中国の“低頭族”とは、頭が低くてペコペコする人なのか?
中国では“低頭族”という言葉が流行っています。低頭だから一見頭が低くてペコペコする人達のことを指す新語なのかと思いきや実はそうでは有りません。今回はこの“低頭族”について紹介することにします。
恐怖の首なしじじいとその正体
台湾の青年が深夜の台北駅で「首なしじじい」を目撃したとのことで写真が載せられていました、確かに男性の後ろ姿で首から上が無いのです、良くあるトリック写真かと思いながらもよく読んでみると、老人がスマホをじっと見て頭を低くしていたため真後ろから見ると首が無いように見えたのだとのことで結論は「ただの低頭族じじいだった」と締めくくられていました。今やスマホが大好きで一日中暇があれば触っている人がいます、これは中国に限ったことでは無く日本でも同じことです、特に若い人に多くて“低頭族”別名で“うつむき族”とも言われているとのこと、うつむいたまま長時間スマホを使い続ける人達を皮肉った言い方なのです。
どうして低頭族が増えたのか
どうして低頭族が生まれそして増えたのでしょうか、以前はパソコンでしか出来なかったことが今はスマホやタブレットの普及によって外でも移動中にも出来るようになったことが揚げられます、そして生活リズムが早くなることで自分だけの時間が減りつつある為にその代わりに「移動時間」「待ち合わせ時間」「列に並ぶ時間」「一人ご飯の時間」などの断片的な時間を有効利用することが身に付いて低頭族の増加につながったと言われます。でもこれは逆に言えばまだ日々の生活にゆとりが有る証拠なのかも知れません、世界中の国々を眺めれば有るか無いかは別としてスマホなどを触る余裕すらない人々が沢山居ることを忘れてはなりません。
低頭族と抬頭族
ある方が東京と上海を行き来した内容のブログで「低頭族と抬頭族」という記事を書かれていました、東京では電車の中で本や雑誌を読んでいるひとが結構「いる」のに対して上海では「いない」ということ、そして上海の地下鉄では少し大げさかも知れないが7~8割の人がスマホを手にうつむいていたと書かれています。日本でも同様ですがスマホ片手の「ながら運転」も多く中国では公共バスの運転手ですら平気でやっているため警察が摘発することになったとの事、そして本題になりますが上海地下鉄の某駅で降りたら床から天井に達するほどの大きな広告がホームの太い柱を取り巻いており「抬頭族になろう」と書いてあったそうです、この“抬頭族”とは何でしょう、低頭族すなわち「うつむき族」に対する嫌味で「うわむき族」ということなのか、45度の線が画かれておりモデルの目線が上を向いているという、如何にも低頭族への警告のように思える広告なのですが良く見ると広告の下部には「頭を上げて前を向き、自分で自分の道を探そう」「ちょっと困難で悲しいこともあるけれど、成長してもっと強くなるために頭を45度上げよう」というコピーが添えられてあり、そして別な広告には男性が泣き叫んでいる姿があって「現実に何回も負けていても、絶対に頭を下げてはいけない、自分を放棄してはいけない」と書かれてあることから、いわゆる公共広告であることを理解したそうです。そして上海の地下鉄でほぼ満席状態であったが何人かが立ち上がって席を譲ってくれようとしたそうで、「その人達はみんな“抬頭族”でスマホは手にしていなかった、“低頭族”はうつむいたままで私のことには全く気が付いていないようだった」と締めくくっていました。“抬頭族”とは坂本九さんの「上を向いて歩こう♪」に通じる言葉なのでしょうか。
日本とは違う中国の発想
日本にも中国で言う低頭族は沢山います、そして“歩きスマホ”が原因で問題が発生していることは言うまでも有りません。注意力が緩慢になり窃盗被害に遭ったり、駅のホームから下落などといった事故も起きていますが、中国では最近歩きスマホが原因の事件・事故が頻発して社会問題化しています。重慶市にスマホを使いながら歩く人のための専用歩道が登場して話題を呼んでおり、歩行者がスマホに集中するあまり別の歩行者とぶつかったり、転んだりするリスクを軽減するのが目的だといいます。これがネットでも話題となり賛否両論ありますがそれにしても日本では有り得ない発想です。この“歩きスマホ専用歩道”は重慶市の観光スポット「洋人街景区」の一角で歩道の幅が3メートルで50メートルの距離だそうで観光スポットに限定した話のようでした、両脇には携帯電話使用禁止のマークが書かれた歩道と一般車両も走行する車道があるそうです。日本ならば“歩きスマホ専用歩道”など以ての外であり“歩きスマホ”に対しては法規制の発想しか浮かびません。
中国の新聞地方紙“揚子晩報”が低頭族に対して「眼病:目の疲労・ドライアイ」「手指の病気:腱鞘炎」そして「精神病:抑うつ症状、健忘症」に注意が必要と警告を発しているというが、決して“対岸の火事”ではありません“低頭族”については日本も全てにおいて同様であることを強調しておきたい。
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