中国向けホームページ制作法④ -前例から学ぶ‼中国政府に排除されないためには –
Facebook、ニューヨーク・タイムズを締め出し
二の舞にならない方法とは!?
中国でホームページを制作する際に無視できないが、中国政府対策でしょう。Facebookは世界で18億人が利用しているといわれていますが、中国では2009年からアクセスが制限されていますし、昨年12月には米アップルが中国で提供しているスマートフォン(スマホ)向けなどのアプリ配信サイトからニューヨーク・タイムズのニュースアプリが入手できなくなり、話題になりました。アップルは中国当局の要請を受け、サイトから削除したのだそうです。このように中国では、中国政府の目に叶わなければインターネット上から排除されるという中国ならではの特殊な事情が存在します。中国のインターネット業界で成功しているアリババグループや検索サイト最大手の百度(Baidu )も中国政府の干渉を強く受けているといわれており、いわば中国政府の“お気に入り”だからこそ、中国の検索市場とEC(インターネット商取引)市場でそれぞれシェア8割以上を得ているといっても過言ではないと思います。
記者証発行認めず、サイバー攻撃も
ニューヨーク・タイムズ
中国でニューヨーク・タイムズのアプリが削除の要請を受けたことについて、アップルはアプリに法令違反があったためとコメントしているそうです。中国では昨年、携帯アプリを対象に国家の安全を脅かしたり社会の秩序を乱したりするのを禁じる条例が発効しており、禁じられた情報を掲載することもできないといいます。ニューヨーク・タイムズは2012年10月に温家宝前首相一族の巨額蓄財疑惑を報道してから、中国でウェブサイトが閲覧できない状態が続いています。また、報道直後から中国当局はニューヨーク・タイムズの中国駐在記者に対しては記者証の発行を認めず、2013年1月のニューヨーク・タイムズへのサイバー攻撃では人民解放軍の関与が疑われています。ニューヨーク・タイムズは2015年から中国語版のアプリの配信を始め、中国での読者層の開拓を急いでいましたが、そんな矢先、中国当局の横槍が入りました。
アリババや百度をはじめ、中国版Twitterといわれる微博(Weibo )や中国版LINEといわれる微信(WeChat )の急成長には中国政府が大きく関わっているといわれており、中国のインターネット業界での中国政府の影響力は無視できません。中国政府の動きをよく観察し、発信する情報に注意を払っておかなければニューヨーク・タイムズのように2度と中国のインターネット市場に参入できなくなってしまうかも知れません。
検閲ソフト開発で再参入目指す Facebook
1度は排除されたFacebookは中国政府への歩み寄りを強め中国への再参入を目論んでいるようです。そのためには「検閲ソフト」開発でFacebook上で盛り上がっている話題を検出し、運用者の判断で特定地域の利用者の「ニュースフィード」に表示しないようにするそうです。Facebookは自ら「検閲」に関与せず「第三者」にソフトを提供することを想定しているといいます。 マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は自ら中国語を学ぶだけでなく、中国を度々訪れ共産党幹部に会うなど急接近しているようです。ただ、Facebookが中国で再開されるためには、検閲のほか、利用者の個人情報を管理するサーバーへのアクセスなども中国当局から求められると見られていて、ザッカーバーグ氏の“妥協点”か注目されます。
世界のFacebookでさえ、“検閲”や中国国内のIT企業の保護などの理由から中国のインターネット市場への参入を許されていません。中国向けホームページ制作の際には新たな中国政府の動きを機敏に察知するとともに、中国の政治的背景や諸事情にも目を向け、ホームページ制作にも取り入れることが中国ネット市場で成功する足掛かりになるのではないでしょうか。