拼多多、5年でユーザー5.9億人の大爆発、今年のターゲットはついにアリババ?新戦略を連発
中国の急成長企業といえば、まずバイトダンスと拼多多で決まりだろう。バイトダンスは、短視頻アプリ・抖音(海外名TikTok)がダウンロード数世界一を争うなど、派手な話題を提供している。一方の拼多多も、ニュースには事欠かない。最近のトピックから、今後を占ってみよう。
予想外の急成長
中国ネット通販の雄、アリババ、京東とも、拼多多がこれほど急速に台頭するとは、夢にも思わなかっただろう。
拼多多の初版は2015年9月リリース。家人、友人、ご近所などでグループを組み、低価格での商品購入を目指すC2B型のネット通販としてスタートした。
2016年2月、月間GMV(契約総額)1000万元(1.52億円)ユーザー数2000万突破。
2016年7月、ユーザー数1億突破、1億1000万ドル調達。テンセント出資。
2017年、ミニプログラム参加、年間GMV1412億元に。
2018年7月、米国ナスダックへ上場。
2019年、年間GMV、1兆66億元(15.25兆円)、営業収入301.4億元、ユーザー数5億8520万。
眼もくらむスピードだ。2019年末の従業員は5,828名、出店者は510万。サービス利用料や年会費はゼロ、5%前後の取引手数料のみ。また送料込みも維持し、経費は最小に抑えている。
拼多多は、業界の刷新を図り、さまざまな施策を取り入れた。100億元(1,500億円)クーポン発行は有名だ。今年中にもう一度導入する。他にも注目すべき動きがある。
“国美”に出資
拼多多は4月中旬、国美零售の発行する転換社債2億ドルを購入した。3年後には国美の新株に転換、5.62%の株主となる。双方は全面提携し、国美は拼多多の通販プラットフォームに出店する。今年の100億元クーポンにも参入する。国美傘下の「安迅物流」と「国美管家」も拼多多の物流と家電のアフターサービスを担う。
かつて国美は、蘇寧と並ぶ中国を代表する家電量販店だった。抜群の知名度を誇るが、オフライン店の例にもれず、経営は失速していた。これもオンライン優位を象徴する提携だろう。国美を得たことはは、巨人アリババとの戦いに、大きな戦力補強となった。
ポイントは物流である。2019年4月以降、“新物流技術”というオープンプラットフォームを開発、参加者を募った。しかしこれはアリババのモデルに近い。
地方政府と提携
4月上旬、拼多多と山東省・青島市は、戦略提携備忘録に署名した。両者は連合し“出海優品―e購入”行動を展開する。生産安定、発注促進、デジタル化推進のために“青島優品館”をプラットフォーム上に建設、日・中・韓オンライン貿易のニューモデルを提示する。山東省は韓国の対岸で、対日、対韓貿易ともに盛んだ。6月末までに、青島の優良企業1000社の参加を想定している。
拼多多は全力で青島の産業をプッシュし、契約数の昨年比倍増を、そして4年後1兆元(15兆1500億円)の扱いを目指す。
また湖北省農業農村庁とも戦略提携で合意した。同じように“湖北優品館”をアップロードした。初日のアクセスは1,100万回を超え、205トンの農産品を出荷した。
このような地方政府との提携は、最もアリババの得意とする戦略だ。
まとめ
最近の拼多多は、完全に対アリババを念頭に戦略を組み立てている。特に物流では、アリババは、資本提携で大手宅配会社を間接支配している。同じような他者物流モデルではアリババに絶対勝てない。この現在の構造から脱却するため、中国に進出したJ&T Express(インドネシア宅配会社)を中心に、新システムを指向すると噂されている。また昨年12月には、アマゾンとの期限付き提携でも話題を提供した。
かつて偽モノ、安モノ通販と批判の多かった拼多多が、今や正面切ってアリババに対抗する力を蓄えつつある。しかし、ネット通販は、直播(ライブ配信)強化も含め、チャレンジすべき事象は山ほどある。京東の動向も含め、観客側にとっては、見どころ満載だ。