LinkedIn」を活用した広告施策です。
職務や役職などのビジネスデータをもとに、意思決定者へ直接アプローチできるのが最大の特徴。
本記事では、国内外10社のLinkedIn広告成功事例を紹介し、実務に役立つポイントを整理します。
目次
1.LinkedIn広告とは
LinkedIn広告は、ビジネスに特化したSNS「LinkedIn」で配信できる広告サービスです。世界で10億人以上、日本でも数百万人のビジネスパーソンが利用しており、他のSNS広告と大きく異なるのは、職務経歴・役職・業種などのビジネス情報を基に広告を届けられる点です。
たとえば「製造業の購買担当者」「IT企業のマーケ責任者」といったBtoBの意思決定者にピンポイントでリーチできます。
フィードに自然表示されるスポンサードコンテンツ(記事・動画)、ダイレクトに届くメッセージ広告、プロフィール横に出るダイナミック広告など多彩な形式があり、新規顧客の獲得、海外での認知拡大、採用強化などビジネス課題に直結した成果を狙えるのが特徴です。
2.LinkedIn広告の活用目的
BtoBリード獲得
LinkedIn広告の最大の強みは、役職や業種などのビジネス属性をもとに、購買権限を持つ意思決定者や専門職へ直接アプローチできる点です。
製造業の購買担当者やIT企業のマーケティング責任者といった「検討の鍵を握る人物」に広告を届けやすく、ホワイトペーパーのダウンロードやウェビナー参加など、BtoBの初期接点づくりで効果を発揮します。
ビジネス利用が前提のプラットフォームのため、情報収集・学習姿勢の高いユーザーが多く、営業につながる質の高いリードを獲得しやすいのも特徴です。
企業認知・信頼度向上
新しい市場へ参入する際や海外展開を進める際に、LinkedIn広告は強力な選択肢になります。製品・サービス紹介に加え、導入事例やインタビュー、ブランドストーリーを広告として配信することで、対象業界内での存在感や信頼度を段階的に高められます。
BtoB商材は検討期間が長く「認知→理解→比較検討」のプロセスを踏むことが多いため、継続的接触を生みやすいLinkedInは相性が良い媒体です。
専門職や経営層比率が高く、メッセージを信頼感ある形で届けやすい点もメリットです。
人材採用・雇用主ブランド強化
LinkedIn広告は、転職市場に現れない優秀人材へアプローチできる点で他媒体にない価値を持ちます。
求人情報の掲出だけでなく、企業文化や働き方、社員の声などを広告コンテンツ化することで「ここで働くイメージ」を持ってもらいやすくなります。
候補者はLinkedInをビジネス上の自己表現・情報収集に活用しているため自然に採用情報に触れ、応募前からの理解・共感が深まります。結果としてミスマッチの低減や内定承諾率の向上につながります。
3.LinkedIn広告の成功事例10選
栗田工業株式会社
水処理プラントや薬品を展開する栗田工業は、海外市場での新規開拓を強化するためLinkedIn広告を導入。ホワイトペーパーDLを軸に、ターゲット業界の決裁者に的確にリーチし、営業パイプライン拡充につなげました。
抱えていた課題
海外の有望顧客に効率よくリーチできず、商談化につながるリードが不足。検討初期からの接点づくりが必要でした。
実施した施策
- スポンサードコンテンツ+リード獲得フォーム(事前入力)で摩擦を最小化
- 業種・規模・役職で精密ターゲティングし、決裁層に集中配信
- 技術資料・ケーススタディをDL訴求して検討初期の関心を喚起
LinkedIn広告導入による成果
- CVR約6%(プラットフォーム平均の約2倍)
- CTR約0.8%(平均0.5%台を上回る)
- 高品質なMQLを継続獲得し、海外開拓の土台を形成
Spredfast(SNSマーケティングSaaS)
業界横断で存在するSNS担当者に向け、職務情報ベースのターゲティングでアプローチ。事例・ノウハウの提供型クリエイティブで「役立つ広告」としての受容を高め、コンバージョンを拡大しました。
抱えていた課題
多業種に潜在顧客が散在し、従来の媒体では適切な担当者層に届きにくい。リードの量と質の両立が課題でした。
実施した施策
- 職務・スキル(例:Social Media Manager/Head of Marketing)での配信設計
- ホワイトペーパー・チェックリスト等の「保存価値」コンテンツを広告化
- LPとフォームの摩擦を最小化し、CPL最適化を継続
LinkedIn広告導入による成果
- リード件数500%超の増加、質の高い問合せが7倍に
- CTRは平均の約4倍、CPLは約83%削減
- ROIが顕著に改善し、継続配信の目安を確立
VistaVu Solutions(産業向けERP)
油田サービス・建設などニッチ産業の決裁層にABM的に接触。ディスプレイ広告で露出を高め、メッセージ広告で濃い接点を創出し、少数精鋭の有望案件化を推進しました。
抱えていた課題
ニッチ業界の決裁層に到達できず、他媒体ではターゲティング精度が不足。確度の高い少数リードが必要でした。
実施した施策
- ターゲットアカウントを選定し、役職レベルで名寄せ(ABM)
