中国語対応サービスを開始したばかりの機械翻訳「DeepL」が有料版「DeepL pro」をリリース、翻訳業務の効率アップは確実?
DeepL社とは、2009年ドイツのケルンで設立された、翻訳や検索エンジン会社をルーツに持ち、ディ-プラーニングや、言語向けの人工智能を開発している。2017年8月から機械翻訳サービスを無償で提供している。欧州系言語中心だったが、2020年3月から中国語(簡体字)にも対応した。さらに6月には有料版「DeepL pro」をリリースした。
昨年の春先、大阪メトロ公式サイトの誤訳が話題となった。堺筋線を「Sakai Muscle Line」天下茶屋を「World Teahouse」訳したのである。漢字を逐一訳していくとこのようなことが起こる。これは日本語訳でも全く変わらない。
例えば2年前、Google Chromeの翻訳機能は、テンセント系ネットバンク・微衆銀行の個人向け金融商品「微粒貸」を「個人単位のごく小さな金額の貸出し」と訳していた。間違っていないだけに問題は根深い。固有名詞を認識できないのだ。
現代日本語の特徴は、和製英語をはじめとする、外来語が多いことだ。Google Chromeの翻訳機能は、これに対応すべく、苦闘している。しかし、あまりうまくいっていない。一般に使われない言葉、文脈上では明らかにおかしな言葉に変換してしまい、わけがわからなくなる。例えばインターネット関連記事の翻訳では、ネットユーザーのことをよく“ネチズン”と訳す。network citizenの略称だが、日本ではあまり浸透していないため、ヘンに見えてしまう。これも日本語訳の関門だ。
中国側はどうだろうか。中国のAI研究記事をみていると、音声認識の研究は非常に盛んだ。科大訊飛という会社の智能語音(音声識別)プロジェクトは2017年末、4つの国家AIプロジェクトの1つ指定されている。同社の業績は好調で、直近では、英語、フランス語、スペイン語など10の言語と、広東話、四川話など、中国の12主要方言を、録音完了とほぼ同時に文字転換できるスマートボイスレコーダーを発表している。最先端の研究は日々進化している。
しかし、お買い得な家電製品を通販で買い、あやしい日本語説明書に困惑した日本人は多いだろう。中国ナンバーワン企業、アリババの日本語ページをみても、オフィスツール「釘釘」はまずまずだが、ネット通販「AliExpress」はどこか表現がおかしいなどばらつきがみられる。
DeepLの中国語→日本語訳は、無料サービスの中では、間違いなくもっとも優秀なクラスにある。固有名詞を割り出すのが上手だ。それが6月からは、1ヶ月750円からの有料サービスを展開する。翻訳レベルは一段と洗練されていることだろう。
これを利用して中国サイトのビジネスニュースを、どんどん翻訳されることをお勧めする。中国ビジネス界の変化は速く、どこにチャンスが眠っているかわからない。