2020年のインバウンド、新型肺炎で大きなつまずき、中国人訪日客1000万人は達成困難?
中国は新型肺炎の防疫を理由に、1月27日以降の海外旅行を中止した。2019年、中国人訪日客は959万4300人(14.5%増)となり、今年の1000万人突破は楽勝と見られていたがいきなり出足をくじかれた。それはともかく、1月の訪日外国人数と、百貨店免税売上データがそろった。春節休暇がずれ(2019年は2月4~10日、2020年は1月24~30日)正確な比較は難しい。他の報道を援用し、少しでも先行きを見通してみよう。
2020年1月の訪日客数
2020年1月の訪日外国人数(JNTO=日本政府観光局推計値)速報によると、全体では266万1000人、前年同月比1.1%減だった。12月の4.0%減から改善した。韓国人の減少は59.4.%減で、前月63.6%減とほぼ変わらない。中国人は92万4800人、22.6%増加した。その他、トップ20の国と地域は、韓国とドイツを除き増加、フランス、オーストラリア、以外は2ケタ増である。10万人以上の国と地域は以下の通り。
中 国 92万4800人 22.6%増
台 湾 46万1200人 19.0%増
韓 国 31万6800人 59.4%減
香 港 21万9400人 42.2%増
米 国 11万7300人 13.9%増
タ イ 11万2500人 21.4%増
昨年1月の中国人訪日客は、75万4421人(19.3%増)2月は72万3617人(1.0%増)、1~2月トータルでは147万8038人(9.5%増)だった。春節直前の1月が激増し、本番の2月は微増にとどまった。航空券の高騰する春節期を避ける傾向は、昨年から顕著に表れていた。実際昨年の2月は、3月、12月に次いで3番目に少ない。
147万8038人-92万4800人、つまり2月に55万3238人(前年比76.5%)の訪日客があれば1~2月トータルでは前年並みである。しかし、2月中旬の段階で、関西空港の中国便は8割減便、中部空港は6割減便と報道されている。すると2月の中国人訪日客は20~30万人くらいだろうか。これが3月まで続けば、さすがに1000万人達成は難しくなる。
百貨店免税売上
一方、インバウンド推進百貨店(91店舗)の免税売上は、20.9%増だった。12月は0.8%減、11月の5.3%減、10月の13.8%減から、大きく浮上した。
一般物品 199億8000万円 31.8%増(12月は5.6%増)
化粧品、食品等 177億1000万円 6.0%増(12月は8.7%減)
合 計 316億9000万円 20.9%増 客単価7万円 11.2%増
(人気商品)
1 化粧品、2 ハイエンドブランド、3 食品、4 婦人服飾雑貨、5 婦人服、の順でこれは昨年12月と変わらない。
訪日客数同様、百貨店免税売上も1~2月トータルで考察したい。2019年は、1月262億7000万円(7.7%減)、2月319億2000万円(14.8%増)トータル581億9000万円(3.7%増)だった。訪日客数と違い2月の比重が高い
581億9000万円-316億9000万円つまり2月に265億円(前年比83%)売ると、2ヶ月トータルで前年並みとなる。
これはハードルが高い。すでに1月24~30日(前年2月4~10日と対比)の売上は1~2割ダウンの報道が出ている。
まとめ
さらに続報によれば、百貨店の2月1~17日までの免税売上は、70%減になっているようだ。このまま行けば2月の売上見通しは95.8億元、1~2月トータルは412.7億円、前年比70%ほどになりそうである。これを取り返すのはもはや難しい。
新型肺炎により、資生堂の中国店舗は休業しているという。ますます、中国人のネット依存、実体店舗離れは進むだろう。動画やVRを駆使した中国のネット通販は、別次元へ進みつつある。 日本企業も、こうした販売の潮流に、しっかりついていきたい。