【WeChatとAppleが離婚?!】Appleの損失は○兆円
アメリカは本当にテンセントのユーザー数12億を誇る国民的SNSであるWeChatを禁止するつもりでしょうか。アップルストアからWeChatがなくなる?中国のニュースメディアで最も盛り上がっているテーマの一つです。
アップルとWeChatが離婚。あなたはスティ-ブ・ジョブスを選びますか?それともテンセント創業者のポニーマーを選びますか? 米国企業の年間損失は1兆5200億円!WeChat禁止令の最大の犠牲者は米国企業だ!などの見出しが、毎日飛び交っています。
某メディアは、勝者のない共倒れゲーム、と表現しました。中国人のアップル専門アナリストは、WeChatの禁止により、iPhoneの年間出荷は、30%減少するかも知れない、と分析しています。
アップルは、全世界のiPhoneと関連売上1423億ドル(2019年)のうち400億ドルを失う、というのです。
これには根拠があります。ネットメディア大手の「新浪」が130万人規模の調査を行いました。するとiPhoneから他社スマホに乗り換える122.万8000人、WeChatのないiPhoneを使い続ける、が7.7万人でした。94%の得票率でWeChatの圧勝です。
また損害を受けるアメリカ企業はアップルだけにとどまりません。WeChatには、非常に多くのアメリカ企業が広告を出稿し、それは世界の華僑ネットワークにも連動しています。この広告効果がなくなる影響は大きい、と強調しているのです。それらの総計を1兆5400億円と見積もっています。
私には「奇跡が起きないかぎり、数十日後には、アップルとWeChatの“婚姻”は終了するだろう」という表現が印象的でした。奇跡が起きてほしい、という本音が透けて見えています。
ここで2017年8月のテンセントAIの“反乱”を思い出します。AIは、「中国の夢とは?」というユーザーの質問に「米国移住」と答えました。テンセントはあわててサービスを停止しましたが、AIがジョークをいうはずがありません。ネット上の言論から推論したはずです。この状況は2年後の今も変わっていないでしょう。
最近の記事は、損得勘定からアメリカを説得したいトーンのものばかりです。「アップルよWeChatの排除だけはやめてくれ。」中国人の本音を見誤らないようにしたいものです。
実際、WeChatが遮断された場合、広告効果だけでなく、ビジネスの現場に大きな影響が及ぶでしょう。日本人商社マンに聞くと、商談は元より、工場の操業状態チェックや、品質問題の打ち合わせなど、ほとんどWeChatの写真や動画を確認しながら行っています。
また76万4720人(2020年6月)の日本在留中国人にも大きな影響が及ぶでしょう。彼らの話を聞くと、個人的なスモールビジネスを行っている人が非常に多く、WeChatはもっとも大切な連絡手段、WeChatPayはもっとも手軽な送金手段となっているようです。
さらにWeChatは、故郷の家族や、中国全土の友人たちと、文字、音声、画像で密接につながっています。外国暮らしの彼らにとって、心の拠りどころのようです。WeChatの遮断は、彼らにとっても想像したくない未来でしょうね。
この状況で、TikTok、WeChatなどの中国アプリのクローンをいち早く日本で開発するのはどうでしょうか。とにかく11月のアメリカ大統領選までは何が起こるかわかりません。チャンスととらえて、アクションを起こしましょう。