発展する中国の工業B2B取引サイト⑧医療機械と医薬品取引は、急速な進化が進む。
IT情報、データを提供する調査機関「IT桔子」によれば、2020年、国内の医療機器市場は7000億元になるという。さらに今後10年、年平均成長率は15%が見込まれている。目の前にブルーオーシャンが開けているのだ
かつての中国は公立病院でも、購買担当者の裁量範囲が大きく、他者にとってはブラックボックス、というケースが多かった。某総合病院では、闇マージンを取る裏のボスを追放し、10~15%コストが下がった、などのニュースも出ていた。使いみちのない怪しげな薬を買っていたそうである。この業界もB2Bネット通販が成長している。公正、透明な購買活動に貢献しているはずだ。代表的なプラットフォームを選び、分析してみよう。
VEDENG貝登
VEDENG貝登は、2012年設立の南京貝登医療有限公司が運営する、医療機械B2Bネット通販プラットフォームである。生物化工品の研究開発や、医療機械、労働安全用品、実験室用機器、冷凍設備、消毒設備及び消毒剤などの販売や、医療情報提供、コンサルティングを行う。
公式サイトを見ると、オーソドックスなネット通販そのものである。商品カテゴリーは、臨床検査、電子検査機器、実験機器、医療用光学機器、医学映像、手術救急用品、消毒滅菌、医療用消耗材、リハビリ用器材に分かれている。
シーン別では、検査科、急診科、麻酔科、手術室、4つをイメージし、ソリューションの提供を掲げている。
ブランド別では、外資系はフィリップス、オリンパス、エッペンドルフ、パナソニック、3M、オムロン、ハイアールなど中国系も多い。商品力においても着々と力をつけているようだ。
新龍医購網
新龍医購網は、2005年設立の武漢新龍医療器械有限公司が運営する、医療機械B2Bネット通販プラットフォームである。
公式サイトには“新龍品牌(ブランド)庫”、200メーカーの1万商品を扱うとある。商品カテゴリーは、薬局/機器販売店設備、医院手術器械、医療用縫合針、医療用注射、穿刺器械、医療用手袋、衛生材料、医療用設備と器具、に分かれ、非常に細かい。
シーン別では、薬局、病室の2つのシチュエーションをイメージしている。外資系ブランドは、ジョンソン&ジョンソン、オムロン、3M、他は国内メーカーとなっている。トップページには、注射器、輸液チューブ、手袋、マスクなどの小物が掲載されている。最も得意なゾーンなのだろう。
益薬購
益薬購は、2015年設立の上海医薬大健康雲商有限公司の運営する、医薬品B2Bネット通販プラットフォームである。自らをオンライン上の医薬品卸売業と位置付けてている。
公式サイトには、優質服務、質量(品質)保証、安全敏捷と記され、随時配送、敏捷決済、専門的サービス、豊富な商品と続いている。
商品カテゴリーは、神経、心血管、血液系統薬、呼吸、消化、泌尿系統薬、解熱鎮痛薬、皮膚薬、産婦人科薬、免疫調節薬、抗腫瘍薬、内分泌、抗アレルギー薬、消毒薬、などとなっている。最後に今月の推奨商品を紹介している。
なおネット通販2位、京東の出資を受け、提携関係にある。
まとめ
B2Bプラットフォームにおいては、そのモデル自体の価値が極めて重要だ。顧客の満足度、リピート率、ロイヤリティ、紹介、シェアだけでなく、従業員の満足度、ロイヤリティ、生産力、投入度、能力も、成功に直結している。サービスを極めることで差別化し、アドバンテージを得るしかない。
医療機器、医薬品とも、B2Bプラットフォームの進化は進んでいた。アドバンテージのアピールに成功すれば、ブルーオーシャン開拓の有力な武器となるだろう。当面、追い風の途切れることはなさそうである。