
日本のコンビニが世界を制した理由とは?海外営業のヒントを探る
目次
1. セブン-イレブンはなぜ“世界最大のコンビニチェーン”になれたのか?
セブン-イレブン(国内:21,538店、海外:63,224店/2024年)展開国:日本、アメリカ、タイ、台湾、韓国、フィリピン、メキシコなど20カ国以上強いエリア:日本国内(特に関東)とタイ、台湾、アメリカ西部
アメリカ発なのに“日本式”が世界をリードした理由
セブン-イレブンは元々アメリカ発祥ですが、経営再建後は日本のセブン&アイHDが主導権を握り、日本式経営にシフト。その後、ドミナント戦略(地域集中出店)を軸に、物流効率とブランド認知を同時に高め、国内で圧倒的シェアを築きました。この手法はアジア・北米にも展開され、世界標準として受け入れられています。海外営業でも、1つのエリアで確実に成果を出すモデルが、その後の拡張力につながるという好例です。
“共通ルール×現地最適化”が海外営業でも活きる
セブン-イレブンは全世界で共通の品質基準や接客マナーを保ちつつ、現地ニーズに合わせて商品を調整。たとえばタイではカオマンガイ弁当、アメリカでは大型ホットドッグが売れ筋です。「統一感を持たせつつ、各国文化に馴染ませる」このアプローチは、BtoB営業でも“基本軸をぶらさず現地に合わせる”思考として活用できます。
ブランドは品質でつくられる:営業にも通じる日本式の信頼構築
海外でのセブンの成功は、単に商品が売れたからではなく、「日本ブランド=信頼できる」という評価を勝ち得たことが大きな要因です。清潔、正確、丁寧—この3拍子が、日本的な営業活動と通じ合う要素です。相手の文化を尊重しつつ、一貫性ある対応で“信頼される存在”になることが、海外顧客開拓にも直結します。
2. ファミリーマートがアジアで根づいた理由とは?
ファミリーマート(国内:15,907店、海外:8,800店/2025年)展開国:日本、台湾、中国、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシアなど強いエリア:台湾(業界No.1)、ベトナム、中国沿岸部
“暮らしに溶け込む”ブランド戦略が成功の起点
ファミリーマートは海外において、台湾やベトナムで高いシェアを誇ります。台湾では2024年時点で約4,100店舗を展開し、現地最大のコンビニチェーンに成長しました。その成功の背景には、「生活に自然と入り込む」という視点があります。売れる商品ではなく“使われる商品”を目指し、地域の食文化や生活リズムを理解したうえで、弁当やスナック、ドリンクを現地向けに企画。海外営業でも「その土地の当たり前」を観察する力が成果につながります。
ご当地MD(商品戦略)の徹底がファンを生む
ファミリーマートはベトナムでも200店舗超を展開し、ローカルフードを活用した商品開発に力を入れています。たとえば現地法人主導で開発されたバインミー風サンドや甘味飲料などがヒットし、日系ブランドながら“ベトナムの店”として認識されています。現地の味覚や価格感に寄り添うMD(商品戦略)は、海外営業でも“その市場独自の課題解決型提案”として応用できます。
現地パートナーとの協業体制が拡張力を生む
ファミリーマートは、台湾では頂新グループと、中国では華潤グループなどとの連携を通じて拡大を続けています。各国での展開においては、文化や法律、消費者心理に通じた現地パートナーとの協業が不可欠。営業においても、信頼できるパートナーと組みながら、その土地のやり方に適応することが、長期的な拡張性を生みます。
3. ローソンの多様な海外戦略に見る営業のヒント
ローソン(国内:約14,600店、海外:約7,400店/2025年)展開国:日本、中国、インドネシア、フィリピン、タイ、ハワイ(アメリカ)など強いエリア:中国(上海)、インドネシア、ハワイ
中国での展開成功は“ローカル信頼”の積み重ね
ローソンは中国本土で6,000店超(2024年)を展開。特に上海で「清潔・安全・便利な日本式コンビニ」としての立ち位置を確立しました。特徴的なのは、地域ごとに運営法人を分け、地元事情に合わせた店舗運営を可能にしている点です。営業面でも、地方拠点を信頼して任せる体制は、グローバル営業活動の分散化・現地最適化にも通じるアプローチです。
インドネシアでは“価格以上の価値”を提供
ジャカルタ中心に展開されるローソンは、「日本製品が買える」「冷房が効いていて清潔」「丁寧な接客」といった要素が中間層・富裕層に評価され、コンビニ以上のライフスタイル店舗として浸透しています。BtoB営業においても、単なる価格競争に巻き込まれるのではなく、“信頼・品質・体験”をセットで提供する姿勢が、差別化の基盤となり得ます。
ハワイでは“訪日逆輸出型”の成功モデル
ローソンはアメリカ本土ではなくハワイに出店し、日本人観光客向けの品揃えと運営体制を整えています。空港・観光地中心の立地、日本語POPや弁当の導入など、ニッチ市場を正確に狙った出店が特徴です。海外営業でも、対象市場の“属性と流れ”を的確に読み、汎用的でない提案を刺さる形で届けることが、競争優位につながります。
4. まとめ:日本のコンビニチェーンから学ぶ、海外営業成功のヒント
海外展開は“広げる”前に“根づく”ことが重要
セブン-イレブンは84,762店、ファミリーマートは24,707店、ローソンは約22,000店と、いずれも世界有数の店舗数を誇ります。しかしその拡大は、最初から一斉に広げたわけではありません。それぞれが強いエリア(タイ・台湾・中国・インドネシアなど)で「地に足のついた浸透戦略」をとった結果、着実にスケールしていったのです。営業活動も同じく、まずは1社・1地域に深く入り込むことが、その後の広がりにつながります。
ローカルと共に創る“売れる仕組み”が成長を支える
3社すべてに共通しているのは、単に商品を持ち込むのではなく、現地パートナーと連携し、現地の人々に合わせた“売れる仕組み”をつくっていることです。言語や文化の違いを壁にするのではなく、協業によって理解し補い合う姿勢は、海外営業においても非常に実践的な示唆となります。
文化の押し付けではなく、“馴染ませる”姿勢が信頼につながる
日本のコンビニは、日本式を全面に押し出すのではなく、現地の食文化や生活様式に馴染ませるかたちで展開してきました。BtoB営業でも、製品やサービスの良さを一方的に伝えるのではなく、「相手の業務フローや価値観にどう適応させるか」を考えることで、自然に受け入れられる関係が築かれていきます。