
イマーシブ体験で海外営業が変わる!没入型コンテンツで商談成功率を上げる方法
1.なぜイマーシブ体験が海外営業に効くのか?
顧客の記憶に残る“没入感”が営業を変える
海外営業において、商談の成否を分けるのは“記憶に残るかどうか”です。イマーシブ(没入型)体験は、その記憶に強く働きかけます。VRや360°動画といった体験型コンテンツを用いることで、相手に「実際に見た」「触れた」感覚を与えることができ、単なるスペックの羅列や説明資料では得られない印象を残せます。これにより、競合との差別化が図れるのはもちろん、営業担当者個人の話術や語学力に頼らずとも、確実に伝わる提案が可能になります。記憶に残る体験が、興味や信頼に変わり、やがて成約という行動へとつながっていく──これがイマーシブ体験が営業を変える理由です。
スペックでは伝わらない「使う実感」を届ける
製品のスペックや実績を説明しても、海外の見込み顧客にとってそれが自分たちにどう役立つのかまでは伝わらないことが多くあります。そこで重要になるのが、“使う実感”をどう届けるかという視点です。
たとえば、VRで製品の操作や使用シーンを体験できれば、実際に導入した後のイメージを明確に描いてもらうことができます。360°動画で自社工場の様子を見せれば、製造過程への信頼や品質感覚も伝えられます。このようなイマーシブ体験は、「言葉で説明する」のではなく、「相手に感じてもらう」営業手法です。顧客自身が“体感”した内容は、記憶にも残りやすく、納得感ある意思決定につながりやすくなります。
展示会頼みからの脱却が加速する理由とは
海外営業では、長らく展示会が新規開拓の主戦場とされてきました。しかし近年では、コストの高騰や現地参加の制約、競合の乱立により、展示会頼みの営業スタイルに限界を感じている企業も増えています。そこで注目されているのが、イマーシブコンテンツを使った“脱展示会型”の営業です。
VRコンテンツやインタラクティブ資料を活用すれば、顧客がいつでもどこでも製品や企業の魅力を体験できるようになります。さらに、展示会のようにその場限りではなく、繰り返し視聴・共有されることで長期的な効果も期待できます。展示会に依存しない、より柔軟で再現性のある営業スタイルへ──その変化が今まさに進んでいるのです。
2. 営業成果を高める!イマーシブコンテンツの種類と使い方
VR・360°動画・インタラクティブ資料の特徴
イマーシブ体験を実現するコンテンツには、主にVR、360°動画、インタラクティブ資料の3種類があります。VRは仮想空間内で製品や現場を立体的に体験でき、まるでその場にいるかのような没入感を与えます。360°動画は、施設や製品の周囲を自由に見回せる視覚体験を提供し、空間の広さや構造、使用環境を直感的に理解できます。一方、インタラクティブ資料は動画や音声、クリック操作などを組み込んだ提案書で、能動的な理解促進に向いています。いずれも顧客の感情と理解に同時に働きかけることで、営業資料を“体験型の提案”へと進化させられるのが特徴です。
商談や資料共有における具体的な活用シーン
イマーシブコンテンツは、商談のさまざまなフェーズで活用できます。たとえば初回面談の前に360°動画で製品の使用イメージを共有すれば、相手は「自社で使ったときの姿」を思い描きながら話を聞けるため、理解と納得が深まります。
対面商談でVRゴーグルを使えば、その場で疑似体験を提供でき、印象に残るプレゼンが可能です。また、インタラクティブ資料を営業後のフォローアップとして送れば、相手の関心が高まっているタイミングで、能動的に情報を再確認できます。これらの活用により、営業プロセス全体が“受け身”から“体験参加型”へと変わっていくのです。
見せて終わらせない!CTA設計の重要ポイント
どれだけイマーシブな体験を提供できたとしても、次の行動につながらなければ意味がありません。だからこそ重要なのが、コンテンツ内に明確なCTA(Call To Action=行動喚起)を組み込むことです。たとえば、インタラクティブ資料内に「この事例を見る」「見積もり依頼はこちら」などのボタンを設置すれば、関心の高いタイミングで次の一歩を促すことができます。また、VR内に連絡先や相談フォームを組み込むことで、体験からアクションまでを一貫して完結させることも可能です。営業資料の“出口設計”を意識することで、イマーシブ体験はより確実に成果へつながっていきます。
