
BtoB企業はWhatsApp公式アカウントを開設すべき?:国別実態調査
目次
1. WhatsAppのBtoB活用はどこまで進んでいるのか?
世界のWhatsApp利用状況
WhatsAppは世界で20億人以上のユーザーを持つメッセージングアプリです。特にインド、ブラジル、インドネシアなどでは、個人間だけでなくビジネス用途としても広く活用されています。
一方、アメリカではSMSやiMessageが根強く、企業間のコミュニケーションはEメールが主流です。ヨーロッパでもWhatsAppの利用は進んでいるものの、BtoBの主要な連絡手段はLinkedInやメール、CRMツールが用いられます。
BtoB企業がWhatsAppを導入する際には、こうした地域ごとのビジネス習慣を考慮する必要があります。
BtoBビジネスでのWhatsAppの役割
BtoB企業におけるWhatsAppの活用は、海外営業ツールというよりもカスタマーサポートや迅速なクライアント対応手段としての役割が大きいです。
たとえば、物流業界では配送状況の確認、製造業ではサプライチェーン管理に活用されています。WhatsApp Business APIを導入することで、自動応答機能やチャットボットを使ったサポートが可能になり、業務の効率化にも貢献します。
WhatsAppを活用する業界と企業の特徴
WhatsAppを積極的に活用しているのは、新興市場をターゲットとする企業や、BtoCとの接点が多い業界です。
銀行業界では顧客サポートの一環として、EC企業ではカスタマー対応のためのチャットツールとして導入が進んでいます。
BtoB企業の場合は、特に物流や製造業で、サプライチェーン管理や受発注の連絡手段として利用されることが増えています。WhatsAppを利用することで、リアルタイムでのやり取りが可能になり、業務のスピードが向上する点がメリットとされています。
2. WhatsAppが主流の地域とは?:新興国の実情
各国のBtoB企業のWhatsApp活用事例
インドでは、多くの企業がWhatsAppを使って見積もりや注文を受け付けています。ブラジルでは銀行がWhatsAppを利用し、カスタマーサポートの効率を向上させています。アフリカではWhatsAppがEコマースの販売チャネルとして機能し、BtoB企業の営業プロセスにも組み込まれています。
3. ヨーロッパとアメリカでのWhatsAppの立ち位置
GDPRとは?
GDPR(General Data Protection Regulation)は、EUが2018年に施行したデータ保護規則です。この規則により、企業は個人データを取得・処理・保存する際に、ユーザーの明確な同意を得ることが義務付けられました。違反した場合、企業には最大で売上高の4%または2,000万ユーロの罰金が科される可能性があります。
WhatsAppとGDPRの関係
WhatsApp Businessを利用する企業は、顧客の同意を得た上でメッセージを送信する必要があります。また、顧客がメッセージの受信を拒否できるオプションを提供しなければなりません。これに対応するため、多くの企業がWhatsApp APIをCRMと統合し、顧客の同意管理を自動化する仕組みを導入しています。
4. 日本企業が公式WhatsAppを開設している事例
日本企業がWhatsAppを導入する理由
日本企業の海外市場向けの営業・カスタマーサポート手段として、WhatsAppの導入が増えています。特に新興国ではEメールよりもWhatsAppの普及率が高く、リアルタイムでのやり取りが求められるビジネス環境に適しています。
たとえば、トヨタ、楽天、ソニーといった企業は、海外市場での顧客対応を強化するためにWhatsAppを活用しています。また、日本の航空会社や通信企業も、国際顧客とのコミュニケーションツールとして導入を進めています。
具体的な導入事例と成果
日本企業の中でも、WhatsAppを活用して海外市場への対応を強化する動きが広がっています。
トヨタは東南アジアでのカスタマーサポートを改善し、ディーラーとの連絡や整備予約を迅速化しました。楽天は東南アジア向けEC事業でWhatsAppを活用し、配送状況の確認や問い合わせ対応をスピードアップしています。JALは国際線利用者向けにWhatsAppで予約変更や搭乗案内を提供し、特に英語圏以外の顧客の利便性向上に貢献。
ソニーはラテンアメリカでカスタマーサポートに導入し、修理対応の効率化を実現しました。ユニクロはインド市場でWhatsAppを使ったマーケティングを展開し、エンゲージメント率を向上。ホンダはグローバルのサプライヤーとの連携を強化し、部品調達のスピードを向上させました。
パナソニックはアフリカ市場でアフターサポートを強化し、修理受付の迅速化を実現。ソフトバンクは海外の企業顧客向けにチャットボットを導入し、24時間対応を可能にしました。NTTコミュニケーションズはクラウドサービスの問い合わせ窓口として活用し、国際顧客の対応を効率化しています。
こうした導入事例からも、日本企業のWhatsApp活用が今後さらに拡大することが予想されます。
5.まとめ
WhatsAppは、新興市場においてBtoB企業の有力なコミュニケーションツールとして活用されています。
一方、ヨーロッパやアメリカではGDPRなどの規制を考慮しながら適切に運用することが求められます。
企業は市場ごとのビジネス文化や法規制を理解し、LinkedInやEメールなど他のツールと組み合わせて活用することが重要です。今後、日本企業の海外営業戦略においても、WhatsAppの役割はさらに拡大するでしょう。