
Instagramで海外顧客をつかむ企業戦略:“映える”だけじゃない活用術は?
1. BtoB企業がInstagramを活用する理由
InstagramのBtoB市場での可能性
Instagramは、主にBtoC向けのSNSとして認識されていますが、近年ではBtoB企業にとっても有効なマーケティングツールとして注目されています。特に、ビジュアルコンテンツの強みを活かし、製品の魅力を視覚的に伝えることができるため、製造業やテクノロジー企業が積極的に利用し始めています。
ターゲット層がInstagramを日常的に使用している場合、適切な運用戦略を立てることで、ブランド認知度向上やリード獲得につなげることが可能です。
他のSNSとの違いと強み
LinkedInやFacebookなど、他のSNSと比較した際のInstagramの強みは、その視覚的な影響力にあります。特に、Instagramのリール機能やストーリーズを活用することで、短時間でインパクトのある情報を届けることが可能になります。また、Instagramはエンゲージメント率が高く、フォロワーとの双方向のコミュニケーションが活発な点もBtoB企業にとってのメリットとなります。
海外営業・顧客獲得に有効な理由
BtoB企業がInstagramを活用する最大のメリットの一つは、海外市場においての顧客獲得の可能性を広げられる点です。特に、英語圏やアジア圏の市場に向けて、製品やサービスの特長を分かりやすく伝える手段として有効です。
適切なハッシュタグを活用することで、業界関係者やターゲット顧客にリーチしやすくなり、問い合わせやリード獲得につながるケースも増えています。
2. 日本企業の海外向けInstagram運用事例紹介
デンソーの動画マーケティング施策
デンソーは、自動車部品メーカーとして、Instagramを活用した動画マーケティングに力を入れています。公式アカウント(@denso_official)では、リールやIGTVを活用し、最新技術の紹介や開発の舞台裏を映したコンテンツを投稿。
例えば、電気自動車向けの革新的なパワートレイン技術を紹介する動画が高い再生回数を記録し、技術者や自動車業界の専門家からの関心を集めています。
また、Instagramのライブ配信機能を利用。し、エンジニアが最新技術について説明するセッションを開催。視聴者からの質問にリアルタイムで回答することで、フォロワーとのインタラクティブなコミュニケーションを実現しています。さらに、デザインや製造過程を短尺動画で紹介し、技術の魅力を分かりやすく伝えることで、フォロワーのエンゲージメントを向上させています。ハッシュタグ「#デンソーテクノロジー」「#未来のモビリティ」を活用し、ターゲット層に適切にアプローチする戦略を展開しています。技術者やパートナー企業との信頼関係構築に成功しています。
チームラボプラネッツ(teamLab Planets)のインバウンド戦略
チームラボプラネッツは、没入型デジタルアートの展示を行う企業で、Instagramを積極的に活用し、海外市場への認知拡大に成功しています。公式アカウント(@teamlab.planets)では、幻想的なインスタレーション作品を視覚的に伝える投稿が特徴です。現在約26.9万人のフォロワーを持ち、特に海外の観光客やインフルエンサーに向けた情報発信が盛んに行われています。
チームラボプラネッツは、海外からの訪問者を増やすために、インフルエンサーを活用したプロモーションを展開。特にアメリカ、ヨーロッパ、アジアの著名なインフルエンサーとコラボレーションし、彼らが現地で体験したアートの様子をInstagramで拡散。これにより、訪問意欲を高め、海外旅行者の来場促進に成功しました。
また、多言語対応の投稿を行い、特に英語や中国語での説明を充実させることで、海外ユーザーにとってアクセスしやすいコンテンツを提供しています。リール機能を活用した短尺動画の投稿も増加させ、フォロワーの関心を引き付ける戦略を展開。インタラクティブなコンテンツと最新のSNS機能を活用することで、インバウンド観光客の増加に成功しています。
日産(Nissan)の海外マーケット向け運用
日産自動車は、Instagramを通じて海外市場でのブランド戦略を強化している代表的な日本企業です。公式Instagramアカウント(@nissan)は、約200万人のフォロワーを誇り、英語を中心にグローバル市場向けのコンテンツを発信。特に新型車の紹介、テクノロジーの進化、ブランドストーリーに関する投稿を行い、ユーザーの関心を引き付けています。