3. 海外営業で成果を出した実在事例
日立製作所:VR/360°動画によるリモート工場見学で信頼を獲得
日立製作所(大みか事業所)は、リモート向けにVR/360°動画を併用した工場見学プログラムを導入しています。THETA 360.bizで撮影された360°画像と、リモーターが現地案内をしながら進行するイマーシブ体験により、顧客はまるで現場にいるかのような臨場感を得られます。実際、これにより商談フェーズでの信頼醸成が飛躍的に向上し、海外顧客の検討スピードにも好影響が出ている模様です。イマーシブ体験は「製造の内側」を伝え、信頼と納得につなげています。
東芝デバイス&ストレージ:オンライン展示会でバーチャルブース展開
東芝デバイス&ストレージはITmedia Virtual EXPOで、2021〜23年にかけてバーチャルブースを継続出展。製品情報をイマーシブな動画や技術Webセミナーで配信し、会場にいない顧客にも深い理解を促しました。3Dブースと動画資料は、海外営業チームに資産化され、商談前の事前共有やオンライン面談に活用されたことで、プロセス全体での質が向上。これにより展示会と連携した新たな営業導線が生まれ、イマーシブ体験型の遠隔営業モデルとして成果を残しています。
パナソニック:CES 2025でのVR体験シアターとMeganeX連動活用
パナソニックはCES 2025にて「Panasonic Go」戦略のもと、VR・メタバース技術を活用したイマーシブ体験型展示を展開しました。Shiftall開発の軽量VRゴーグル「MeganeX」を用いた体験シアターでは、来場者が製品世界に没入でき、五感への訴求を強化。展示後には、このVR体験コンテンツがオンライン商談や営業資料にも組み込まれ、展示会に来られなかった海外顧客にも同様の訴求が可能に。イマーシブ演出×軽量機器の掛け合わせにより、商談成果を加速させる実装モデルとして成功事例とされています。
4. 今日からできる!イマーシブ営業の導入ステップ
まずは資料動画化・音声化から始めよう
イマーシブ営業と聞くと、大がかりなVR制作や3D開発を想像するかもしれません。しかし、第一歩として最も現実的で効果的なのは、既存の営業資料の「動画化」「音声化」です。たとえば、パワーポイントの資料にナレーションを加えて動画形式にするだけでも、相手の理解度は大きく変わります。さらに、営業担当者の顔を出して説明すれば、信頼感や親しみも生まれやすくなります。こうしたコンテンツはオンライン商談の事前共有や、フォローアップにも活用でき、スモールスタートとしては最適です。最初の一歩として、社内にある資料を「どう見せるか」から見直すことが、イマーシブ体験への入り口となります。
現地代理店でも使いやすい形式にする工夫
イマーシブコンテンツは、営業本部だけでなく現地代理店や海外拠点でも使える形式であることが重要です。たとえば、オフラインでも再生できる動画形式、スマートフォンで簡単に開けるリンク構成、言語切り替えボタンの設置など、小さな工夫が現場の使いやすさを大きく左右します。とくにネット環境が不安定な地域では、重い3Dコンテンツよりも、軽量で実用的なイマーシブ資料が求められます。また、マニュアル不要で使えるUI設計や、テンプレート化された配布モデルも有効です。営業現場の声を取り入れて、配布・展開しやすい形に整えることで、導入効果は広がっていきます。
効果測定と改善で“やりっぱなし”を防ぐ
どんなに優れたイマーシブ営業コンテンツでも、「作って終わり」では持続的な成果にはつながりません。重要なのは、再生数・平均視聴時間・クリック率・アクション誘導数といった定量的な指標を用いて、どのコンテンツがどこで機能しているかを把握することです。たとえば、途中離脱が多ければ動画の尺や順番を見直す、CTAが押されていないなら配置や表現を改善するといったPDCAが回せるようになります。Google Analyticsや動画ホスティングの分析機能を活用することで、誰でもデータドリブンな改善が可能です。やりっぱなしを防ぎ、成果に直結する営業活動へと昇華させる鍵は“測定と改善”のループにあります。