- ディスプレイ広告で認知蓄積→Sponsored Messageで個別訴求
- 業界固有のROI・導入効果を具体数値で提示
LinkedIn広告導入による成果
- 他媒体比4〜5倍のリードを獲得
- CVR約2.4倍、メッセージ広告CVR約23.8%
- CPL約75%削減、総コストは他施策の約1/5
GitHub(開発者向けプラットフォーム)
開発者イベントの集客にLinkedInを活用。フィード広告で告知を広げ、関心層にはメッセージ広告で招待を送り、フォロワー外の新規層から参加登録を大きく伸ばしました。
抱えていた課題
TwitterやTwitch中心の告知では新規見込み参加者の獲得に限界。ビジネス層・若手エンジニアへの接点拡大が必要でした。
実施した施策
- イベント広告+スポンサードコンテンツで広報・登録導線を集約
- 過去イベント関心者・関連スキル保有者にメッセージで直接招待
- 登録CTA一体型の面倒のないエクスペリエンスを設計
LinkedIn広告導入による成果
- イベント登録率約22%(汎用平均約4%の約5倍)
- 新規参加登録 約1,000名規模を獲得
- イベント後の製品トライアル提案でも高反応率
日本電気株式会社(NEC)
「社会価値創造型企業」としてのグローバル認知を高めるため、企業ページをハブに情報発信。地域・業界・役職でターゲティングした広告配信で、海外市場の理解・関心を広げました。
抱えていた課題
多岐にわたる事業内容を海外に伝える際、マス広告や展示会だけでは到達・理解に限界。統一的な発信基盤が必要でした。
実施した施策
- グローバル統一の企業ページ運用と投稿ガイドライン整備
- スポンサードコンテンツ・メッセージ広告で海外決裁層に配信
- 事例・ホワイトペーパー等の深いコンテンツで理解促進
LinkedIn広告導入による成果
- フォロワー5.3万人超の接点基盤を構築
- 海外市場での認知・理解が向上、MQL創出にも寄与
- コンテンツ別の反応を見て運用最適化を継続
ツネイシホールディングス(造船・プラント)
英語運用の企業ページを軸に、事業・CSR・実績の発信を継続。広告とSales Navigatorの併用で海外の決裁層接点を増やし、国際的なブランディング賞の受賞にもつながりました。
抱えていた課題
伝統産業ゆえ海外市場での認知が限定的。展示会・代理店頼みの営業では新規接点が伸び悩んでいました。
実施した施策
- 企業ページを定期更新し、英語で事業価値を発信
- Sales Navigatorで造船・物流・プラント分野の決裁者を抽出
- スポンサードアップデートで動画・事例を配信
LinkedIn広告導入による成果
- Branding Excellence Award を受賞
- 海外からの問い合わせが増加、商談機会を拡大
- 未接点市場への直接到達が可能に
Kate Spade New York(ファッション)
女性ビジネス層に向けて映像クリエイティブを配信。ビジネスSNS上でも世界観を訴求し、新規の関心層にブランドを浸透させました。
抱えていた課題
Instagram中心の訴求では接点が偏在。キャリア女性層へのリーチを広げたい意図がありました。
実施した施策
- 著名人起用の動画でスクロールストップを狙う
- 大卒以上の女性ビジネスパーソンを中心に配信
- ブランドストーリー重視の構成で共感喚起
LinkedIn広告導入による成果
- エンゲージメント率約2.44%、CTR約1.78%
- ユニークリーチ14.3万人以上
- ビジネスSNSでも新規ファン層を獲得
株式会社メルカリ(IT)
高度人材採用を強化するため、LinkedInで候補者との直接接点づくりを推進。MeetUpなどのカジュアルな交流と情報発信を組み合わせ、共感ベースの採用を実現しました。
抱えていた課題
一般媒体では出会いにくいハイクラスエンジニアへの接触が不足。自社カルチャーの理解を深める接点が必要でした。
実施した施策
- 人事・現場エンジニアが直接つながり、丁寧に対話
- オンライン/オフラインの技術交流会へ招待
- 企業ページで開発文化・働き方を継続発信
LinkedIn広告導入による成果
- 半年間で複数名の優秀エンジニアを採用
- 候補者コミュニティが拡大し、紹介も活性化
- 選考フェーズでのミスマッチ低減・承諾率向上
ベイカレント・コンサルティング(総合コンサル)
戦略・IT領域のハイクラス採用で、LinkedInのタレントデータベースを活用。スカウト〜面談までのオペレーションを最適化し、採用生産性を高めました。
抱えていた課題
通常媒体では母集団形成が難しく、応募対応の負荷も大きい。転職意思が顕在化していない優秀層に接点が必要でした。
実施した施策
- 業界・職種・経験年数などで精査し、対象者に直接スカウト
- パートナーと役割分担し、スクリーニングと面談設定を効率化
- ビジョン・案件魅力を伝えるテンプレートを整備
LinkedIn広告導入による成果
- 半年で十数名のハイクラス人材と面談
- 複数名の採用に成功、重要ポジションの充足を前倒し
