発展する中国の工業B2B取引サイト④ 石炭業界のB2Bプラットフォーム「煤炭網」と「找煤網」
今回は、石炭業界を取り上げる。中国の石炭埋蔵量は1388億1900万トンで世界4位、生産量は35億2000万トンで世界一である。各地の炭鉱は健在だ。輸入は2億7000万トン、消費は38億トン(2017年)消費量は2013年にピーク(42億4000万トン)を打ったが、それほど減少しているわけではない。2017年は微増している。
そして最終エネルギー消費に占める石炭の割合は、今でも60%を占めている。また石炭火力は、全発電量の70%を占め、今でも最重要のエネルギー資源だ。この古い産業分野にも新しいB2Bプラットフォームが登場している。その中から「煤炭網」「找煤網」の2つを取り上げてみよう。
業界トップ「煤炭網」
「煤炭網」は2003年、中煤遠大(北京)電子商務股份公司の開設した石炭業界のB2B取引プラットフォームである。
石炭企業の運営、仕入、販売、物流、資金、顧客、あらゆる悩みにソリューションを提供する。その過程において煤炭網は、石炭企業のバーチャル従業員として、石炭企業の業務補助を行うという。
煤炭網はページビュー、内容の総合性、ともに業界最高のB2Bプラットフォームとされている。実際、現物取り引きの掲載量は非常に多く、現物処分なら煤炭網、と思われているようだ。このあたりがトップの証明だろう。
トップページには、「石炭産業プラットフォーム経済、スマート石炭産業の建設」と表示されている。その後、取引、共同購入、貿易物流、金融ページへと続く。
戦略研究所を持ち、業界分析と情報提供も充実している。そしてトップ企業らしく、石炭産業の健康的発展、効率化、環境保全に貢献していきたいと語っている。
新興勢力「找煤網」
找煤網は2015年、浙江省・寧波で“成立”した全石炭産業を垂直統合したB2B取引プラットフォームである。その出自は少し変わっている。浙江省・江蘇省の石炭業者と最終需要家たちの寄付により、500万元を集めてスタートしたのである。その後、寧波の創業者と機関投資家からシリーズプレA融資3000万ドルを集め、正式にアップロードした。
後発らしく、オンラインとオフラインの新しい融合モデルを目指す、としている。トップページには、「石炭探しは超簡単!」とあり、あとはいきなり参考価格が出てくる。続いて、商品探し、代理購入を行うとあり、実用に徹したサイト構成である。
記載内容は素人目にも分かりやすい。山西省産石炭、1万トンがトン当たり450元で売り、找煤網の代理販売で、価格有効期間は1ヶ月。などと表示されている。物流、金融サービスを付けているのは、他のB2B取引プラットフォームと同じである。どのページも使いやすく、先行サイトを徹底研究しているのは、間違いない。
まとめ
中国では、一般の日用品や衣料品の工場でも石炭ボイラーを使うことが多い。石炭価格が上昇すると、安物に切り替える。すると熱効率が悪くなりかえって高くつく。いずれにしても、製品価格に影響してしまうという。また長江より北の地区では、11月から4月にかけて「暖気」というスチームの供給がある。この時期は、熱供給公社の熱工場が、石炭をもくもく吐き出している。中国の石炭経済を象徴する光景だ。
最重要用途である発電では、原子力(2019年3月現在45基)と再生可能エネルギーへのシフトが進んでいる。経済の減速もあり、石炭需要は、緩やかな下降が続きそうだ。したがってB2Bプラットフォームによる業務効率化は、業界の生き残り戦略そのものとなるではないか。