
海外で売れるのは“意外と地味”?人気商品に学ぶ本当のニーズとは
目次
1. なぜ“地味な商品”が海外で売れるのか?
パッとしないけれど“売れている”理由
「パイロットのフリクションボールペン」や「貝印の爪切り」、「無印良品の詰め替えボトル」は、日本国内では日常に溶け込みすぎて目立たない存在かもしれません。しかし、海外では「なめらかな書き心地」「切れ味の良さ」「無駄のない機能美」が高く評価され、根強い人気があります。特に実用性の高さと長く使える耐久性が評価されており、これらの製品は派手さがなくても確実にリピートされているのです。海外市場調査では、こうした日用品こそが“本当に使われている商品”として注目に値します。
“映えないけど使える”が選ばれる
SNSで目立つ商品よりも、生活の中で自然に役立つ製品が選ばれる傾向にあります。たとえば、「肌ラボ 極潤ヒアルロン液」や「キュレル」などのスキンケア製品は、シンプルな見た目ながらも成分が信頼されており、敏感肌に合うことから高評価を得ています。また、「ヤマサのだしつゆ」や「創味シャンタン」などの調味料も、家庭で日本の味を簡単に再現できると好評です。これらは“見た目ではなく使って良かった”という実体験に基づいたリピート購入につながっています。
見た目より“信頼される情報設計”
「太田胃散」や「ロートZ!」などの医薬品は、パッケージがシンプルで、過剰な装飾や誇張表現がないことが逆に信頼につながっています。特に欧米市場では、落ち着いたデザインや丁寧な成分表示、明確な使用方法の記載が評価されやすくなっています。海外市場調査を進めるなかで、パッケージやラベルにどれだけ“安心”を与えられるかは、購買意欲に直結する要素です。派手さを追うよりも、真面目で丁寧な表現こそが「買いたい」と思わせる原動力になることがあるのです。
2. 海外市場調査から見えた“売れる地味商品の共通点”
軽い・壊れない・持ち帰りやすい
訪日外国人が日本の商品を購入し、母国へ持ち帰るときに重視するのは、「軽さ」「壊れにくさ」「サイズ感」です。たとえば、「ダイソーの折りたたみ傘」や「無印良品のポリプロピレンケース」、100円ショップの保存容器などは、荷物としてかさばらず実用的であるために選ばれています。これらの商品は越境ECでも同様に人気があり、配送コストや破損リスクが少ないことから事業者側にも扱いやすい商品です。海外市場調査においては、こうした物理的な選ばれやすさも大きな指標となります。
シンプルなパッケージ・過剰に主張しない
北欧やドイツをはじめとする欧米諸国では、無印良品のように“無駄を削ぎ落としたデザイン”が高く評価されています。逆に、色とりどりのキャッチコピーが並ぶパッケージは、「ごまかされているようだ」と捉えられる場合もあります。日本市場では当たり前になっている“情報量の多いパッケージ”が、海外では敬遠される可能性があることを意識すべきです。海外市場調査では、現地ユーザーが「見た瞬間にどう感じるか」という視点でビジュアル面もチェックしておく必要があります。
リピート買い・配りやすさ・ギフト適性
「白い恋人」や「東京ばな奈」など、個包装されていて配りやすい商品は、お土産としても使えるため安定した需要があります。また、「永谷園のお茶漬けの素」や「丸美屋のふりかけ」なども、コンパクトで軽く、初めての人にも使い方が簡単であるためリピートされやすい商品です。さらに、こういった製品は“ギフトとして渡しやすいか”という視点で選ばれていることも多く、海外営業の提案においても「プレゼント需要」を見込んだ商品ラインナップは説得力を持ちます。
3. 海外市場調査を活かす越境EC・営業戦略とは?
地味な商品をどう見せるかが勝負
海外市場調査で“売れ筋”がわかったあとに重要なのは、その商品をどう見せるかという点です。地味な商品こそ、価値をきちんと説明しなければ魅力が伝わりません。たとえば、「肌ラボのミニボトルをセット販売」「爪切りに使い方の動画リンクをつける」「詰め替えボトルに多言語ラベルを貼る」といった、シンプルながらも具体的な工夫が売上に直結します。越境ECの商品ページも、派手な装飾より“伝わる構成”を意識することで、コンバージョン率を大きく向上させることができます。
“らしさ”より“使いやすさ”の訴求を
「日本らしさを押し出せば売れる」という考え方が常に正解とは限りません。実際には、“便利でストレスがない”“手間が省ける”“誰でも使える”といったポイントの方が、現地の生活者には響きます。たとえば、「セリアの計量スプーン」や「無香料の柔軟剤」は、地味ながらも“使えばわかる快適さ”でリピーターを生んでいます。海外市場調査を行う際には、“文化の違い”ではなく“生活の共通点”に目を向けた商品設計が求められます。
観察とレビュー分析で売れる理由を構造化
越境ECや海外営業においては、「なぜこの商品が売れているのか?」を言語化できることがとても大切です。たとえば、レビューの中にある「また買いたい」「母にも渡した」「現地では買えない」などの声を拾い上げることで、購入の背景や文脈を構造的に理解できます。海外市場調査の本質は“観察”です。売れている現象の裏にある理由をレビュー分析やSNS投稿から見つけ出すことが、ロングセラー商品を育てる第一歩になります。
4. まとめ|海外市場調査にこそ“地味な目線”を
“売れ筋の影にある共通点”を見逃さない
ランキング上位の商品だけを追っていると、実は安定して売れ続けている“地味だけど売れている商品”を見落とすことがあります。「普通に良い」「困らない」「手放せない」といった生活に根ざした評価こそが、実は最も信頼できる市場の声です。海外市場調査をする際は、“売れている理由”を表層ではなく行動から読み解く目線が必要です。
“使われている”現実を観察する調査法
実際に外国人がスーツケースに詰めて帰る商品や、レビューで「毎日使っている」と評価されている商品には、明確なニーズがあります。たとえば、「セリアの収納袋」「ダイソーの歯ブラシキャップ」などは、決して目立つ商品ではありませんが、生活者が選んでいるという事実にこそ価値があります。海外市場調査では、現場の“使われ方”に注目する視点が成功の鍵です。
“特別じゃない”が最大の武器になることも
最後に、日本企業が海外展開を考える際、特別なデザインや高価格帯の商品に注目しがちですが、実は「特別じゃないけれど毎日使いたい商品」が、最も強い武器になることがあります。派手なものが一過性のヒットを生む一方で、“当たり前の良さ”は静かに、でも確実に市場に根づいていきます。地味な商品を見直すことこそが、これからの海外営業・越境EC戦略の要になるのではないでしょうか。