- 採用オペレーションのコスト・工数を削減
ヤフー株式会社(インターネットサービス)
データサイエンス/AI領域の人材獲得に向け、LinkedInで国内外の優秀層を直接探索。現場責任者が一次接点を持つ体制で、候補者の理解・共感を醸成しました。
抱えていた課題
トップ人材は転職市場に出にくく、従来手法では接触困難。企業理解が深まるナーチャリングが必要でした。
実施した施策
- 人材検索で特徴的経歴(研究/大会実績)をもとに候補者を抽出
- 現場責任者がビジョンと役割を丁寧に説明(ダイレクト対話)
- キャリアページで働く環境・文化の発信を強化
LinkedIn広告導入による成果
- 従来接点のなかった優秀層の採用に成功
- 雇用主としての認知・好意形成が進み、フォロー・応募が増加
- コア領域の採用競争力が向上
4.LinkedIn広告の種類
LinkedIn広告にはいくつかの配信形式があり、それぞれ目的やターゲットに合わせて使い分けることができます。
BtoBの新規リード獲得からブランド認知、人材採用まで幅広いシーンで活用されており、フォーマットを正しく理解して選択することが成果につながります。ここでは代表的な4種類の広告を紹介します。
- スポンサードコンテンツ:フィードに自然表示(単一画像/カルーセル/動画/ドキュメント)
- メッセージ広告(Sponsored Message):DM形式で直接配信、イベント招待やDL訴求に有効
- ダイナミック広告:ユーザー属性に応じてパーソナライズ表示(フォロワー獲得など)
- テキスト広告:シンプルなバナー型。認知・指名ワード強化に
5.LinkedIn広告の費用感
CPC(クリック単価)はおおむね500〜1,000円前後、CTRは0.5%前後が目安です。他SNSより単価は高めですが、意思決定層へ直接届くため、リード単価やROIの観点で十分に戦えるケースが多くあります。
費用対効果を高めるには、ターゲティングの精度・オファー(DL/イベント)・LPの摩擦最小化・ABテストの継続がポイントです。
6.他媒体との違い
オンライン広告にはGoogle広告やFacebook/Instagram広告など多様な選択肢がありますが、それぞれ強みと活用シーンが異なります。
特にBtoBマーケティングや人材採用を考える際には、「どの媒体が自社の目的に合うのか」を理解することが重要です。ここでは代表的な媒体と比較しながら、LinkedIn広告の特徴を整理します。
- Google広告:検索意図に基づく即効性とボリューム。指名/課題ワードは強力
- Facebook/Instagram広告:広範なユーザーリーチと低CPC。興味関心の開拓に強み
- LinkedIn広告:職務・役職・業種での精密ターゲティング。BtoB/採用に最適
7.成功事例から学べる3つのポイント
ここまで紹介してきた10の事例には、それぞれ異なる業界や目的がありましたが、成果を生み出す企業には共通するパターンがあります。
LinkedIn広告を活用するうえで大切なのは「誰に届けるか」「どんな内容で伝えるか」「どう改善を重ねるか」の3点です。これらを押さえることで、限られた予算でも効果的な成果を出しやすくなります。以下に、成功企業が実践していた共通のポイントを整理しました。
- ターゲティングの精度:業種×役職×企業規模で絞り、無駄打ちを減らす
- コンテンツの質:事例/ホワイトペーパー/イベント誘導など「保存・行動」価値の高い訴求
- 改善サイクル:CTR・CVR・CPLを見ながら、クリエイティブ/LP/オーディエンスをABテスト
8.まとめ
LinkedIn広告は、他のSNS広告とは異なり「職務・役職・業種」といったビジネス属性で精密にターゲティングできる点が最大の強みです。
今回紹介した10の事例からも分かるように、BtoBリード獲得から海外市場での認知拡大、さらには優秀人材の採用まで幅広く活用されています。
特に長期的な検討が多いBtoBビジネスでは、初期段階から意思決定者と接点を持ち、継続的に関係を築くことが成果につながります。自社の目的に合わせて広告形式やコンテンツを選び、改善を重ねることで、限られた予算でも効果的な結果を得られるでしょう。

監修者紹介
中島 嘉一 代表取締役
SNSリンク:https://linktr.ee/nakajima
株式会社コスパ・テクノロジーズ 代表取締役。
愛媛大学情報工学部卒業後、船井電機にて中国駐在し5,000人規模の組織管理とウォルマート向け海外営業を担当。
上海で起業し通算10年の中国ビジネス経験を持つ。Web制作・デジタルマーケティング歴13年以上で現在は英語圏・中華圏を中心とした海外展開支援のスペシャリストとして活動。
多言語Webサイト構築、越境EC、SNS・広告運用を駆使して企業の海外顧客開拓から、国内向けWebサイト制作・ブランディングまで、戦略立案から実行まで一貫サポート。
海外ビジネスに関するセミナーやイベントに登壇するほか、SNS総フォロワー5万人以上、中小機構海外販路開拓アドバイザーとして中小企業から上場企業まで幅広く支援実績を持つ。