中国自動車市場、15ヶ月連続前年割れの歴史的低迷続く。しかし日系3強は絶好調?
中国には、「金九銀十」という表現がある。9月と10月は金銀に値する収穫期、現代ではモノがよく売れる季節の比喩である。しかし、金九の自動車市場は、上向かなかった。全体の売上げ台数は227万台、前年同期比5.2%減、そのうち乗用車の売上げは193万1000台、前年非6.3%減だった。全体売上げは、これで15ヶ月連続の減少である。ところが、なぜか日系上位3社(ホンダ、トヨタ、日産)は好調であるる。すでに分析は各所から発表されているが、中国ネットメディアの最新データをもう一度チェックしていこう。
悲惨な2019年のデータ
車種別に2019年1~9月までの累計数値が出ている。それによれば
セダン 737万3000台 12.8%減
MPV 95万9000台 16.5%減
SUV 645万3000台 0.3%減
混合型 29万台 10.0%減
商用車 32万2000台 14.2%減
貨物車 275万2000台 6.8%増
中国汽車工業協会が数字を発表するようになって28年で初めての下降局面は、厳しい数字がならんでいる。しかし、SUVは前年並み、貨物車はプラスとなっている。
国内メーカートップ5(1~9月)の数字は、以下のようになっている。
上海汽車…174万4000台、18.7%減
吉利汽車…96万台、 16.7%減
長安汽車…94万4000台 17.0%減
東風汽車…81万台 9.6%減
長城汽車…72万4000台 7.0%増
上位3社はかなり悲惨である。さらに国を挙げて注力してきた新エネルギー車も、7月以降前年割れである。9月は8万台、34.2%の大幅減だった。
国別シェア
次は国別のシェアである。(2018年9月/2019年9月)
中国系 42.0%→38.7%
ドイツ系 21.7%→24.0%
日本系 18.5%→21.7%
米国系 10.7%→9.4%
韓国系 4.7%→4.5%
フランス系 1.5%→0.7%
シェアを上げたのは、ドイツ系と日系だけだった。
日系3強の成績と短評
次は9月度の日系3強の成績と短評である。
ホンダ…13万8056台、前年比4%増。
*短評、1~9月累計は112万3570台、前年比16.4%と絶好調。年初の目標通り、年間150万台達成が視野に入ってきた。
トヨタ…14万台 前年比18%(レクサス含む)
*短評、まだ確定数値は出ていないが、中国における月間販売の最高記録を更新した。カローラ3万2400台、7%増、レクサス1万6000台、35%増と主力車種が好調だった。1~9月累計は、108万1500台、前年比12.6%増。ホンダを猛追している。
日産…13万4713台 前年比4.6%減
*短評、1~9月累計109万983台、前年比0.4%の微減だが、100万台には乗せ、3強の争いには踏みとどまっている。
まとめ
またドイツ系高級ブランドも好調である。ベンツは1~9月累計52万5900台と史上最高を記録した。BMWは1~8月の累計45万9629台で5.3%増、9月単月は13.2%伸びた模様。アウディは1~9月までの累計で2.4%増だった。
日系3強と、ドイツ系高級ブランドに不況風は吹いていない。中国でのブランド力に欠ける国内系や韓国、フランス系は非常に厳しい。欲しい車がある人だけが買っている状況に間違いなさそうである。
また2019年の中古車市場は1~8月の累計で13.2%伸びている。これから、新車市場がピークだった2016~17年モノの車が出回る。これも新車市場低迷の原因だ。そして最もリセールバリューの高いのは、やはり日本車とドイツ系高級車である。日独の強さが際立っているのである。