アリババは何を目指すのか?グループの多彩なプラットフォーム群B2C編、一淘、聚計算、口碑網、飛猪
今回はアリババの淘宝(C2C)、天猫(B2C)以外の日本ではあまり知られていないBtoCプラットフォームを見ていこう。一淘網、聚画算、口碑網、飛猪の4つである。
一淘網
一淘網は2010年に設立された、グループの販促、ショッピングガイドの役割を担うプラットフォームである。淘宝、天猫、飛猪(旅行サイト)など、グループの豊富な商品の中から、ディスカウント、ボーナス、優待券等、特典付きのお買い得商品を、集中的に紹介している。ネット上にある便利グッズという感覚だ。アリババのユーザー登録がそのまま使える。
公式サイトは、ブランド特売、タイムセールの文字が目を引く。特売は毎日10時に更新され、品質は保証付き。その他の商品構成はフルラインである。レディース、メンズ、インナー、デジタル家電、化粧品・スキンケア、ベビー、靴・服飾、家居家装、アウトドアスポーツとあり、総合通販と変わらない。それらが、すべて特価商品で構成されている。
https://www.etao.com/
聚画算
聚画算は、共同購入プラットフォームである。2010年、淘宝サイトの一部としてスタートした。翌年には独立し、扱い高110億元(1700億円)を記録、同業態の美団や垃手網、満座網を抑え、トップとなる。毎日8:00~9:59分に商品を展示、10:00~23:59まで購入希望者を募る。
しかし、その後の活動には特段の事績はなく、復活してきたのはここ2~3年だ。拼多多(2015年設立)の急成長に触発され、再度商品力の強化を図った。
公式サイトは、品牌団、非常大牌、聚名品、全球精選、量販団とカテゴライズされている。全球精選には、欧米の有名食品、酒類ブランドが並ぶ。商品構成は一淘網と同じだが、携帯電話、食品生鮮、百貨というカテゴリーが追加されている。
https://ju.taobao.com/
口碑網
口碑網は2004年設立に設立された、生活情報サービスと口コミのサイトである。アリババは2006年から出資していた。その後2015年、アリババと金融子会社アント・フィナンシャルは60億元(925億円)を投資し、正式にグループ会社化した。2018年には、アリババの新零售(ニューリテール)体系に組み入れられた。とくに飲食業界に対する突破口を期待された。2019年1月には全国250万の商店・飲食店が登録し、毎日3000万の取引きが成立している。
8月には、生活総合サービスの持ち株会社を作り、その下に口碑網とフードデリバリーの餓了蘑を配置する、と発表した。餓了蘑のもつデリバリー部隊と口碑網の情報を、アリババ“三公里(キロ)理想生活圏”実現の基礎とする。
公式サイトは、主に事業者や開発者を募集している。アプリは淘宝サイトからアクセスする。
https://www.koubei.com/
飛猪
飛猪は、航空券、ホテル、旅行商品を提供する総合サービスプラットフォームである。2016年に旧名の「阿里旅行」から改名した。目標は、若者層のレジャー需要、企業の出張などビジネス需要を取り込み、それぞれの代表的ブランドとなることだ。
また飛猪とグループの「芝麻信用」は、ホテル運営イノベーション“未来酒店”に取組んでいる。中心は、信用スコアの高い顧客に対するデポジット減免である。「2019信用住旅行報告」によれば、合計360億元が免除され、2000万人の1400万時間を節約した。
https://www.fliggy.com/?ttid=seo.000000574&seoType=origin
まとめ
他にも提携プラットフォームは、いろいろとある。地域限定のベンチャー企業にも出資し、将来の市場の変化に備えている。アリババはB2Cにおいても万全の体制を確立したように見える。ただしそれでも競争は厳しい。次の課題は、新零售“三公里理想生活圏”をどう実現するかだろう。