618セール速報、アリババのGMV(成約総額)10兆円、京東は4兆円、ライブコマースは1夜で1550億円!
618セールが閉幕した。このセールの源流は、ネット通販2位・京東の創業記念祭だった。双11(11月11日独身のセール)の影にかくれていたが、上半期にさしたるビッグイベントがなかったため、アリババをはじめ他社も便乗するようになり、ここ数年で、上半期最大のセールに成長した。今年で17回目となり、昨年で11回の双11よりも古い。しかし活性化したのは2010年からで、やはり第1回の双11(2009年)に触発されたのは間違いない。今年の618を総括してみよう。
直前の情勢
今年は、新型肺炎下の「宅経済」の反動、“リベンジ消費”が期待された。2019年のネット通販売上は、10兆元(151兆円)前年比16.5%増だった。それが2020年第一四半期は、たった0.8%とはいえ、落ち込んだ。小売総額(1~5月)全体は13.5%も落ちた。消費回復の起爆剤として期待は大きかった。事前予測によれば、7億人がセールに参加すると見込まれた。
もう1つの注目はライブコマース(直播電商、直播帯貨)である。2016年以降、急速に発展し、今年に入り、小売業界の話題を独占している。ネット版テレビショッピングだが、日本とはネット動画の視聴頻度が全く違う。そしてインフルエンサー(KOL)の影響力は、日本のYoutuberの比ではない。今やネット界全体の焦点と化した。
結果は上々
結果を見てみよう。
●アリババは、天猫618セール(5月25日~6月18日)のGMV(成約総額)を6,982億元(10兆5,300億円)新記録を達成と発表した。これは昨年の4倍、全ネット通販トータルの2倍に相当する。
●京東の618全球年中購物節(6月1日~6月18日)のGMVは、2,692億元(4兆600億円)、前年同期比33.6%増だった。75インチ以上の大型テレビ300%増、7,000元(10万6000円)以上の冷蔵庫300%増、2,000元(3万200円)以上の美容家電500%増と、ハイエンド家電商品が好調だった。この発表により上場したばかりの香港市場での株価は3.54%上昇した。
●拼多多の5月25日~6月18日12時までののGMVは、前年同期比119%増だった。
●蘇寧易購(家電量販店出自、オンライン、オフライン共に強い)の6月18日当日の全チャンネル売上は、前年比129%増だった。iPhoneを40万台成約した。
●国美(家電量販店大手、京東、拼多多と提携)の6月18日当日のGMVは、前年比73.8%増だった。65インチ大型テレビ186%増、有機ELテレビ285%増だった。
1夜で1,550億円!
ライブコマースでは、家電メーカー格力(Glee)董事長、著名な女性実業家・董明珠の活躍が目立った。4月末、初登場時のGMVは23万2,500元(350万円)に過ぎなかった。音声が聞こえない、かぶる等の技術トラブル多く、中途退出者が続出した。しかし5月10日のライブでは、3億1,000万元(47億円)を成約した。これは自社通販「格力董明珠店」の2019年間売上、3億5,000万元に近い。さらに続けて5月15日、京東との提携10周年記念ライブに登場し、7億300万元(110億円)を成約した。
そして618セール本番、6月1日のライブは、65億4,000万元(1,000億円)を成約、6月18日の最終ライブでは、4時間で102億7000万元(1,550億円)を記録した。
倍々ゲームどころの話ではない。この董明珠の大ブレークこそ、中国ライブコマースの勢いを最も端的に表している。
まとめ
各社いいとこどりのデータを発表しているため、正確に前年実績と対比でき、信頼に値するのは、618の創始者、京東の33.6%増だろう。ともかく盛況に終わったことは間違いない。
董明珠は、ライブコマース出演は、オフラインとオンラインライブの融合、新しい“新零售(ニューリテール)”モデルの探索が真の目的という。彼女の目に、今回の1550億円は、どんな将来の形を示したのだろうか。