日産は、Instagramのストーリーズ機能を活用し、リアルタイムでの情報提供を実施。例えば、国際モーターショーなどのイベントでは、最新車種の詳細をインタラクティブな形で紹介し、フォロワーとのエンゲージメントを高めています。また、ハッシュタグキャンペーン「#NissanNext」を展開し、ユーザーにブランドとの接点を持たせる施策を実施。これにより、ユーザー生成コンテンツ(UGC)を活性化させ、より自然な形でのブランド拡散に成功しました。
さらに、電気自動車(EV)の普及を推進するため、Instagramリールを活用し、EVの利便性や走行性能を動画で解説。これにより、環境意識の高い海外市場の消費者に強く訴求することに成功しています。結果として、Instagramを通じたブランドエンゲージメントが向上し、海外市場における認知度の向上に貢献しました。
パナソニックの海外市場向けInstagram活用
パナソニック株式会社は、Instagramを積極的に活用し、国内外のユーザーとのエンゲージメントを強化しています。公式グローバルアカウント(@panasonic_global)では、企業の最新技術や環境活動、製品情報を英語で発信し、約20万人のフォロワーを抱えています。
特に「#PanasonicGreenImpact」や「#ClimateAction」のハッシュタグを使用し、環境保護への取り組みを訴求する投稿が多く見られます。
さらに、パナソニックはマレーシア市場向けにECサイト「Inspired Lifestyle Japan」を開設し、Instagramを活用したプロモーションを実施。AnyMind Groupと提携し、ECサイト運営の最適化やインフルエンサーマーケティングを展開しました。また、調理家電「ビストロ」のPRでは、料理系インフルエンサーを起用したInstagramライブ配信を実施し、約1.1万人の視聴者を獲得。コメント数も200件以上に達し、高いエンゲージメントを記録しました。これらの施策により、パナソニックはInstagramを通じて海外市場でのブランド認知度向上に成功しています。
資生堂(Shiseido)のグローバルブランディング
資生堂は、世界中で展開するグローバルブランドとして、Instagramを活用したマーケティングに力を入れています。公式Instagramアカウント(@shiseido)は、現在約200万人のフォロワーを有し、英語を中心に多言語で発信しています。
特に「#JBeauty」などのハッシュタグを活用し、日本の美容技術や伝統を前面に打ち出したコンテンツを提供。高品質なビジュアルとストーリーテリングを組み合わせ、ブランドの魅力を伝える手法を確立しました。
資生堂は、Instagram上でのエンゲージメント向上にも注力しています。例えば、リール動画を活用し、スキンケアやメイクのハウツー動画を提供することで、ユーザーに実際の製品使用方法を伝えるだけでなく、インタラクティブなコミュニケーションを実現。また、資生堂のデジタル美容部員「オムニPBP」を通じ、フォロワー数10万人以上のインフルエンサー社員を育成。彼らの発信力を活かして製品の魅力を発信し、海外市場でのブランド認知度向上を成功させました。
3. まとめ
国内と海外のBtoB企業におけるInstagram活用の違い
国内のBtoB企業は、主にブランディングや採用活動を目的としてInstagramを活用しています。一方、海外向けのBtoB企業やBtoC企業は、グローバル市場へのブランド認知度の向上やエンゲージメント拡大に重点を置いています。特に、多言語対応のコンテンツ戦略や、ターゲット市場の文化に適したビジュアル表現が成功の鍵となっています。また、ユーザーとの双方向のコミュニケーションを強化することで、ブランドへの信頼を築くことが可能です。
今後のInstagramマーケティングの展望
今後、日本企業が海外市場向けにInstagramを活用する際には、ターゲティング広告やショート動画の活用がさらに重要になっていくでしょう。
特に、InstagramライブやストーリーズのQ&A機能を活用することで、ユーザーとリアルタイムで交流し、ブランドに対する親近感を高めることができます。また、インフルエンサーとのコラボレーションや、ユーザー生成コンテンツ(UGC)の積極的な活用により、オーガニックな拡散を促す施策も有効です。これらの施策を組み合わせることで、より多くの海外市場へリーチし、持続的な成長を実現できるでしょう。
今後、日本企業が海外市場向けにInstagramを活用する際には、ターゲティング広告やショート動画の活用がさらに重要になっていくでしょうよりインタラクティブなコンテンツを提供することで、海外市場でのブランド成長を加速させることが可能です。