買う予定のないえんどう豆のお菓子を2キロも買ってしまった?!〜拼多多のユーザー心理レポート〜
今日は起業家の門奈さんのnoteから「【拼多多のユーザー心理レポート】買う予定のないえんどう豆のお菓子を2キロも買ってしまった件について」を紹介します。
「ソーシャルコマース」や「ソーシャルEC」というと、日本ではここ最近やっと本格的に広がりを見せていますが、中国ではすでに「当たり前」の存在です。
さて、このソーシャルコマースのアプリとしては後発組の「拼多多(Pinduoduo)」ですが、ここ最近、ものすごい速さでその勢力を伸ばしています。
「ソーシャルコマース」や「ソーシャルEC」の概要については、日本でも割とよく紹介されているのですが、筆者は実際にこのサービスを使ってみての感想を書いています。こうした、中国のソーシャルコマースアプリのユーザーレポート的なものはちょっと珍しいので、今日ここで皆さんにご紹介しようと思います。
目次
ソーシャルコマースとは、SNS×Eコマース
すでにご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、より多くの方に筆者のレポート内容をご理解いただくためにも、まずはここで、筆者の説明に沿って基本情報を簡単におさらいしておきたいと思います。
まず、ソーシャルコマースとはなにか?筆者は、「SNSを通じて物を売り買いする」ことだと言っています。日本でよく知られているものとしては、インスタグラムがECサイトと紐づいていてそのまま購入ができますが、あれもソーシャルコマースの1つです。
ソーシャルコマースブームの裏には情報過多のしんどさがある
(情報過多>量から質へ>SNS>ソーシャルコマースへ)
ITの発展で、簡単に大量の情報にアクセスできるようになった現在では、情報に対して人々が求めるものは、すでに「量から質へ」と重心が変わってきています。
そこで注目されたのが、SNSです。
元々は単なるコミュニケーションメディアであったSNSですが、ここは、基本的には信頼できる人たち同士の情報交換の場です。このSNSを「購買」とリンクさせたビジネスモデル が「ソーシャルコマース」です。
つまり、このビジネスモデルの基本にあるのは「信頼できる人からの情報は信頼できる」という、今も昔も変わらない、人間の心理です。
コロナウイルスの影響による、EC市場のさらなる加速
すでにグローバルトレンドとして発展していたeコマースやソーシャルコマースですが、コロナウイルスの影響により、さらにその勢いに弾みがつきました。
MMD研究所の統計によると、2020年5月時点の調査で、30%以上の人が「eコマースの利用頻度が増えた」と回答、また半数以上が「今後もeコマースを継続して利用していく」と回答しているそうです。
いわゆる「withコロナ」という新しい生活様式に加え、キャッシュレス決済やリモートワークなど他の要因もあり、eコマース市場、中でも最先端の成長トレンドに乗っている「ソーシャルコマース」の発展は今後も続くと、各方面で予測されています。
拼多多(Pinduoduo)のユーザー心理レポート
さて、お待たせしました。続いて、筆者の「ユーザーレポート」をお届けします。
ユーザー体験には、自分が購入して友人にシェアする場合と、友人にシェアされて購入する場合の2パターンがありますが、まずは前者からです。
1)自分が購入して友人にシェアする場合
① 購入開始
・友達と買うと、単独購入より安くなることがわかった。
・お菓子だったら会社の同僚たちに聞いてみようと思い、操作開始。
・不要不急の買い物なので、購入を招待した友達からの返事待ちや、配送期日といったことには構わないという状況。
② 味とサイズの選択
・お試し用の5袋から大容量の200袋(2.5kg)まであり、当然ながら多いほど安い。
・第一印象は「味とサイズが選べて便利」というもの。
・大ロットになるほど安いので、オトクに大ロットを買いたくなる気持ちになった。
③ 購入後はシェアに誘導
・自分の購入が終わって、あと1人だけ招待が必要!と表示される。
・あと1人と言われると、あまり難しくは感じない気持ち。
④ シェア完了画面
・シェアを完了してアプリに戻ると、「別のWeChat Groupでシェアするとグループ成功率が高くなります」という文言とともに再度シェアを求められた。
⑤ その場で一緒に購入する時はQRコードも可能
⑥ Voice送受信の機能もあり
⑦ シェア文言が表示される
2)友人が購入し、グループに誘われるとき
次は、パターンその2、「友人が購入し、グループに誘われるとき」です。
① 友人のGroup Buyに参加する
・友人が自分を選んで誘ってくれているのだからと思い、一旦画面を開いてみる。
・値段も高くなく、どうせいつか買うなら今お得に買おうと思い、味やロットの詳細を確認。
② 友達と違う味やロットも選択可能
・この自由度の高さは少し意外だった。
・WeChatPayで決済は一瞬だし、友達の誘いを断るほどのことでもないから、試してみよう。
③ Group Buy成立
・成立画面を見るとやはりちょっと嬉しい。
・数日後、購入グループの友人と購入したお菓子について感想をチャット。
番外編として、「同じ店舗で複数の商品購入を促すUX」というものもあり、解説によると、割引クーポンなどの設定もあるようです。
以上、ユーザーレポートでした。
ここで注目した筆者の感想ですが、「チャットで始まり、物を買い、食べた感想をチャットで話す。終始SNSの中にいる」というものです。
つまり、これが「ソーシャルコマース」時代の消費者なのです。
拼多多(Pinduoduo)が多くの人を虜にするのは「自由な遊び場」だから
筆者はこのアプリの魅力を次のようにまとめています。
その魅力は、多様で多彩なショッピング体験にある、と言います。安いから使うという人もいれば、友達に「いいものに出会った感動」をシェアすることが楽しい人もいる、あるいは、クーポンを集めたり、シェアして割引率を向上、といったことにゲーム性を感じて楽しむ人もいるでしょう。
消費者の多種多様なニーズを満足させてくれる、自由度の高いプラットフォームであること。これが、このアプリの人気の要因ではないか、と筆者は言います。
共同購入は決して新しい価値観ではない
最後に筆者は、このアプリのモデル概念である「共同購入」について考察しています。
商品リンクを友達にシェアして「共同購入」する、という面だけを見ると、全く馴染みのないものに思えるかもしれません。
ただ、前編で少し触れたように、元々私たちは「信頼できる人の勧めで物を買う」ことに非常に慣れている。それに加え、情報社会の進展でその傾向はますます強くなっています。
私たちが今までも普通にやっていた、「これいいからぜひ使ってみて!」「一緒に買おうよ!」という気持ちの共有を、多くの人がシームレスに満喫できるプラットフォームを用意しただけ、それがこの拼多多(Pinduoduo)の本質なのだと締め括っています。