中国の検索エンジンでの広告 まとめ
中国は、グーグルが優勢な検索エンジンではない三大市場の一つである。中国以外にはロシアと韓国で、ロシアではYandexが市場を牽引し、韓国ではNaverが最も普及している。中国で現在最もよく使われている検索エンジンは百度で、市場シェアは75%から85%の間とされる。
また、百度はモバイル機器でも検索に最もよく使われており、その重要性は増している。2016年6月単月における百度の月間アクティブユーザー(MAU)は、6.67億人と報告されている。
百度は中国の検索エンジン市場のリーダーである
2010年以降、中国では検索エンジン市場が堅実に成長を続け、毎年5,000万から7,000万人の新規ユーザーが増えている。今年は、定期ユーザーが6億人に達すると見込まれており、その3/4が百度ユーザーである。
多くの点で百度はグーグルのビジネス戦略をコピーとは言わないまでも追従しており、グーグル同様、ナビゲーションや自動運転車、AI(人工知能)、VR(仮想現実)などの領域へとビジネスを多様化させてきた。
最近では、不正医療広告問題やギャンブルサイトの不法プロモーションなどの試練に直面したものの、近い将来、百度が中国の検索エンジンの首位から脱落することは想像できない。
特筆すべきその他の中国の検索エンジンには、Qihoo(通称Search360)とSogouがある。Qihooはここ数年で特に勢いよく成長しており、中国の検索エンジン市場における百度の優勢を脅かす唯一のポジションにあったこともある。
広告に関しては、百度は常に第一の選択肢とされる。なぜなら、リーチが最大であるからである。平均的に百度のCPC(コストパークリック)は、全業種において、グーグルよりも高い。百度は利益減を経験しており、徐々に価格を上げることが予想されるため、その傾向は増すだろう。
百度に集中するもう一つの理由は、その技術が最も進化しているという点にある。検索用語とより高い関連性を持たせることができるので、究極的には広告CTR(クリックスルー率)に影響を及ぼす。
百度はビデオ市場にも積極的に参入し、現在はオンライン最大のビデオホスティングプラットフォーム”iQiYi”を所有する。ビデオがオンラインで消費されるコンテンツとしては最も一般的なものになるにつれ、百度はビデオ市場でも優位性を確立している。
また、百度はグーグル同様リマーケティングが得意で、中国の60万件以上のパートナーウェブサイトがそのディスプレイネットワークに参加している。検索広告とディスプレイ広告の両方の管理が同一の百度の広告アカウントでできるので、ユーザーは2つのチャネルで予算を分割するだけで済む。
百度PPCで最大の試練は、広告アカウントの開設である。中国で事業者登録証がないと、百度アカウントの申請には多くの書類仕事と長い承認プロセスを要することになる。百度は、外国人事業ライセンスの翻訳版の提出を求めることが一般的で、さらに法人証明が要求される場合もある。金融、医療分野の企業に対する審査は最も厳しく、追加ライセンスなどの要求が出されることもよくある。
ウェブサイト(中国語である必要がある)の認可では、特定の部分を変更(自社紹介の部分が多い)するよう要求されることも多い。これらは全て、広告主が事業の本質を誤って伝えることがなく、いかなる不法なものの販促にも関わることがないよう確証を得るために行われるものである。
このプロセスは、Gメールとクレジットカードさえあれば誰でもアカウントを開設し、すぐにキャンペーンが行えるグーグルとは正反対である。
QihooやSogouなどのその他の中国の検索エンジンでも状況はほぼ同じで、両社とも外国人申請者には事業者登録証とライセンスの提出を要求し、同等の認証プロセスを敷いている。一度認可されると、検索エンジンでのPPCキャンペーンの実施方法は百度とほぼ同じである。競合があまりないニッチ市場における事業は、QihooやSogouでのCPC広告が百度に比べると安価で済む。よって、百度の代わり、ではなく、百度と並行させてこれらの検索エンジンを試してみることをお勧めする。