双11(11月11日独身の日セール)迫る。予想は大幅増、低迷する個人消費の起爆剤となるか?
中国小売業界のメインイベント、双11が迫ってきた。経済減速のデータが続くなか、今年は例年以上に関心を集めている。ネットメディアの直前情報から、今年の双11を占ってみよう。
双11の影響力
消費関連の調査機関「星図数据」のデータによると、2018年の双11、全通販サイト合計の売上高は3143億元(約6兆円)、前年比23.8%増、そのうちアリババの売上は2135億元、26.9%増だった。アリババは全体の68%を占める。双11は2009年、そのアリババの仕掛けたセールで、第一回の売上げは5000万元だった。それが10年で4270倍に成長したのである。
これを“世界商業史の奇跡”と呼ぶ人もいる。アリババが株式時価総額世界トップ10入りする原動力となるとともに、中国人の社会生活をも激変させた。双11は、2013年以降に起こったモバイルイノベーションの実質的な支えだった。双11の実需に応えるために、クラウドコンピューティング、物流、決済、金融などさまざまな技術が猛烈に進化した。
国家統計局の発表によると、9月の小売総額は3兆4495億元、前年比7.8%増、1~9月までの累計では8.2%増と、個人消費は順調のように見える。しかし、2018年までは常に二けた伸長だったのである。ほとんどの数字は昨年より悪化した。国家統計局は、発表される度に、経済は平穏、とオウム返しのように繰り返している。明るいニュースを熱望しているのだ。
すでにネットメディアは、双11関連のニュースであふれている。以下、物流トピックを紹介しながら、今年の予想を立ててみよう。
物流体制の構築
昨年、天猫(アリババ)双11の成約額は2135億元、荷物の個数は10億4200万だった。セール開始8時間後には全国263都市で配達が始まっていた。11月13日14時までに1億個を配達したが、最終的には18日までまでかかった。
2位の京東は、90%の荷物を即日または翌日に配達した。3位の蘇寧は90%の地区で半日または24時間配送を成し遂げた。最大手のアリババには、まだ改善の余地がありそうだ。
9月下旬、中国快逓(宅配便)協会は、アリババの本拠地・杭州市で、双11快逓后動会議を開催した。中国郵政、中通、申通、園通、韵達、順豊、百世など11社の主要企業が、アリババ、菜鳥物流(アリババ系物流会社)とともに、2019双11への戦闘準備宣言を行った。
10月上旬、快逓大手の申通が、今年の双11物流モデルを披露した。5億元を投入し、貨物車1万台の増車を行った。
10月中旬、蘇寧物流快逓事業部は、「智慧場站」システムを公開した。ソフトとハードを有機結合し、高効率物流を目指すものである。
同じく10月中旬、京東物流は、智慧物流倉庫群「亜州1号」がスキルアップした、と発表した。成都と武漢にも新規投入、1日当たり処理能力は100万件に達する。
予想とまとめ
アリババ天猫市場部の幹部によれば、今年の双11セールへの参加者(購入者)は史上最高となる。3~4線級の地方大中都市での、天猫、淘宝(C2Cプラットフォーム)ユーザーが大幅に増加しているからだ。ネット通販と物流業、ともに勝利する双11になる、と鼻息は荒い。
双11への関心は、半端なものではない。国家統計局までが予測データを出しているのである。それによれば2018年の双11の荷物総量は13億4000万個であった。それが今年は何と22億5000万個になると予想している。
昨年は13億4000万個で売上3143億元、平均単価は234.6元だった。この平均単価が変わらないと仮定して、今年の予想個数22億5000万を掛けると、5278億5000万元、68%増となる。昨年の伸び率23.8%の2.8倍である。アリババの構成比68%も昨年と変わらないとすれば、同社の予想売上げは3589億元となる。しかし、本当にこんなことが起こるのだろうか。
もし実現すれば、消費低迷からの突破口として十分なインパクトを与えそうだ。